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ポルトガルでの味噌汁の飲み方

日本食といえば寿司や天ぷらだけど、お味噌汁だって、こちらでもとっても人気で、認知度も高い

発酵食品が流行っている今となっては、さらに名が知れ渡っているかもしれない。

もともとポルトガルは、バラエティ豊かなスープをよく飲む文化があるから、味噌汁も受け入れられやすかったのかもしれない。

それから、もしかして健康的なイメージもあるのかも。

ただ、味噌汁の飲み方は、日本とはちょっと違う

こちらは、ご飯と味噌汁とおかずを一緒に食べたりはしない。まずスープを飲んで、その後前菜、そしてメインを食べるのが習慣。

だから、お昼の定食の時なども、注文が入ったら、まず味噌汁を持っていく。そして、味噌汁が飲み終わった頃に、ご飯とおかずをサーブする。そして、最後にデザートとコーヒー。だから、注文が入ったら、全部セットでテーブル席に持っていくというのは、日本人のお客さんが来た時だけ。

今までに、それを知らずに日本人のスタッフが一緒に持って行ってしまったり、とても混み合っていて、同時に出してしまったことが何度かあるけど、そのお客さんたちは、結局先にゆっくり味噌汁を飲み終わってから定食のおかずを食べ始めるので、その時にはおかずが冷めてしまっている。そういうわけで、新しいフタッフが入ると、「日本人以外の人にはお味噌汁は最初に持って行ってね。」と伝える。同じアジア圏の国の人たちでも、やはりみそ汁を先に持って来てと頼まれるので、もしかして全部同時に三角食べみたいなことをするのは本当に日本人だけなのかもしれない。

カルピスと味噌汁っていうのもなんか変な感じはするけど。こうやってドリンクを出した後はまず味噌汁をサーブ。

冬の寒い日の夜なんかは、店に着くなり、飲み物などを頼む前に「とりあえずみそ汁を頂戴!」と言われることも。温まるもんね。

うちの味噌汁の出汁は、鰹出汁ではなくて、毎日届く大量の魚のアラで取るから、いわゆるあら汁だった。だから味は日によって変わるのだけど、メインは鯛などの白身と鯵などの青魚の骨と、昆布や野菜の端っこなど。鰹節は日本みたいに気軽な値段ではなかったし、毎日届く魚のアラや、必ず毎日出る野菜の切れ端を捨てるのは勿体なさすぎる。だからこれで出汁をとるスタイルにしたけど、これが逆に人気を呼んで、「ここの味噌汁は他のとは全然違う!」とファンになってくれる人がとても多かった。日本から来た観光客の人たちは、結構な確率で、一口飲んでから「おお!あら汁かぁ!」と少し驚く。

たまに、女性のお客さんなんかで、「風邪を引いてしまって食欲がないから、味噌汁だけ売って欲しい」とテイクアウトで頼みに来る人もいた。確かに、体はこれでめちゃくちゃ温まるし、栄養もある最高の飲み物だと思う。

それから、スタッフも。うちの賄いは、夜は6時半ごろの、開店前だったから、その後一仕事して、夜10時に閉店する頃になると皆とてもお腹が減り始める。だから、味噌汁が余った時は、欲しいスタッフに配って仕事の後に飲んでいた。めちゃくちゃお腹が空いている時は、そこに余った白飯なんかも入れて、猫まんまにして食べちゃったり。日本食なんか食べたこともないし、なんの興味もなかったブラジル人や他の国のスタッフも、この味噌汁が大好きになって、夜一緒に味噌汁を飲んだりするのを見ると、美味しいものは世界共通だよなぁって思う。

そうそう、ここ数年は、日本から来て、ポルトガルで活躍するスポーツ選手のお客さんなんかにも利用していただいたのだけど、彼らの中にも、「味噌汁は最初に持って来てください」という人がいた。その一方、会席料理を主宰したときは、汁物は一番最後。どちらもきっとその理由があってそうなっているのだろうから、不思議なものだな。

こちらの友人たちに「味噌汁の作り方を教えてほしい。いつもお湯に溶いて食べているけど何か味が薄い」とか「あの味噌ペーストはどうやって使ったらいいの?」と聞かれることがあるので、近いうちに、味噌汁の基本的な作り方とか、味噌を使った料理なんかのワークショップを行う予定だ。

そうそう、最近は麹なんかもこちらで売っている業者がいるので、麹を使う発酵食品も流行り注目されている。なんでも、昔こちらのちょっと名が知れたシェフのレストランで働いていたパン職人のジョアナが言うには、店で麹から味噌なんかも作っていたというからすごい!

かく言う私も、近頃麹を使った酒種でパンを作るのことが習慣になっている。

この日は酒種酵母で作ったベーグルたち。






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