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あなたも着氷してみませんか

私は、どちらかというと陽気な方だと思う。

機嫌が良いときには自作の子守歌を高らかに歌ってきたし、
要求があればぬいぐるみのアフレコにも力が入るタイプだ。

夫には見せたことのない変顔も、
子どもたちを笑わせるためならば全力で実行する。
そしてたいてい、にらめっこには勝利する。

先日のこと。その日は平日休みということもあり(1人3連休)、
すこぶる機嫌が良かった。
家族を順々に送り出して、ようやく一人朝食をとり、
食器を片付け、メールチェックも終わった。
重しのように頭と心に乗っかっていた
文章の仕事にもカタが着いていた。

ふと唐突に、フィギュアスケートの妖精が舞い降りた。
クルクルっと目にもとまらぬ速さで回転し、脳内に見事に着氷。

おもむろに立ち上がる私。
両手をふんわり広げ、右足で立ち、左足を後ろに浮かせながら、
やや後方にスライドする方法で、妖精の脳内着氷場面を再現した。

悪くない。
いや、むしろ良い。
我ながら最高だと言っても良い。

そのあと何度か一人で着氷してみた(ただの怖い人)。
一度もスケートしたことないけど。
誰も観客はいないけど。
高くジャンプした(つもりの)自分が着氷する瞬間の感覚は使えそうだ(何に)。

成功のイメージ。
すかっとする気持ち。
緊張が喜びに代わる瞬間。

すかさず着氷モーションを心の引き出しにストックした。
「またやろう」(Eテレ オフロスキーの声とポーズで)
そう、その日の私はすこぶる機嫌が良かったのだ。

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