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イスラエル・ウクライナ支援法可決へ 下院共和党は納得するか?


米国議会、ついに動く

衝撃的なニュースを目にしました。

[ワシントン 13日 ロイター] - 米議会上院は13日早朝、ウクライナ、イスラエル、台湾への支援を盛りこんだ953億4000万ドルの法案を70対29の賛成多数で可決した。法案は野党共和党が多数派を占める下院に送付される。
法案はウクライナ支援に610億ドル、イスラエルに140億ドル、台湾を含むインド太平洋のパートナー支援に48億3000万ドルを充てるほか、パレスチナ自治区ガザやヨルダン川西岸、ウクライナなど世界の紛争地域向けに91億5000万ドルの人道支援も盛り込んだ。

出典:ロイター 2024/2/13 米上院、ウクライナ支援法案可決 下院採決は不透明

しかし残念ながら下院での採決はこれまで難色していたのです。

なぜなら下院は野党・共和党が過半数を占めているからです。

上院:民主党
下院:共和党
大統領:民主党

このように民主党にとって、
このねじれ議会は政策にとっても悪影響を及ぼします。

ただついにジョンソン下院議長が動きます。

[ワシントン 15日 ロイター] - 米共和党のジョンソン下院議長は15日、イスラエルとウクライナへの支援を今週、別個の法案として審議すると述べた。

上院は約2カ月前に両国への支援を一体化した法案を可決している。

出典:ロイター 2024/4/16 米下院、ウクライナ・イスラエル支援を別個に審議へ

ジョンソン下院議長はウクライナ支援とイスラエル支援を別途、
法案としてそれぞれ協議する姿勢を貫いています。

なぜなら共和党自体はウクライナ支援が継続していることに否定的であり、
イスラエルは共和党支持者の方が支持していると言えます。

つまり党派を超えた協力ができず対立が続いている実情があります。

  • 民主党→ウクライナを支持、イスラエル・ガザに関しては基本イスラエル支持も、ガザ地区に対するイスラエルの攻撃には反対

  • バイデン大統領→基本、イスラエル支持。しかし与党内のバランス調整が不足

  • 民主党(極左)→イスラエルの攻撃に反対、ガザ地区の人道的支援を優先

  • 共和党→ウクライナへの無償支援に反対、イスラエルを支持

この問題の背景には共和党の支持基盤であるユダヤ系の方々に対する
アピールを行う必要があり、民主共和共に難航しそうです。

ジョンソン下院議長の支持基盤が課題

[ワシントン 14日 ロイター] - ジョンソン米下院議長は14日、イランの対イスラエル攻撃を受けて、今週中にイスラエル支援法案の可決を目指す方針を示した。法案にウクライナなどへの支援を盛り込むかは明言しなかった。

ジョンソン氏はFOXニュースの番組で、イスラエルを支援する単独の法案を過去2回、可決できなかったと指摘。「今週、再挑戦する。現在、法案の詳細をまとめている」と述べた。

出典:ロイター 2024/4/15 イスラエル支援法案、米下院議長「今週の可決目指す」

ウクライナ支援は党内支持基盤が弱いジョンソン下院議長にとっては
難しいことだといえます。

現在、ジョンソン下院議長は先日の予算成立が決まったことで、
下院の保守強硬派は民主党に妥協したジョンソン下院議長の
解任動議を提出しました。

もし保守強硬派と民主党が協力すれば、
再び下院議長の解任もありえるでしょう。

つまり党内の保守強硬派(トランプ派)が
解任の主導権を握っていることもあり、
民主党への譲歩がなかなかできない状況です。

トランプ前大統領もウクライナ支援の発言に変化

ここで注目したいのはトランプ前大統領の発言です。

【ワシントン=大内清】米共和党のトランプ前大統領は12日、同党のジョンソン下院議長と南部フロリダ州の邸宅マールアラーゴで面会し、ウクライナ支援などを巡り共和党の内紛が続く議会情勢を協議した。面会後の記者会見でトランプ氏は、自身の影響下にある同党保守強硬派の反対で審議が滞るウクライナへの軍事支援について、無償供与ではなく「ローン(借款)」であれば認める余地があるとの考えを示した。

出典:産経ニュース 2024/4/13 ウクライナ軍事支援、無償供与でなく「ローンなら」とトランプ氏 下院議長と面会

トランプ前大統領はこれまでバイデン政権のウクライナ支援に
反発していました。

バイデン政権はウクライナ支援に対し、2年間も
お金を費やしてきました。

もちろんロシアに対する覇権を食い止めるためですが、
国内のインフレに困る中で、ウクライナに多大な金銭的な支援をする
現政権にアメリカ国民はどのような反応するのでしょうか?

これまた難しいことですが、少なくとも共和党は
政府支出を減らすために、反対するでしょう。

またウクライナロシア戦争は2年以上の月日を迎えますが、
プーチン大統領は選挙で再選し、
任期があと6年もあることから、和平や停戦交渉は
いつ訪れるのか? ここもポイントになると思います。

イスラエルの戦況

【カイロ=岐部秀光、イスタンブール=渡辺夏奈】イスラエルは国際社会の自制圧力が増すなか対イラン再報復の妥協点を探っている。抑止のシグナルを発すると同時にサイバー攻撃などの限定的な対応案が浮上する。ネタニヤフ首相が、政治生命を引き延ばすため強硬策で賭けに出るリスクはくすぶる。

出典: 日本経済新聞 2024/4/16 イスラエル妥協点探る 対イラン再報復を明示

ハマスがイスラエルを侵攻しあれから半年が経ちました。

2023年10月7日に起きたイスラエルとパレスチナの戦争は
死者3万人を超え、両国間及び両地域間の争いには
流血が避けられない状況となっています。

 【エルサレム=福島利之、笹子美奈子】イスラエルとイスラム主義組織ハマスの戦闘が始まってから7日で半年となる。イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ全域の空爆や南部への地上侵攻を展開し、ガザの犠牲者は3万3000人を超えた。

出典:2024/4/7 読売新聞 ガザ戦闘半年、死者3万3000人超…人口の75%が避難民・半数が「壊滅的飢餓」

ガザ地区は国際的立場の中でパレスチナの自治区であり、
国としても立場はありません。

これまでもずっと国連の人道的支援を受けてきたガザ地区ですが、
人口200万人を超える場所に、総面積は365平方キロメートルと
東京ドーム78個分に200万人を超える人口がいるなど、
極めて人口密度が高い地域といえます。

中東情勢に関してはアラブの春、いわゆる専制主義政権のトップが次々と
地位を失う中で、中東諸国は欧米のような主義をモデルとせず、
いまだ独自体制を貫いています。

つまり欧米の望む状況にはならず、中東の火薬庫は今回の戦争を含め、
爆破せざるをえない
ということです。

現にイランは今回の問題に対し、第3国の立場でありますが、
大使館の攻撃に対し報復措置を取りました。

イランはシリアのイラン大使館がイスラエルの空爆によって、
13人が死亡したとされ、その報復としてイスラエルに
一時的な軍事攻撃を行いました。

15日のギモンは、「イランが報復イスラエルどう出る」です。
イランがイスラエルに対して攻撃したことで緊迫した状況が続いています。まずは何が起きたのかみていきます。
攻撃があったのは日本時間の14日の朝です。イランがイスラエルに向けて300以上の無人機とミサイルによる攻撃を行いました。被害の規模は小さく、少女1人が迎撃した際の破片でケガをしたということです。

出典:日テレニュース 2024/4/15  イランが“報復”…イスラエルはどう出るか 日本・世界情勢への影響は 【#みんなのギモン】

イランの攻撃は今回限りとされます。

ただイスラエルもまた報復措置を取るこ
言われておりますが、
果たしてどうなるか注目です。

  • イスラエル→ハマス(ガザ地区自治政府)を殲滅する

  • ガザ地区→国連の人道支援にも限界・避難民(ガザ南部の避難施設)

  • イラン→イスラエルとの関係が悪化(エスカレーションするリスク)

ウクライナの戦況

続いてはウクライナの現状についてです。

まず米国の下院議会によって、上院でウクライナ支援法案が通過しても、
下院では残念ながら否決され、法案が成立しない実情があります。

バイデン政権が上院も下院も多数派が民主党だったのは、
2022年の12月までで、2023年初旬からは下院の多数派は
共和党となりました。

【歴代下院議長・バイデン政権1期目】

  • ナンシー ペロシ(民主党):~2023年1月3日

  • ケビン マッカーシー(共和党):1月7日〜10月3日

  • マイク ジョンソン(共和党):10月25日〜(現職)

ペロシ氏が下院議長時にはウクライナ支援は
成立し続けていましたが、マッカーシー下院議長時代は
なかなか成立ができなかった実情があります。

アメリカ政府の新年度予算案をめぐる共和党内の対立で、議会下院のマッカーシー議長が史上初めて解任されました。ウクライナ支援などを含む予算案の協議が停滞することにつながりかねない事態で、後任の議長を速やかに選出できるかが焦点です。

出典:NHK 2023/10/4 米下院議長 初の解任 ウクライナ支援など予算案協議 停滞も

それでも新年度予算成立をめぐり、
共和党の保守強硬派の造反+民主党によって、
マッカーシー下院議長は解任されました。

つまり保守強硬派によって、議会の主導権は握られてしまったも
等しい実情があります。

その中でウクライナ支援をホワイトハウスは求めていますが、
依然として難しいでしょう。

ウクライナも支援が枯渇し、近年はロシアの方が
より攻勢に出ているという報道もあります。

戦争から2年以上経過し、多大なるエネルギーを使う戦争で、
これから先情勢はどのように変化するか?

見極めたいところです。

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