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全国学力調査を逆手に取ったら?!

エドカフェ No.16 視聴者の質問より〜大空小のなぜ〜

映画「みんなの学校」を観た人からこんな声が届く。
「みんないっしょに学ぶ大空小に希望をもったけど、結局は全国学力調査は別にするんや?!あの子らが点数下げるからって結局排除するんや?!」
特に当事者の親御さんは従前の学校教育に対して「排除されてきた」という苦しみをずーっと抱えて来ているので、簡単には納得されない。

問題の場面を巡って・・・

全国学力調査を受ける子は多目的室へ移動。
数名の子は教室に残ってその子に合った問題をやる。

これが大空小のやり方

さあ、みなさんのご意見をどうぞ!
(泰子さんはマスクをして口を閉じるʕʘ‿ʘʔ)

ひとしきり参加者の意見を聞いた後

「ちゃうやろ!」

と笑顔で参加者をどん底に突き落とす泰子さん(^^;;

文科省がやろうとする全国学力調査って誰のため?

全国学力調査は、学習指導要領に基づいた先生たちの指導の結果がどうかを見返す教員のための調査。子どものために作られたものではない。

文科省の下ろして来ている学習指導要領はすべての子に必要な内容になっていますか?

この年大空小は6年生で特別支援学級在籍児童と言われる子が10人。この子たちは、文科省の下ろす学習指導要領に基づいた学習を日頃していない。その子にとってどんな力が必要か、お家の人と相談しながら一人一人個別の指導計画をつくっている。それを教育委員会から文科省に送っている。だからこの子たちはこの調査の対象にはならない。それを一緒にやらせるなんて、そんなこの子たちに失礼なことできますか?だからこの調査を「すべての学校でやりましょう!」ということになったとき、教育委員会に「大空小はできません。」と言いに行った。

やるとなったら自分達の得になるように

「やれ」って言われたとき「やらない」と断りに行ったわたしだったけど、「よっしゃ!やらなきゃならないなら自分達に得になるようにやろう!」ということに。
大空が大事にしている4つの力「自分の考えをもつ・自分を表現する・チャレンジする・人を大切にする」をそれぞれに出し切って挑む子どもたち。

多目的室でみんなと同じテストを受けていた子にも特別支援学級在籍の子が数人いる。
「0点でもいいからチャレンジしたい!」
そんな子はいっしょにやっている。本人がやりたいと思っているなら全然問題ない。

映画のユウちゃんのあの顔。ユウちゃんがどう思ってるか聞かなきゃわからないけど・・・
普段はみんないっしょがあたりまえで、「ここにいたら全然わからないから職員室でやってくる」など、困れば主体的に出ていく子どもたち。ユウちゃんもいやなときは「わあー」って出ていく。
でもこの日は逆に「みんなどこ行くの?」「どこ行っちゃったの?」「何しに?」とあの変な顔。
「ユウちゃんは行かないの?」って言うから「あっち行ったらみんなめちゃくちゃ難しい問題やるねん。ユウちゃん行くか?」って言ったら、すぐ「いかん」って自分のことばで返した。そのあとの校長の言葉はでまかせ。
「みんな向こう行くけどユウちゃんはこの部屋でユウちゃんができる全国学力調査を今からやろうと思う。」って言った。これうそ。この子たちの全国学力調査は送られて来ない。

文科省もわかっている

このことに関しては、この「みんなの学校」が上映化されて1番最初に文科省の中で自主上映され官僚300人くらいが観たとき、当時の文部科学大臣と話をした。「全国学力調査の日は365日の中で唯一、大空小が意図的計画的に子どもたちを分断する日なんですよ。」って。「指導要領に基づいて学習をした子どもたちの結果を調査をするのが全国学力調査なんだったら特別の指導計画を出して学んでいる子どもたちにも全国学力調査を文科省が送ってこなきゃあかんのんちがうのですか?」って。6年生10人いたら10通りの。そしたら「その通りですね。」って言っていただいた。わかっていただいているわけだから、もう人に頼らんとやらなきゃいけないからやるじゃなくて、それぞれの学校現場が考えてやるしかない。

全国学力検査が学校現場にもたらしたこと

全国学力調査がどれだけ先生たちを惑わし、保護者を迷わし、子どもたちを苦しめたか?
これがあるために全国どれだけの子が学校行けなくなって、勉強できないからって「はい、障害あります!特別支援学級に在籍」と言われ、全国学力調査を受けない対象児にされたか。目に見えないプレッシャー、ノルマみたいなものにどれだけ学校現場が振り回されたか?

2年から5年生まで学校行っていなかった子が6年生で転校して来た。自分から大空なら行けるかもと。その子が言った。
「校長先生あしたな、全国学力調査やからぼくはお休みする日やね。」
「なんで?いやなんか?」
「前の学校は、先生が難しいテストの日は勉強のあんまりできない人はお休みしてもいいよって言っている。だからあんたは休んだ方がいいってお母さんに言われた。」とその子。
「あんたが休みたかったら休み。でも自分が全然わからなくても一問でもチャレンジしようと思ったら堂々とチャレンジし。決めるのはあんたやで!」って言ったら「うん、おれチャレンジする!」と言って来た。

重ね重ねびっくりの事実!!!

ある年、区から要望があった。区14校に対して、来年入学する就学児をもっている保護者に、どの学校に行きたいか選んでもらう資料として、学校の特徴に加えて全国学力調査の結果を全部載せてほしいと。
職員で話し合ったけど、目的が明確でなかったら載せる必要はないっていう意見で一致。「こんなの出す学校ないよね?」って・・・。
その冊子が配られたときみんなびっくりしたことが2つ!
14校の中で出さなかったのは大空小だけだった。

もうひとつはその数値。今までよそと比べるなんて想像もしたことなかった。ところが、まわりが30何ポイント大空は60何ポイントという結果だった。
大空小は他の学校の2倍くらいの数値になっている!
「なんでこんだけ差があるんやろ?!」

そんなとき、見守り隊をしている地域のパトレンジャーのおじさんが学校に来て言った。
「大空小は学校行けない子が行けるようになったってみんな喜んでいたけど、勉強はできひんな。ややこしい子暴れる子そんなしんどい子いっぱいいるから勉強はできひんな。って言われて悔しい」と。
よその学校はみんな数値公表しているけど大空だけ公表していない。やっぱり低いから出せないんだな。って、そんなふうに世間は見てしまう。
あそこには重度の障害のある子や、発達障害や、多動や、暴れて机倒したり、いつも「あー!」って大声上げている子がいるし・・・だから他の子ら集中できない。勉強できない。みんな我慢してるんやなって。今だにそんな声はいっぱいある。
わたしらは「いや、それちゃうやろ!」って。
自分と違う友達といっしょにおるから集中力つくし、考える力つくし、結果として見える学力も点数も数値も上がる。
自分で安心して人のせいにしないで子どもが学んでたら結果なんか出る。

それをやっぱり公表しようと言って公表した。
そのときはB問題が一位の県の8ポイント上だった。

保護者も当事者になれば文句は言わない

学校は保護者にサービスするサービス業じゃない。
「みんなの学校」っていうのは全国のパブリックの代名詞。小中高どこでも「みんなの学校」をつくればいい。
誰一人取り残さない学校をつくるなんてひとりでできるわけない。先生が逆立ちしてもできるわけない。よっぽど洗脳力がない限り。
みんなの学校は、子どもがつくる。教職員がつくる。保護者がつくる。
自分の子どもが学ぶ学校を自分がつくる保護者が学校に文句言ってどうすんの?
文句を意見に変えて、「こうしたらどう?」「わたしここ動くわ。」これが対等な関係。こんな関係につながっていったら子どもも安心して自分の学校をつくる。
自分の学校つくれれば誰一人取り残されるはずがない。


〜他にもこんな話題が〜
・給食あるある。手を合わせる。みんなそろうまで待つ。についてあれこれ。
・新学習指導要領の中身は?
みんなと同じことができることで評価される時代はもう終わり。
人と違うことができることが評価される時代。
みんなと違うのがあたりまえ。勉強できるできない、しゃべれるしゃべらないなど、子ども同士の違いを尊重しあえば対等な関係性でつながれる。どこにも格差はない。この子たちが10年後差別や排除のない社会をつくる。



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