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ディナーで腹の中はおはやし状態

昨日までのブータン旅行記はこちら

甘いものを食べたものはしょっぱいものが食べたくなることが多いのだが、過度に甘いと何も食べたくなることを覚えた。

ダイエットするなら、逆に猛烈に甘いものを食べるのもいいかもしれぬ。

ブータン初日のディナーは張り切って作っているに違いない
それをおなかいっぱいだから食べない

なんてことは決していえない。気合いで食べなければならぬ・・・

と思いながら重い足と腹を引きずりながら2階にあがっていくと、なんだかチーズがやける香ばしい匂いがしてくる。

おや、なんか食欲が戻ってきたかも。
近くに住んでいる友人のお母さんがコック出張にやってきてキッチンであれやこれや調理している。鍋ごとドンとテーブルにのせながら

「今日はブータン初日だからね。ブータン料理の代表格を作ったのよ」

これは地球の歩き方の「ブータンの料理と食材」ページで読んだエマ・ダツィではないか。

エマが唐辛子
ダツィがチーズ

あわせて唐辛子のチーズ煮込みである。これをベースにジャガイモなどの野菜、キノコなどの山菜類をぶっこんで煮込む。今宵はカリフラワー。

これはおいしいかもしれない。


お隣はドライポークの唐辛子煮込みといったところだろうか。ブータン人にとって唐辛子はスパイスではなく、野菜の位置づけなようで毎食いろんなところでお出ましする。もちろん煮込み料理にはすべて唐辛子が入る。

よって、すべて辛いのだ。

普通のフレッシュポークのほうがおいしいような気がするのだが、ブータン人は基本ドライビーフ、ドライポークを使う。もちろんフレッシュもあるが値段が高いという。

「干したほうが旨味が凝縮されて甘味が出るのよ。保存もきくしね。昔は冷蔵庫がなかったから干し肉が普通だったの。」

とお母さん。

そういわれると、確かにいろんな野菜や果物を干すと旨味が増すというのはわかる気がする。玉ねぎ、干し柿、干ししいたけ、ドライフルーツなどなど。

それでも、おいしそうに見えないのは脂身がたっぷり見えているからではなかろうか。

ひとまず、食べないという選択肢はないようなのでちょこっとずつ自分で盛り付ける。


最初はもっと少なく盛り付けたのだが、お母さんが悲しい顔をしたのでここまで盛り付けてしまった。本当は米もいらない・・・といえない。これが人の家にお世話になるということ。

まずは、エマ・ダツィに入っているカリフラワーを一口。

うん、煮込みすぎず食感もあっておいしい、チーズの風味もきいていい感じ・・・と思った瞬間、のどの奥からカ~~~ッと熱いものがこみあげてきた。

忘れていた。唐辛子が入っていたことを。

見た目に真っ赤じゃないから油断していた。口の中に火を入れたら、ぼ~っと火を噴きだしてしまいそうなくらい、ホットホット!

水分が異常に足りないボソボソのインディカ米を口の中に放り込み、なんとか事なきを得る。

ますます食欲減退に拍車がかかっている中、緑の野菜は食べられるだろうと一口。これは辛さ控えめでうまみがあってなかなかおいしい。カブの葉っぱを干したもので、ブータンでは定番中の定番だそう。


こちらがカブの葉っぱを干したもの。日本の実家でもカブの葉っぱは味噌汁に入れたりして食べるが、乾燥させることでこんなに甘味が出るとは新たな発見。これはメモメモ。

ただ、残念ポイントがひとつ。油っこいのだ。お湯で戻して、ポン酢で食べればおいしそうなのに・・・なんといっても脂マシマシのドライポークと一緒に煮込んでいるんだから油っこくなるのも当たり前。

なかなか食べる気にならない見た目だが、仕方なく口の中へ。噛み切れないほどではないが、かめば噛むほど脂が口の中に充満して気持ち悪くなってくる。さらに、噛めば噛むほど辛さがじわりじわりと押し寄せて来て、結果、最後は辛いだけの悪循環。

そして最後は口の中をなんとか元の状態に戻すべく、ボソボソのインディカ米を食べるはめになる。

やたらめったら米を炊いていて、誰がこの量を食べるんだろうと思っていたが、辛さをマイルドにするために米が必要なのではないだろうか。じゃあ、辛さを控えめにすればいいんじゃなかろうか・・・

今日は初日だからブータン料理の王道を行ったんだろうな、明日からは普通のご飯が出るはずという期待は見事に裏切られ、毎日、大量のボソボソ米と肉と野菜(唐辛子)の炒め料理が続くのであった。

調理のバリエーションが豊富な日本に生まれて幸せだなと思った幸せの国の食事。

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