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ムーサのお母さんの話

タワッカルとは、
神様に頼りきりながらも、自分ができる最善のことをすること。
神様はタワックルをする人を愛され、
最後の審判の日には、何も聞かれることなく天国に直行できる。
と前回は書いてみました。

今回はタワックルの精神をよく表わしているお話を
クルアーンの中から紹介してみたいと思います。

お話の主人公はムーサ(英名:モーゼス)のお母さんです。
預言者ムーサさん(平安あれ)は、
クルアーンの中で一番登場回数が多い預言者さんです。
そして彼のお話は、なにしろ面白い!
子供達に話して聞かせると結構ウケます。
ウケるといっても、別に笑いを取るようなものではもちろんなく、
興味深い、ためになる、そーんなお話の連続です。

今回のお話は、まだ彼が赤ちゃんの頃のお話。
(お話といっても実話なんですけど、、、)

舞台は古代エジプト、ファラオ王の時代。
このファラオはかなりの悪者で、ユダヤ人達を奴隷として
こき使っていました。
彼は、奴隷の数が増えて王様に歯向かってこないように、
男の子が産まれたら全員殺していたそうです。
ただ、全ての男の子を殺してしまうと、それはそれで働ける奴隷がいなくなってしまうので、一年おきに赤ちゃんを殺していたらしいですね。
さて、
ムーサ(平安あれ)は、そんな”赤ちゃんを殺す年”に産まれてしまいました。
ムーサのお母さんは焦ります。
せっかくちゃんと産まれてくれたのに、もうじき殺されてしまう、
どうしようと。

これが今回のお話のスタートです。
続きはクルアーンから抜粋してみましょう。

そこで我(アッラー)は、ムーサの母に啓示して言った。
「彼に乳を飲ませなさい。彼の身の上に危険を感じた時は、
 彼を川に投げ込み、恐れたり悲しんだりしてはいけない。
 我は必ず彼をあなたに返し、使徒の一人にするであろう。」

お母さんは、神様からの啓示通り、
ムーサをバスケットに入れて川に流しました。
バスケットに乗った赤ちゃんは、どんぶらこ、どんぶらこ
と流されていきました。
そして、なんとそのバスケットを拾いあげたのは、
全ての赤ちゃんを殺せと言っていたあの”ファラオ”
の家族だったのです。
クルアーンの続きを見てみましょう。

「ファラオの家族は(後日)彼らの敵となり、悲しみの種となる
彼(ムーサ)を拾い上げた。
本当に彼らファラオとハーマーンそしてその軍勢は罪深い者達であった。
ファラオの妻は言った。
「これは私とあなたの目の喜びです。彼を殺してはいけません。
 私たちの役に立つこともありましょう。また養子にしてもいい。」
彼らは、その行っていることの意味に気づかなかった。
ムーサの母の心は空になった。もし我がその心を強くしなかったならば
彼女は危うくそのことを打ち明けてしまうところであった。
やっと彼女は信者の一人としてとどまった。

そして彼女は(ムーサの)姉に「彼の後をつけなさい」と言った。
そこでかの女は遠くから見守っていたので、彼らは何も気づかなかった。

我は前もって、ムーサに乳母の乳を禁じておいた。
それで彼女(ムーサの姉)は言った。
「あなたがたに彼を育てる人をお知らせしましょうか。彼に
懇ろに付き添う者達であります。」

こうして我は、彼をその母に返してやった。
彼女の目は正気を取り戻し悲しみも消え失せた。
彼女はアッラーの約束が真実であることを納得した。
だが、彼らの多くはこのことが分からなかった。』
(クルアーン 28:7〜13)

ムーサのお母さんは二つのことをアッラーから命じられます。
オッパイを飲ませてから、川に流す。
そして恐れたり悲しんだりしてはいけない、ということ。
それから、神様は二つの約束をされました。
ムーサはすぐに返す。
そして彼を使徒の一人にする、と。

ムーサのお母さんは、神様を信頼して
自分の赤ちゃんを籠に入れて、川に流しました。

フツーしませんよね、そんなこと。
尋常な行動ではありません。
しかし、もう仕方がない。
神様を信じ頼り切るしか方法がないのですから。
このお母さんのすごいところは、ただ単に赤ちゃんを川に流すだけではないんです。
自分の娘に後をつけさせるという点が、すごいと思うんですねえ。

神様を信頼し、頼りきりながらも
自分ができ得ることを全ての事をやる、という姿勢。
タワックルのお手本中のお手本ですね。

そんな彼女の頑張りに対し、神様はちゃんといろいろなことをしてくれました。
まずは、赤ちゃんが川に落ちないようにしてくれました。
それから
ファラオの奥さんが拾ってくれるようにしてくれました。

この奥さんが実はスゴイ人なんです。
名前をアーシアさんとおっしゃるのですが、歴史上の女性の中で4本の指に入る人なんですよ。
何の分野で”4本指か”と言いますと
「信仰を極めた人」だそうで、、、。(すごい!)
そんな女性が、ものすごい悪人とよく結婚していたものですよね。
(結局最後はファラオに殺されちゃうんですけど、、泣。)

続いて神様は、
ムーサが誰のオッパイも飲まないようにしてくれました。
そのおかげで、ムーサのお母さんが乳母として雇われることになったわけです。

神様は約束通り、
すぐにムーサを返してくれました。

それだけでなく、
乳母として雇われたおかげで
安心して住む所と食、ついでにお給料までもらえるようになったわけです。
自分の子供を育てながら、ですよ。
こうして約束以上の結果を、お母さんは手に入れられました!
めでたし、めでたし。

神様には、常にプランというものがあります。
そのプラン(計画)というのは私たちにはさっぱり分かりませんが、
一つ言えることは
”全ての事はアッラーのコントロール下にある”
ということでしょう。
私たちがそれを認めようと認めなからろうと、そういうものなんです!

私たちができることは
神様が必ずなんとかしてくれるだろうと信じながら
神様の助けを切に願いながら、
ありとあらゆる行動をし続けるのみ。

”タワックル精神”で、全ての事にぶつかっていきましょう!

今日もお付き合いいただきましてありがとうございました。
みなさまに神様からの祝福がたくさんありますように!
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