OTA YUKI

2001年8月、イタリアでの人生が始まる。13年という月日をフィレンツェ中央市場の食材…

OTA YUKI

2001年8月、イタリアでの人生が始まる。13年という月日をフィレンツェ中央市場の食材店に費やし、2021年より「OLIVE DELLA YUKI」として、トスカーナ産オリーブオイルをプロデュースし始める。そんな私の、オリーブオイルにまつわる大きなひとりごと。

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  • 私のイタリア生活

    日々のイタリア生活で感じたことや思うこと。

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    OLIVE DELLA YUKI が綴る、オリーブオイルづくりに纏わるストーリー

  • イタリア オリーブ日和

    「イタリア オリーブ日和」では、ありふれ日常の中で、どんな天候に晒されても、どんと構えているオリーブの木々に囲まれたオリーブ畑で、その時見たもの、感じた事をつらつらと書き綴っていこうかなと思っています。

  • イタリア 人間模様

    イタリアで出会った、様々な人たちのストーリー

最近の記事

オリーブオイルは何と味わう

5月になった。 オリーブはまだ花芽で、咲くのはもう少し先になりそう。 農協的スーパーに行った。 この時期は、そら豆やアスパラガスなど 春の野菜が並んでいる。 旬の野菜は、季節ごとにあるけれど 春の野菜を見てワクワクするのは、なぜだろう。 グリーンピースも売られていた。 房ごとドサっとカゴに入っていて、 好きな分だけ袋に入れて 量り売りで買う方式。 イタリアの野菜は、パック詰めのものもあるけれど こうして、量り売りで購入するのが常だと思う。 ぷくぷくとして、美味しそうに見え

    • 気になる樹形

      4月も、あっという間。 いつもより暖かい…というより、暑い日が続いた初旬は、 もう夏が来たのか…と思ってしまうくらい暑かったけれど 中旬過ぎから標準を下回るくらいに肌寒い日が続いている。 お天気はいつも、読めない。 オリーブは、いつもより少し早めに花芽をつけていて 今年は早く咲くのかな…と思うのだけど、どうだろう。 日頃お世話になっている農業組合へ オリーブ畑の状況確認という名の年会費の支払いへと出向く。 変わっている事はなにもないし、まあ、いつも通りなんだけれど 年会

      • 作り手としての思い

        4月も半ば。 オリーブ栽培に携わるようになって、 早くも、4年目の年を迎えようとしている。 今年のノンフィルターオリーブオイルが、現地のイタリア人にも人気で、 フィルターがけをする前に50リットルほど、別のタンクに保存していたものも おかげさまで、完売に至った。 フィルター済みの方はまだ少し、余裕があるものの こうして少しずつ、いろいろな方にその味を知ってもらえるのは 本当にありがたいことであり、嬉しく思っている。 とりわけ、 販売人というよりかは、作り手としての立場で

        • 花の咲く時期

          4月の初め。 新芽が出たなぁ…と思ってからわずか2週間ほど経って、 気がつくと、もう花芽をつけているオリーブの木々たち。 販売の方が一旦落ち着いて、剪定も終えた最近は もっぱら、新年度の価格改定で 計算機とにらめっこをしている。 「値段を設定するのって難しいね。」友達と、そんな話になった。 これから本格的に事業を展開しようとしている友人は、 どんなふうに、そのサービスに値段をつけて良いのか、迷っているのだそうだ。 私のオリーブオイルも同じ。 必要経費から換算してベース

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        記事

          いろんな手法

          あっという間に、4月。 今年は雨が多くて、暖かくなってきたこともあるからか、 雑草の成長具合が激しい。 登録している IGP の決め事で、trinciatura と呼ばれる除草や草刈りは 5月の中頃まで出来ないから、ほぼほぼ放置状態。 なので、オリーブ畑を歩き回るには、少々、歩きにくい。 先日、たまたま、知人に教えてもらって オリーブではないけれど、日本にはいろいろな農法がある事を知った。 イタリアは、どうなのだろう。 私のオリーブ畑は、「自然農法」。 有機栽培の登録を

          いろんな手法

          春の装い

          3月も終わりに近づいている。 オリーブ畑は、春の装いで、 新芽が顔を出し始めた。 「今年は雨が多いねぇ。」 世話役フランコがポツリと言った。 この時期、雨が降った方が オリーブの木々にとって良いのか否かは、 よく分からない。 ただ、ものすごい勢いで 雑草が生え始めている。 定期的に草刈りしているご近所さんのオリーブ畑には 黄色い花が咲き乱れていて ああ良いなぁ…と思っていたら、 実は、うちのオリーブ畑にも咲いているけれど 背の高い雑草で見えないだけだった。 すっかり、

          春の装い

          オリーブの木々と向き合ってみる

          雨の多い日々。 週末のみ滞在するオリーブ畑で、雨の降らない合間に、今、最も時間をかけているのは、広がった根から生えている小さな枝を切り落としていくこと。 この枝をイタリア語では「pollone」と言う。 ここを借りつけるまで、もう何年も放置され、2年前に収穫隊にお願いして一斉に剪定したものの、足下から生えているこの「pollone」は、残されたままの木が点在していた。 320本 この一本一本をじっくり見ていく…となると、気が遠くなる。 けれど、やるしかない。 というより、

          オリーブの木々と向き合ってみる

          オリーブオイルの値段について、もう少し考えてみた。

          先日の、この記事の後、 興味深いコメントをいただいたので、もう少し考えてみた。 「500mlで、850円」 イタリアでよく、論議を生むオリーブオイルの金額は、「1リットル5ユーロ」。 まあ、似たようなものかもしれない。 この金額で提供できるものならしてみたい気もするけれど、 小さな農家でかかる経費は莫大で とてもじゃないけれど、出来そうにない。 で、どのような内訳になったら、 この金額を絞り出せるだろうか…と考えてみる。 いただいたコメントには、「大量に仕入れることに

          オリーブオイルの値段について、もう少し考えてみた。

          美味しいものは、美味しいうちに

          今日も、搾りたてオリーブオイルをいただく。 勿体無いような気がして、遠慮がちに使いそうになるところを あえて、沢山使う。 オリーブオイルの賞味期限は、ボトルに詰められてから18ヶ月間の日があるけれど、 搾り取ってからまもなくのほうが、断然美味しい。 オリーブオイルは、光に弱いから、遮光性のあるボトルであっても、徐々に酸化していく。 酸化すると、香りも変わってしまうし、油っぽくなる。 美味しいオリーブオイルは、何に使っても、美味しいけれど、 とりわけ、バゲットに浸すようにつ

          美味しいものは、美味しいうちに

          剪定という哲学

          今年のイタリアの冬は、本当に暖かい。 まだ2月だというのに、すっかり春の陽気で、日中は、18度くらいの日が続いている。 剪定にはもってこいの日々。 少しでも、経費をうかせる…ということもあるけれど、 きちんと、オリーブの木々と対面したいこともあり、 出来るところは自分たちでやっていきたいと早速、剪定バサミを買ってきた。 さて、どこを切れば良いのだ??? オリーブの木の、途方もなく広がっている枝を見上げて、しばし、止まる。 オリーブの木は、土からの養分を吸い上げて、枝の先

          剪定という哲学

          オリーブオイルの値段の本当

          先日、知り合いに聞かれた。 「レストランで扱っているオリーブオイルが500mlで850円って、値段的にどうですか?」 500mlで850円… 暫し、思考が止まる。 ユーロにしたら、5ユーロちょっと。安すぎないか? オリーブオイルの中でも高いと評判のトスカーナに居るから、そう思うのだろうか。 いくら大量に輸入したとして、その金額は、トスカーナの標準的なオリーブ農家が作るオリーブオイルの金額からいくと、完全に原価割れしている。…と思う。 オリーブオイルを生産するのに、どうい

          オリーブオイルの値段の本当

          イタリアの農家デモで思うこと

          今、イタリアでは、農家によるデモが繰り広げられている。 イタリアの各地から、多くのトラクターが出動し、トスカーナ辺りだとローマまで向かって集結し、デモを行っている。もう、何日も。 それは、ヨーロッパ共同体が推し進める「グリーンディール政策」というのに立ち向かうためである。 「グリーンディール政策」では、増え続けるとされている二酸化炭素を減らす為の対策として、家畜や肥料の制限、軽油の廃止、二酸化炭素を一定以上排出することに対しての課税など、実際には、それが本当に、環境対策に

          イタリアの農家デモで思うこと

          初めての剪定

          ぽかぽか陽気の2月の初め。 日中は、15度くらいまで気温が上がるオリーブ畑は、すっかり春の陽気。 もう既に剪定をし始めていた周りに刺激されて、とうとう、やる気になった。 剪定をするのに、一番気になることは、気温の差。 特に、風向きの関係で、いきなり冷え込む日がやってくる可能性があるうちは、 オリーブの木に悪影響を与えてしまうから、先を読まないといけない。 春になったら安定するかと言うと、ここ数年のトスカーナでは、3月から5月になっていきなり冷え込んだ年もあったりで、安心は

          初めての剪定

          悩みどころ

          1月終わりのオリーブ畑。 透き通った青い空と、緑の絨毯に囲まれたオリーブのコントラストがなかなかに美しい。 遠くを見ると、パタパタと羽を羽ばたかせた沢山の鳥たちが、土を耕すトラクターの後ろを占領している。 鳥たちにとって、きっと何か美味しいものが掘り起こされているのであろう。 この時期は、畑を耕すのに良い時期なのか。 そんな姿を眺めている。 近くのオリーブ畑では、もう剪定を始めているところもあって、ザックザックと切り落とされたオリーブの枝が、オリーブ畑のそこここに広がって

          悩みどころ

          どんどん値上がりする中で…

          1月も中旬が過ぎ、オリーブオイルの販売が少しずつ落ち着きを見せ始め、代わりにやってくる支払いのあれこれ。 搾油の料金、配送料、忘れそうになるけれど、会計士にも払わなくてはいけない。 請求書を見ると、今年もやっぱり、値段が上がったなぁと思う。 高くなる一方。 これからこの先、上がることはあっても、下がることはないのだろうかと、思ってしまう。 そこのところを、なんとか抑えたい。 まだ、今年度のものを売りつくしていないけれど、今から考える来年度のこと。 ラベルの手配、必要数のボト

          どんどん値上がりする中で…

          オリーブオイルの味を楽しもう

          11月から販売したオリーブオイルの注文が、ひと段落つきそうな1月の半ば。 ようやく一息つける時間が取れるようになってきた。 3年目となる今期は、ちょっと駆け足で進んだ感じがしている。 搾油の最終日が11月の2日で、フィルターにかけたのが、その1ヶ月後。 搾油してみないと分からない、その味を表現するのは、実は、難しい。 3年目にして、少しずつ、自分の手がけている畑から出来るオリーブの特徴を掴みつつあるのだけど、その年によって、やっぱり微妙に違うらしく、お客様の反応が、なかなか

          オリーブオイルの味を楽しもう