箱根駅伝と「アメリカ横断駅伝」

この時期になると、箱根駅伝の話題をあちらこちらで目にします。私も毎年繰り広げられるひたむきな走りの数々を楽しみにしていますが、東京新聞の記事に「箱根駅伝はアメリカ横断駅伝の予選会として考案された」といったことが書いてあり、そんなことはまるで知らなかったので驚きました。

1912年のストックホルム五輪でマラソンを走った金栗四三さんが、世界に通じる選手を育てるためにと考える中で、「何かスケールの大きなことはできないかな」と友人たちと話す中でアメリカ大陸を横断する駅伝というアイデアが生まれ、まずは国内で予選を、ということで箱根駅伝が誕生した、のだそうです。

アメリカ横断駅伝というのは、実際には実現しませんでした。でも私はこの話を読んで、『遥かなるセントラルパーク』という小説のことを思い出しました。1930年頃のアメリカを舞台に、ロサンゼルスからニューヨークまでを駆け抜ける大陸横断マラソン(駅伝ではなく)に出場した選手たちの波瀾万丈のレース模様を描いた小説です。

とてもワクワクする物語で、サスペンスの要素もあり、いずれちゃんとnoteで紹介してみたいと思っている作品です。この小説はフィクションですが、1928年と1929年のアメリカで、大陸横断マラソンというとんでもない大会が実際に行われたのだそうです。1928年にはチェロキーインディアンの選手が優勝したのだとか。

箱根駅伝のアイデアの元となったアメリカ横断駅伝は実現しなかったけれど、ほぼ年代を同じくして、駅伝よりもさらに過酷であろう大陸横断マラソンが行われた。途方もないことに挑戦しようという時代の雰囲気のようなものが、ちょうどその頃の世界を覆っていたりしたのでしょうか。なんとも、夢のある話だと思います。




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