【本の感想】クダマツヒロシ『令和怪談集 恐の胎動』
怪談師として、語りもこなすクダマツヒロシ氏の単著一冊目。
本作の収録話は、彼の語りも含めてクダマツヒロシらしい切り口の話が並ぶ。
全31話の中でも、王道の様式を保った怪談もある(「訪問者」「理科室の女」)。
だが、本書に収録されているものの大半は、怪談の定石と外しの狭間をいくような、スレスレのものだ。例えば「御厨子開帳」や「豚の椅子」「恐の胎動」では、生理的嫌悪を衝く描写が隅々まで行き渡っているし、いささか不謹慎な描写を含んだ「エアガン」や「散眼」では、ポップさに反して