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#6 挑戦者へリスペクトを忘れない

入社式での所信表明

弊社では入社式において、新入社員が所信表明(スピーチ)を行います。
初日から約200名の前でのスピーチですから、大きな挑戦になると思います。

今年は、約5分✖︎15名(計75分)だったので、さすがに聴く側も大変なのではないかと心配しましたが杞憂でした。それぞれのスピーチが大変素晴らしく、あっという間に感じたからです。

スピーチの中身は、人それぞれではありますが、「今の自分を作った原体験」「なぜリブ・コンサルティングを選んだのか」「これから実現したい夢・ビジョン」などのテーマが中心になることが多いです。

一生懸命準備されたスピーチは、とにかく心を打たれるものが多く、それぞれのキャラクターも理解ができ、個人的にとても好きな時間です。


自身は何を想うのか

その時間に私が意識していることは、そうした新入社員のスピーチを聴いた時に、“自分自身の心がどのように反応するのか?“ ということです。

新入社員はこれから起こる現実の解像度はそこまで高くはありません。それぞれありたい姿を話してくれますが、地に足はついていないでしょう。(その必要もありません)

一方で、その地に足がついてないビジョンに対して、「働いていないから言えることもあるよな」「初々しくて、かわいいな」「背伸びはいいが、現実はそんなに甘くないけどね」などのリアクションを自分がしてしまうのだろうかとちょっと心配もしたりします。

私も社会人生活がそれなりに長くなり、ある程度、客観的に物事を見る中で、実現性の予測も少しはつくようになりました。

だからこそ、単に客観的に見るのではなく、その夢やビジョンを本気で応援したいと思えるかどうか、それは自分の一つのバロメーターになっています。


なぜ笑うんだい?

「なぜ笑うんだい?」という言葉だけで、世界最高(2位?)のフットボーラーとして有名な、クリスチャーノ・ロナウド選手のエピソードを思い出される方もいらっしゃるかもしれません。

そのエピソードとは、要約すると下記のものです。

約6年半前、とある大きなイベントで、ロナウド選手に質問をした日本人の少年が、緊張で言葉が震え、たどたどしいポルトガル語だった為、周囲の大人に笑われる一幕がありました。その際、ロナウド選手は、「なぜ笑うんだい? 彼のポルトガル語は上手だよ、一生懸命に話しているんだから、笑うことはないだろう」とかばい、少年に言葉も掛けてくれたというものです。

自分自身が、その会場にいたらどのようなリアクションをしただろうか?と考えてしまいます。“小さな大人“として質問した挑戦者である彼に対して、ロナウド選手と同様に、心の底からリスペクトを持てただろうかと。

冷静に考えれば、
・発表の権利を主体的に獲得(1万人超の応募から選ばれたとのこと)
・(ロナウド選手の母国語である)ポルトガル語で質問することを決定
・準備をしたポルトガル語の質問を大勢の前で実行

ということで凄いこと=尊敬すべきことしかないのですが、その場でこの考えに行き着いただろうかと考えさせられてしまいます。

このエピソードを持ち出したのは、新入社員の夢やビジョンを聞く際にも、「彼ら彼女らに対してリスペクトを持っているだろうか?」と自身に問う為です。

新入社員は、入念に準備した長文スピーチを、ほぼ初めて会う社員約200名の前で行うのです。そこに、ある種のたどたどしさや背伸びのようなものがあったとしても、それも含めて真剣に受け止めて、そのビジョンの実現を真に手助けしたいと思えているだろうかと。


壮大なビジョンには、壮大なビジョンで返したい

冒頭で、弊社の新入社員スピーチでは、「実現したい夢・ビジョン」についての言及があることに触れました。

新入社員のスピーチを聞いた在籍メンバーは、その夢やビジョンを聴きながらも、自分自身の夢やビジョンについて想いを馳せることになるでしょう。

そうした過程で、「なぜ、今、ここで、自分はこの場において、この志事に携わっているのか」、「自分自身の夢やビジョンに向き合えているだろうか」というクリティカルな問いを問われているように思います。

そして、本気で自分自身の夢やビジョンに向き合っている人は、他者の壮大なビジョンやチャレンジに対して、リスペクトを持つのではないでしょうか。

ロナウド選手から自然と「なぜ笑うんだい?」という言葉が出た背景には、彼の挑戦者としての生き様に理由があるのではないかと推測しています。壮大なビジョンに真にコミットしている挑戦者は、同じ挑戦者たる他者の壮大なビジョン(あるいは、挑戦そのもの)を笑う必要が生まれないのだと思います。

そもそも、スキル(頭脳・職業能力)、マインド(在り方・人間性)の成長が
ビジョン(≒挑戦)を小さくするものだとしたら、少し寂しくはありませんか?
成長すればするほど、実現できることが広がるはずなのですから、社会人としての成長が、ビジョンの拡大でありたいと私は思っています。

新入社員の夢やビジョンを聞いて、「それいいね!成長すればするほど、その夢やビジョンは実現に近づいていくし、さらに大きな夢やビジョンだって描けるよ」と伝えたいのです。

「壮大なビジョンには、壮大なビジョンで返せる人・組織でありたい」、そう強く思っています。


おわりに

最後になりますが、新入社員のスピーチは、彼ら・彼女らにとって、最初の大きな「仕事」であるということに触れたいと思います。

そのスピーチを通して、弊社の在籍社員は
・新入社員のビジョンを実現するサポートをしようと強く想い
・自分自身のビジョンや夢を問いなおし
・お互いのさらなる成長を誓い合うことで

志及びその志に向かう熱が一段とあがるのだと思います。

実際に当日の日報は、新入社員のスピーチに対する熱いコメントが並びますが、おそらく組織の熱は、4℃程度上がっていると思います(当社比・推計値)。

「組織の推進力」が高まる瞬間を、新入社員が入社初日にしてつくってくれているのです。最高のスピーチを終えた新入社員は、もはや就活生でも学生でもありません。最大限のリスペクトをこめて、世の中に大きな影響を与えうる、“社会人(挑戦者)“になったのだと確信しています。

このNoteを読んでくださっている挑戦者たる皆様とも、いつか夢やビジョンについて語り合いたいと願いながら、本稿を締めくくりたいと思います。今回も最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。


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