生まれてはじめてしっくりくる、がん闘病記を読んだ話
また、がんが再発した。
また、皮膚に転移したり、以前発症したところがぶりかえしたりしたのか。
……。えっ、先生、これ以上はどうしたらいいのか、頭を抱えるぐらいの事態になっているって!?
2021年2月某日。
もう何回になるのか分からない、上咽頭(じょういんとう)がんの再発をしたことを、PET-CT検査の結果をもとに、担当の先生から色々な見解を打ち明けられた。
私のがんは、2010年1月に、最初のものがステージ4で見つかった。
幸いなことに、当時かかった耳鼻咽喉科の先生がそこのがんの治療経験があること、放射線科の先生も悲観的ではなかったこともあって、治療はなんとか無事にこなせた。
当時通っていた大学は中退したが、今思えば自分に無理をして入学した結果、講義に全然ついていけないしやるきもないしで散々なキャンパスライフだったから、結果オーライだった。その後は別の、自分がちゃんと良いなって思える大学になんとか入りなおして、途中でがんが再発して手術をしたけれど、無事にその大学を卒業できた。
情けないことに新卒採用で入社すること叶わず、アルバイトや契約社員で働くことになったが、さらに情けないことに、仕事の覚えが悪いだの頭がすぐにパンクしてミスが多いだので、一年以上働いた経験がない。
その後は、約5年の歳月を経て、がん再発。骨や肺にも転移をしたが、それはほぼきれいに治ってくれた。
がんって、なんとかなる病気になりつつあるんだな。と思っていた時に、今回のがんの再発で、手が付けられない、緩和ケア病棟のことも念頭にいれたほうがいい、とアドバイスを受けた。
久しぶりにがんになったことで、ショックを受けた。
標準治療のガイドライン上では、もうできることが少なくなっているのだ。
幸いにも母が色々と調べたり、一か八かで意見を伺った、同じ病院に不定期に務める放射線科の先生が、咽頭に詳しいかたで、具体的な意見を述べてくれたり、その人のアドバイスをきっかけに、国立がんセンター東病院へセカンドオピニオンに行ったりなどして、一応解決策は浮かびあがってきた。
だが今回の再発は油断ならない。
新しく保険適応になった治療が必ずしも使えるか、残念なことにこれを執筆している時点では、はっきりとした答えは出ていない。
久しぶりに、はじめてがんと宣告された時以来、死を覚悟した。
はじめてがんと言われた時と違うのは、死がより身近に迫っていることだ。
自分の中で色々な感情がうごめいた。そして自分の無力さを感じ、長生きしても仕方ないんじゃないか、と諦めの気持ちがちらつくようになった。
とりあえず長生きするための治療を受けようとしている自分。
そんな中、次のnoteを偶然にも見かけた。
がん闘病記って、なんかすごくみんな頑張っている印象があって、なかなか読む気になれないのだけれども、これは試しに読んでみようかっていう気持ちになった。そして、自分はこう生きてみるのがいいのかもしれないっていう、人生の、少なくともがん闘病生活におけるコンパスを手に入れた感じがした。
人生は舞台だ。皆、それぞれ役者だ。
その言葉が、一種の冷たさをもつ現実なのに、私の心を楽にしてくれた。
また、運はある程度はコントロールして掴むことができるかもしれない方法は、壁にぶち当たっている私に、武器ができた感じがした。
これからどうなるか分からない。
やっぱりどうにもならなくて、死を待つだけかもしれない。
でもできることはある。
それに気づかせてくれたnoteだった。
ありがとう、このnoteがあって。ありがとう、このnoteがおすすめにあがっていて。
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