松川行雄(ストラテジスト/小説家)

1958年生まれ、上智大卒、ブリヂストン入社。大和証券に転職。2社在任中、2度の香港駐在。93年、本社株式本部に戻り、優秀なアナリストたちから相場を学ぶ。99年退社まで、米国株の分析・判断で記録的実績を残す。証券、保険各社から講演会・セミナーを行う。また小説、エッセイなど多才!
固定されたノート

長編小説 『Barracuda』第一章 宝島

※はじめに
このたび、長編小説をアップすることにしました。
この長編小説はもともと、1994年に近代文芸社から出版されたものです。
一応、タイトルも『Barracuda(バラクーダ)』に変更し、内容にも手をずいぶん加えたのですが、やはり出版社による市販であったことを考えますと、無料公開というわけにはいかず、今回有料で公開することにした次第です。
内容は、スペイン統治時代の財宝を、外国人ダイバーたち

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異界への招待

これは、207回目。夏ですから、定番の幽霊のお話です。

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たとえば山は、娑婆(しゃば)と黄泉の国とを隔てる異界(いかい)だった。異界とは、人間が属するところとは異なる世界のことである。だから、古来、修験者や各種の宗教者は、こぞって山を目指した。しかも、それはつねに娑婆のすぐ隣に存在していたのだ。夜ともなれば娑婆でさえ、漆黒の闇に包まれた。怪というものは、日常に存在していたといってもいい。

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くじらの話

これは206回目。鯨というと江戸の浮世絵師、歌川国芳(うたがわ くによし)の絵を思い浮かべます。地上最大の哺乳動物を描いた国芳のデッサン力は、今でも比類がないほど圧巻でした。ちなみに鯨といいますが、イルカとは別種ではありません。体長4メートルより大きくなるものをクジラ、それ以下の物をイルカと呼ぶだけのことです。

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地球が誕生して陸と海が出来てから、最初の生命は海で生まれた。鯨の祖先は海で

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風鈴

これは205回目。お盆が終わりました。早くも去り行く夏を惜しんで、夏の風物詩の一つ、風鈴のことを書きました。中国では2000年前からあるらしい。もともとは、吉凶を占う道具だったそうです。

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風鈴は、実は昔の日本にもあった。平安貴族たちの場合は、軒につるして、魔除けの意味合いで用いていたようだ。これはちょうど扇子が、自ら扇(あおい)いで邪気を祓うという意味で用いられたのと、共通する点だ。

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終戦報道の安易さ。

これは204回目。また今年も8月15日を迎えました。74回目です。総人口の5人に4人が、戦争を知りません。国会議員の93%が戦争を知らない世代になっています。

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何度も日本人は、不戦の誓いをこの日に繰り返してきたが、まず言の葉に上るのは、沖縄戦という「唯一の地上戦」の悲惨さであり、広島・長崎に投下された「世界で唯一の原爆使用」による悲惨さだ。あまりにも象徴的な事実だ。この事実をどうこう言

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軟派で結構~山は怖いのだ

これは203回目。山登りをする人間にはいくつかの名称があります。登山家というのは、山に登ることを職業にしている人です。だから余暇に登山をするアマチュアのことを、ふつうは登山家とは呼びません。もっとも、職業として狩猟のために山に入る人を、昔は「またぎ」と呼んでいました。

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プロかアマかを問わず、さまざまな呼称があるのだが、たとえばクライマーという呼び方もある。これは、岩登りを専門にする人た

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