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両丹日日新聞連載5(2022年3月)

次の100年をつなぐ架け橋に

京都丹波赤堀農場 赤堀 みゆき (綾部市)

綾部市西坂町で農業を営んでます『京都丹波 赤堀農場』赤堀みゆきです。

脱サラからの移住&新規就農で、綾部市に移り住んで10年が経ちました。
夫と共に農業者になって7年目。
京の伝統野菜の「万願寺甘とう」と「紫ずきん」を経営の柱にしながら、他にも水稲、海老芋、黒豆などを栽培してます。

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 私自身は北海道の農家の娘ですが、高校を卒業と同時に上京し、農業とはかけ離れた生活をしてました。
大人になっても土にふれる事は好きでしたが、非農家出身の家に嫁いだ自分が、生業として農業に再び関わるなんて夢にも思いませんでした。

 綾部市西坂町を移住の地に選んだ理由のひとつに、素晴らしい景色があります。
稲刈り前、山間地の谷間に金色の稲穂が広がる、とてもノスタルジックな景色に心を奪われました。
田んぼを中心とした、まさに「日本の風景」です。

 赤堀農場で栽培している「万願寺甘とう」は、皆さんもご存知の通り隣の舞鶴市が発祥の地の伝統野菜で、全国的には「万願寺とうがらし」の名で知られております。
今の姿に定着したのが、ちょうど100年前の大正時代です。
京都丹の国(にのくに)農協管内(舞鶴市、綾部市、福知山市の一部)でのみ栽培している「万願寺甘とう」はブランド京野菜に認定され、京都府内で初めて『地理的表示(GI)保護制度』を受けています。

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もうひとつの柱である「紫ずきん」は万願寺甘とうよりも歴史があります。
「紫ずきん」の元となる「黒豆」(丹波の黒豆)は古くは平安時代から栽培されていたと言われており、お節料理に欠かせない食材としても広く知られています。
黒豆から生まれた「紫ずきん」は、中丹地域特有の気候が作り出す絶品の枝豆です。

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ちなみに舞鶴市の伝統野菜と言えば「万願寺甘とう」の他にも、「佐波賀だいこん」「佐波賀かぶ」「舞鶴かぶ」があります。
この3点は今は生産者が少なく、流通しているのは「佐波賀だいこん」のみです。
水分が少なく実が引き締まった佐波賀だいこんは、おろしにしても良いですし、煮崩れしにくいのも特徴です。
舞鶴特有の気候風土や文化にそれらの野菜が適応し、地元の人々の手が入り、今の時代まで受け継がれている事に敬意を表します。
伝統野菜を深く知れば知るほど、自分が受け継いだ物を繋いでいかなくてはと思います。
 
 「のらXたん ゆらジェンヌ」のメンバーには、同じように伝統野菜で生計を立てている農業者や、担い手となり田畑がある風景を守っている農業者が多数います。
彼女たちが守り次世代へ繋いでいく、食・文化・思いを、ゆらジェンヌの活動を通して共有したいと思っています。
将来的には、ゆらジェンヌ主催の食いく教室などを開くのが夢です。
伝統野菜を栽培する人、販売する人、買う人、食べる人、全ての人が繋がって文化が受け継がれる。
次の100年をつくる架け橋になりたいです。

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