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スーパーマーケットの日本食材事情_パリ節約自炊生活番外編

パリのスーパーマーケットでは、どこでも必ず日本食材コーナーが棚1〜2本用意されています。そして、醤油、酢、日本米、海苔など、一定の日本食材はパリのスーパーマーケットでも購入することができます。しかし、もちろんフランス人をターゲットにした品揃えなので、日本人の私からすると色々と興味深い点があります。というわけで今回はパリのスーパーマーケットの日本食材事情についてお伝えします。

◆日本食材はアジア食材の一部

上の写真を見ると一目瞭然ですが、日本食材はアジア食材の一部として混合陳列されています。上段は、シラチャソース、タイ辛味ペースト、キッコーマン醤油、キッコーマン焼鳥のタレ、米酢、ガリ瓶詰め、チューブ山葵という順番で陳列されています。フランスのスーパーマーケットの陳列が適当かと言えばそんなことはなく、日本を含むアジア食材棚の横には大抵メキシコ料理食材棚があるのですが、こちらは綺麗にメキシコ食材だけで1〜2本陳列されています。
要するに、日本食材では棚1本作るほど商品を並べられない、需要が無いということです。パリには約3万人の日本人が住んでいると言われますが、日本人は京子食品Kマートなど日本またはアジア食材に特化したお店で買うことが多いので、普通のスーパーマーケットで日本食材がアジア食材と混合陳列されていることは、一般のフランス人が欲しい日本食材の種類が限られているということを表しています。

◆日本食材=オールモスト寿司

上の写真をもう一度見ていただくとわかると思うのですが、少ない日本食材の中で醤油、米酢、ガリ瓶詰め、チューブ山葵、三段目左から日本米、海苔、そして寿司キット。
そう、スーパーマーケットで需要のある日本食材は、ほぼ寿司に特化しているのです。以前「パリの日本料理店名 47都道府県集めてみた」でも書きましたが、パリには犬も歩けば状態で寿司レストランがあります(そしてそのほとんどが中華系かベトナム系の方が経営されています)。スーパーマーケットの中食コーナーでもサンドイッチに混じって寿司はほぼ必ず陳列されていて、フランス人の日常食に寿司はなくてはなら無い存在となっています。もちろんグルメな一部の人は違いますが、大方のフランス人にとって日本食=寿司、日本食材=寿司なのです。

◆日本食材を支える3大ブランド

どこのスーパーに言っても日本食材コーナーで陳列されている3大ブランドはTanoshi(楽)Suzi Wan、そしてKikkomanです。
Kikkoman(キッコーマン)は日本でもおなじみの醤油から始まった調味料メーカーで、アメリカに次いで欧州に進出、1997年にはオランダに工場を作り、そこから欧州全域に日本人が生み出した調味料を広めています。
Suzi Wanはアジア系かと思いきやオランダ初、ヨーロッパで最初のアジアブランドの製品で、日本食材というよりはアジア食材の文脈の中で醤油などの調味料を販売しています。
フランスのスーパーマーケットで最も様々な種類の日本食材を販売しているのがTanoshi(楽)です。フランスのBIO(有機食品)のリーディングカンパニーであるBjorg Bbonneterre et Compagnie社のHPを見る限り、2008年に開発チームが日本に旅行して魅了され、日本食材を展開するに至ったそうです。
日本の皆様からすると、キッコーマン以外は誰?何?という感じだと思いますが、実際にこういう海外のブランドがフランス人の考える、そして入手可能な日本食材を担っているのです。

◆日本メーカーのもう一つの戦い方

日本メーカーの戦い方、一つは既に紹介したキッコーマンのように試食会やレストランへの導入を計りながら食文化の開拓を開拓することですが、もう一つは欧州の文化や嗜好に徹底的に合わせた商品を展開することです。写真上は明治社が展開するHello Pandaという名の、明らかにコアラのマーチなお菓子。コアラではなくパンダにした戦略的意図はわかりませんが、おそらく欧州に多く在住する中華系のみなさんをターゲットにしたか、コアラよりパンダの知名度が高いからだと推察されます。

また、グリコ社はみんな大好きポッキーを欧州では「Mikado」という商品名で販売しています。これは、Pockyが英語ではちょっと複雑な意味になってしまうのを避けるため、そして欧州で人気のジェンガ的なゲームで使われる竹ひごの名称に似ている事や、日本をイメージさせる御門や帝にちなんでつけたそうです。

このように、日本食材メーカーの戦い方も様々です。パリのスーパーマーケットを見る限り、日本食材もアジア食材も区別が付いていなかったり、日本食=寿司になってしまっていたり、まだまだ開拓の余地を大いに感じます。食文化を他国に浸透させるにはとてつもない労力が必要だと察しますが、日本の家庭でイタリア発祥のペペロンチーノを普通に食べるように、トルコ発祥のピラフを普通に食べるように、いつか肉じゃがや鯖の味噌煮が、普通のフランス人の家庭でも食べられる日が来れば嬉しいなと思います。

以下は以前書いたパリの日本料理店特集です♪


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