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祖国がふたつ、#MeTwoというハッシュタグ

ドイツと日本のハーフ、コラムニストのサンドラ・ヘフェリンさんが朝日新聞GLOBE+に#MeTwoについて書いていた。

MeTooではなく、MeTwoとは一体何なのか?
(上記記事より引用)

このMeTwoのTwoは英語で「2つ」の意味です。つまりMeTwoは「私にも祖国(やルーツ)が『二つ』あります」と訴えかける人々の投稿なのです。Twitterには#MeTwoのハッシュタグのもとドイツ語の投稿が数多くあり、ドイツのメディアでもMeTwoにまつわる発信が多く、ひとつの運動になっています。

ロシアでのワールドカップにおいて、ドイツ代表のサッカー選手エジルが、トルコ大統領エルドアンと一緒に写真を撮ったことが発端だった。
エルドアン大統領を支持しているのではないかと批判されたエジルは、その後引退を決意することになった。

移民を受け入れているドイツであるが、人種差別は根強く残っている


わが家の子どもたちも、祖国をふたつ持つ日独ハーフである。
この記事を読んで、子どもの名前をつけたときのことを思い返していた。
赤ちゃんが誕生し、初めての夫婦の共同作業、名づけ。
ドイツに住んでいても、日本の心も忘れないように日本名をつけたほうがいいのか、やはりドイツで暮らしているのだから、ドイツ名にしたほうがいいのか、それともドイツ名でも日本名でも共通で使える名前がいいのかなど、いろいろなシチュエーションを考えながら検討していた。

そんな中、旦那さんが「いまだにドイツでは人種差別が激しいので、子どもたちが名前で不利になるようなことだけは避けたい。仕事を探す際など、名前が外国人というだけで、対応すらしてくれないこともある」と強く主張した。
トルコ生まれの「異文化間の平和」代表Ali Can氏も同じような経験をしている。
(上記記事より引用)

「ドイツで物件を探す際に不動産屋さんで、すぐに自分の職業を言い、ドイツ語に流暢であることを早い段階でアピールしないと、外国風の名前と容姿ではねられてしまう」とその苦悩を語っています。

もちろん子どもたちに、祖国がふたつあることの素晴らしさ、プライドを持って生きていくことを教えるのは大切である。
しかし、親は当事者ではない。
問題にぶつかり、悩み、困難を乗り越えていかなくてはならないのは、私たちではなく、子どもたちだ。
世の中に存在する人種差別についても、深く話しあう必要があるのではないだろうか。
子どもたちは人種差別の存在を知ることにより、いざというときに解決方法を見つける手段を得ることができるはずだ。

残念ながら世界の人種差別が、突然なくなるわけではない。
けれども、SNSという新しい情報発信により、エジルのような問題定義が今まで以上のスピードで、たくさんの人の目に留まることができるようになった。
エジルの発言「僕にはドイツとトルコ、二つのハートがある」のように、複数の祖国を持つ子どもたちが誇りを持ち生きていけるためにも、この #MeTwo という活動を通して、ひとりでも多くの人が人種差別について考える良い機会になれば嬉しい。

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