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5.NCAAってどんなところ?普段どんな生活してるの? (前編)

皆さんこんにちは。三浦優希です。まず初めに、いつも私の投稿を読んでいただき本当にありがとうございます。多くの方から嬉しいフィードバックを頂いており、本当にnoteを始めて良かったと感じています。本当は毎日更新するのが理想ですが、noteに関しては、一文一文に心を込めた文章を皆様にお届けしたいと考えているので、頻度としては1週間に2投稿くらいを目安に続けていけたらと思っています。それにプラスする形で、試合結果なども報告させていただきたいと思っています。また、「こんなことが聞きたい」「こんなことを話してほしい」「それは違うんじゃない?」という質問や意見などがありましたら、どんどん遠慮なく教えていただきたいです。皆さんと一緒に成長を共有したいです。これからもどうぞよろしくお願いいたします!

さて今回は、

・NCAAとは?
・普段の生活スケジュールについて

について掘り下げていきたいと思います。今までは過去の話が続いていましたが、今回は皆さんに、私の「今」を知っていただきたいと思います。

・NCAAとは


私は自己紹介をする際、「NCAA Division 1に参戦する Lake Superior State Universityに所属しています。」とよく言うのですが、聞く側からしたら「何それ?」と思う方が多いと思います。私もNCAAについて初めて聞いた時は、何のことかはっきりわかりませんでした。
NCAAとは、”National Collegiate Athletic Association”の略称で、日本語に直すと全米大学体育協会となります。簡単に言うと、アメリカの大学スポーツを統括する組織といったところでしょうか。1200以上の大学がこのNCAAに参加しており、その大学の競技レベルによってディビジョン1(D1)、ディビジョン2(D2)、ディビジョン3(D3)という区分に分けられます。トップリーグ・二部リーグ・三部リーグといった形です。特に、D1に関しては、どのスポーツでもレベルはかなり高く、プロ選手になる一歩手前のステップといっても過言ではないと思います。NCAAでプレイするためには、基本的には大学からのオファーが無ければ部には入れません。「入りたいと思って入れる」環境ではないのです。全米の子どもたちにとって、「NCAAのD1の大学でプレイすること」というのは、誰もが憧れることで、「プロになる」というよりも先にこの目標を口にする子たちは大勢います。
アイスホッケーで言うと、ディビジョン1に所属する大学チームは現在60校となっています。私の所属するLake Superior State Universityは、大学全体としてはディビジョン2に参加するスポーツチームが基本なのですが、アイスホッケー部のみ、D1に参戦している形となっています。

NCAAの大きな特徴として、

①Student-Athlete(学生アスリート)という考え方
②Athletic Department(アスレチックデパートメント)の存在
③NCAA Eligibility Center(NCAAエリジビリティ・センター)

というものがあります。


①Student-Athlete(学生アスリート)という考え方
「学生の本分は勉強である」
であるということです。”アスリート””という言葉よりも先に”学生”という単語が出てきていることからも分かるように、NCAAは大学スポーツを教育の一環として捉えており、「そのスポーツだけをやっていればよい」というプロ選手のような状態にならないように、あくまでも選手を学生として維持することを徹底しています。具体的には、一定の成績・単位を取り続けなければ、練習や試合に参加できなくなること(GPA2.0以上、各学期に最低12単位以上取得など)や、一週間に練習できる時間は20時間までと決まっていることコーチが一緒に氷に乗って指導して良い時間も制限されているなど、事細かに定められています。ここまでNCAAが徹底する理由は、学生に勉強時間をしっかりと確保するためとなっています。「スポーツをやっているから」という理由で、先生たちから優遇されることもありません。他の学生と同じように授業に毎回出て、テストで良い点を取らなければ、単位をもらうことはできません。大学に入る前は、きっと「文武両道なんだな」という風に思っていましたが、私からしたら「文が7割、武が3割」くらいの感覚です(笑)。こうなると、中には勉強に追い付かずスポーツに集中できなくなるというケースが出てきます。そこで登場するのが、Athletic Departmentです


②Athletic Department(アスレチックデパートメント)の存在
アスレチックデパートメント(以下AD)とは、各大学に必ず設置されていて、その大学のスポーツに関係する全てのことを統括する組織です。部活動の運営を中心に行いながら、監督・コーチの雇用や練習日程の設定、部活動の予算管理や、メディア対応、学生アスリートの成績管理など、多岐にわたって大学スポーツを支えてくれています。本部であるNCAAと各大学の部活動をつなぐ役割といったところでしょうか。例えば学業面で何かトラブルが起こった場合は、授業の講師、、アカデミックアドバイザー、部活のコーチ陣、そしてADが連携してどのように問題に対処するかを相談します。学業以外にも、何か行おうとしていることがNCAAのルールに抵触しないかを確認してくれたり、奨学金や私生活面での相談も可能です。出来る限り学生アスリートが勉強と競技に集中できるようサポートしてくれる場所となります。
また、ADのもう一つの大きな役割として、「お金を生み出す」ということが挙げられます。単なる部活動の支援ではなく、スポーツを経営の一つとして用いていることが特徴です。アメリカでは当たり前となっていますが、国内でもこれを行っているのが、筑波大学アスレチックデパートメントです。日本版NCAAの創立が最近話題となっていますが、こちらは日本の学生スポーツが抱える根本的な問題を改革していく第一歩となる、画期的な試みだと思っています。


③NCAA Eligibility Center(NCAAエリジビリティセンター)
NCAA(特にD1)で学生アスリートとしてスポーツをしたい人が必ずクリアしなければいけないこと、それがエリジビリティセンターからの承認です。こちらは、大学の入学申請とは別で、 その選手が「NCAAでスポーツをプレイできる資格があるのか」という判断をする機構です。こちらでは、アカデミック(学力面)とアマチュアリズム(プロ経験の有無)の裁定をされ、この両方をクリアして、初めて大学の練習や試合に出場できるようになります。

アカデミック面では、中学3年生(アメリカのgrade 9相当)から高校卒業までの成績を全て提出し、定められた期間以内に必要単位数・成績を取得しているかを判断されます。またこの他にも、TOEFL(Test of English as a Foreign Languageの略。非英語圏の出身者のみを対象としたテストで、大学に入学するために必要な英語能力を持っているかを測定するテスト)に加え、SAT(Scholastic Assessment Testの略。大学に進学するために必要な知識を持ち合わせているかを測るテスト。センター試験のようなもの)もしくはACT(American College Testの略。米国大学入学能力テストのことで、民間企業が主催し、大学入学を希望する米国の高校生が受験する。)のどちらかの試験で必要最低限のスコアを取っているかなどもチェックされます。

アマチュアリズムは、その選手が”プロ”として対価を受け取ったことがないかどうか(プロチームから給料をもらう、契約したことがある、プロの試合に出場経験があるなど)を審査されます。

上記2点をクリアしなければ、学生になることはできても、競技に参加することは認められないということになります。私は、こちらをクリアするまでに約一年半ほどかかりました。人によって査定期間は異なりますが、私の場合はチェコに移住した際に高校を転校していたことや、チェコ在住時に所属していたクラドノのシニアチームの活動に参加したこともあり、かなり特殊なケースだったのではと思います。大学一年目の時はシーズンが開幕してもクリアにならず、練習のみに参加しているという状態でした。何度もエリジビリティセンターとやり取りを続けた結果、クリスマス以降の試合からようやく出場可能という査定が出ました。ただ、その判定が出た次の日の練習で私は右足を骨折してしまい、結局試合に出れるのはさらに3か月後になってしまうのですが、このことについてはまたいつか機会があれば書きたいと思います(笑)。今振り返ってみると、一年目は本当にいろいろあったなぁと感じます。

以上が、簡単なNCAAについての説明となります。何かわかりやすい参考資料はないかと探していたところ、良い記事を見つけたのでもしよかったらこちら(大学スポーツのシステム:栄陽子留学研究所)もチェックしていただけるとより理解を深められるかと思います。非常にわかりやすくまとめられています。

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当初の予定では、この後に私の一日のスケジュールや、どんな生活をしているか、何を勉強しているのかなどを書くつもりだったのですが、少し長くなってしまったので一旦ここらで一区切りにしたいと思います。次回、もっと個人的なところを紹介したいと思います!今回は、今までと違って特徴的な話が少なく、退屈な内容となってしまったかもしれませんが、現在の生活の中心であるNCAAという組織がどのようなものなのかを皆さんに知っていただきたかったので、説明させていただきました。

初めて海外に出たときは、まさか自分がアメリカの大学に通うことになるなんて思いもしませんでしたが、大学進学は、本当に良い選択だったと感じています。元々何かを学ぶこと自体は好きだったし、アイスホッケーもレベルの高い場所でやれるので、かなり恵まれた環境に自分がいるということを理解しています。本当に、ここまで来ることをサポートしてくれた周りの方々に心から感謝しています。この文の最初にも述べた通り、全米の子どもたちが憧れるNCAA D1というは、ほんの一握りの選手しか経験できません。そこに自分がいるということをこれからも忘れずに、決してそのことに奢ることなく、学生アスリートして、人に夢を与えられるような人間になりたいと思っています。とにかく今は勉強ですね!毎日テストだらけでうんざりしていますが(笑)、その辺の心境も次回伝えられたらと思います。後編は近日中にアップできると思いますので、お楽しみに!

今回も、最後までお読みくださりありがとうございました。

三浦優希


*後編はこちらから!




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