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「夢」と「利益」~ドラッガーのマネジメントから~

1.はじめに

「夢」の話をすると、ついお金のことを忘れがちになりますが、私たちが貨幣経済社会で生きている以上、お金は無視できません。

そこで今回は、マネジメントの大著であり、ザ・ビジネス書でもある「マネジメント」の「利益」に関する部分を「夢を追いかける人」にも使えるように読み替えてみようと思います。

2.企業とは何か→夢とは何か

マネジメントの序盤は「企業とは何か」というテーマでいろいろと書かれています。

で、ドラッガーは「企業は営利組織だ」という言説を否定するところからこの本の第1章を始めています。

企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである。(ドラッガー:「マネジメント」P15)

ドラッガーは「企業は利益を求める組織ではない。お客さんを創るのが目的だ」と言っているわけです。

ここでいうお客さんを創るというのは、「これが欲しい」と思ってもらい、それを手に入れてもらうことでより社会が豊かになることを意味していると私は解釈しています。

これを「夢を追いかける人」に当てはめると、「夢とは、それを実現することで誰かのニーズを満たして、社会を豊かにすることである」と言えます。夢というと内側に内側に考えがちですが、外に目を向けると、またちょっと違った視点を得ることができます。

次に、本丸である「利益」についてのお話をしようと思います!

3.利益とは活動を続ける条件である

ドラッガーの利益に関する考えが端的に述べられているのが以下の部分です。

利益は個々の企業にとっても、社会にとっても必要である。しかしそれは企業や企業活動にとって、目的ではなく条件である。企業活動や企業の意思決定にとって、原因や理由や根拠ではなく、その妥当性の判定基準となるものである。(ドラッガー:「マネジメント」P14)

ドラッガーは「利益は必要だ」と言いますが、それ自体が目的なのではなく、あくまで企業が顧客を創造し社会を豊かにするための活動を続ける条件として「利益」が必要だと言っているのです。

よく考えると、これって結構当たり前ですよね。赤字をずっと続けていたら、そのうち会社倒産しますもんね。

整理すると、
事業を行う→顧客の創造(社会貢献)→利益→事業継続→……
という流れになります。

したがって、「利益の大きさ」はあまり重要ではありません。事業継続に足りる利益があればよいのです。

これはそのまま「夢」に関する活動にも当てはめることができます。「赤字垂れ流し」はまずいですが、「黒字」であれば、その活動は継続して大丈夫ということです。

逆にいえば、「赤字活動」はできるだけ減らすべきともいえます。「利益」は意思決定の道具でもありますから、「赤字=即撤退」ぐらいでも問題ありません。もちろん余裕があれば、ラインは決めたうえで少し続けてみても良いと思いますが。

4.利益と売上は違う

ちなみに、気をつけておく必要があるのは「利益」と「売上」は違うということです。

利益というのは「売上-経費」ですから、実際に手元に残るお金です。給料でいうところの手取りですね。

つい「売上」を気にしてしまうところですが、大事なのは「利益」です!かつそれは大きさよりも「黒字」であることが大切です。

なので、放っておいてもコストがかからないものであれば「売上」が少なくても、その活動は続けてOKと言えます。例えば、Kindleストアに電子書籍を出す場合、出して以降はコストかかりませんので、仮に「全然売れねえ」という状況でも「やめる必要はない」ということです。

むしろ、売上が上がりそうでもランニングコスト(継続してかかり続けるコスト)があるようなものは、余裕がない時は避けたほうが無難です。常にコストを上回る売上が必要で、赤字になりやすいからです。

5.まとめ

というわけで、今回のまとめです!

・夢とは誰かのニーズを満たして社会を豊かにする活動のことである
・利益は活動を続ける条件である
・利益さえ出ていれば、売上が小さくても活動継続OK
・赤字が出ているものはできるだけ早くやめるべき
・ランニングコストがかかるものは赤字が出やすいので避けるのが無難

ぜひ、参考にしてみてください!

<引用文献>
・P.F.ドラッガー著 上田惇生編訳「マネジメント【エッセンシャル版】ー基本と原則」(2001、ダイヤモンド社)

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