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女子であり続けられない

「女子であり続けることが、私には難しいかもしれない」―そう思い始めたのは、いつの頃だっただろうか。目覚ましく変わるトレンドや新しい化粧品、メディアで流れるダイエット情報。そのすべてに興味が持てない私は、おっさんな中身のまま、女性の見た目で上手くごまかしながら世間を漂うことしかできなかった。

化粧を塗り固めた外見。アイロンやコテで無理やり癖づけられた髪。骨のような体。私が身に付けているそれらを見れば、人は「女の子らしい」と言う。「女子力がある」と口にする。

でも、違う。私の顔や髪や服装も女子力ではなく、全てコンプレックスをうまく隠すためのお飾りでしかない。自分に自信が持てたら、すっぴんのまま、部屋着で外出するようなおっさんでいれる。むしろ、そうでありたい、楽だから。

そんな心の中の葛藤は、他人の耳には届くことがない。女子会の中で知っていることが当たり前のように持ち出されるブランド名に頭の中でクエスチョンマークが浮かぶたび、いつも思う。自分はやっぱり女子にはなれない、と。

パンケーキで気分が上がって、新作コスメにウキウキして、ダイエットに励むような女子になりたい。美容院を全力で楽しめて、マツエクするときに心からリラックスできるような女子になりたい。髪からいつもいいにおいがしていて、化粧の香りが香水に交じっているような、そんな女子になりたい。

偽物の女子なら、いっそ全て棄てたい。

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