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NYでのオペラ鑑賞〜MET「AIDA」

2022-23シーズン第二弾として鑑賞したのがこちら。12月のマンハッタンはクリスマス色満載。私はオフィスのすぐ近くにロックフェラーセンターがあるのに、点灯されたツリーを見るのは今年初めて(ロックフェラーセンターのツリーは毎年ニューヨークの冬の風物詩となっている)。毎年この時期の5番街はものすごい人混みで、道路を一部閉鎖してポリスが動員される。私もこの日は余裕を持ってオフィスを出て、歩いてメトロポリタン劇場(以下MET)まで向かったのだが(徒歩30分弱)、5番街~6番街の道は人、人、人で、通り抜けるのにかなり時間がかかった。

サッカーの応援歌で有名なあの曲

さて、アイーダについて。「凱旋行進曲」で有名なオペラの中のオペラと言われるこの演目。古代エジプトの首都メンフィスを舞台に、囚われ、奴隷となったエチオピア王女アイーダとエジプトの将軍ラダメスとの禁じられた恋の物語。ここにエジプト国王の娘アムネリスが入り、激しい嫉妬の炎を燃やしたり、アイーダの父(エチオピア王)が登場し、それぞれの人間模様を繰り広げる。毎回METの舞台はその豪華で息を飲むのだが、今回も舞台全面に再現された古代エジプトは一大スペクタクル。凱旋行進の場面では、一体どれだけのキャストが舞台に立っていたのだろう?という規模。

古代エジプトを再現(写真はMETウェブサイトより)


オペラって長いの?休憩時間は?

本作は第1~4幕までで、途中Intermission(休憩)を挟む全3時間50分。3時間半は平均的にかかるオペラの中でもこれは長い方。ちなみに、オペラではこのIntermissionの間に舞台セットの入れ替えをするのだが、今回は2回とも各30-40分とかなり長め。これは壮大な舞台演出のため。観客はこの間、BARで飲み物を飲んだり、談笑したり。また、座席数が限られているので予約のみだが、2階に本格的なレストランがあり、ここで食事を取ることもできる。今回私は最上階のバルコニー席だったのだが、吹き抜けになっている上階から、休憩時間にレストランのスペースで正装して優雅に食事をとる人たち、一体どんな身分の人なのだろうか?と思いをはせた。女性トイレに長蛇の列ができるのもこの時間だが、どんなに並んでもまだまだ時間がある。「お一人様」で行った私はさすがの人間鑑賞にも飽き、後半は持参していたKindleで読書をしていた(笑)。

Intermission中の様子。2階部分がレストランになっている。

言葉は何語?チケットはどのくらい?

本作はイタリア語(ヴェルディ作)。一般的にオペラはイタリア語、ドイツ語などが多いのだが、座席の前に小さなモニターがあり、英語の訳を見ることができる(残念ながら日本語はない)。ずっとモニターばかり見ていると、舞台が見られないのだが、予めあらすじを頭に入れた上で時々モニターを見ていると、言葉がわからなくても、十分ついていくことができる。

座席エリアは1階の「Orchestra 」席から「Family Circle」席まで6段階に分かれる。舞台からの距離、正面か、左右かによっても異なるが、価格はおおよそ$25~$500くらいまで。チケットはネットで簡単に買うことができる。チケットはEチケットと紙があるが、今はEチケットが主流だ。代理店を通じて購入したチケットの場合、入場後、窓口で初めて座席チケットを手交される場合もあるので多少の時間の余裕が必要だ。

キャストの選び方

METオペラに出るキャストは他の欧米諸国同様、毎回多国籍、多人種なのだが、今回のアイーダ役はグラミーアーティストでもあるラトニア・ムーア。アメリカ出身の小柄な黒人女性。別の日はまた違う白人女性がアイーダ役を演じる。大体各作品、各役2-3人のキャストで回しているのだが、この組み合わせが違うがゆえに、同じ作品でも印象が違うという。私はまだ同じ作品、別キャストというのは観たことがないが、一度試してみたい。また、キャストの中にお気に入りの歌手や注目の歌手がいる場合、大抵、その人が出ている日を選んで行くことになる。キャストの他、指揮者(オーケストラの)で選ぶこともあるという。

私の場合は、今回METの専門家を講師にした2022-23年シーズンの見どころに関するセミナーを受講し、お薦めの演目の中から(といってもほとんど全てだったが)5つほど予めチケットをネット予約した。METの場合は「Rush Ticket」といって、当日14時からネット上で売り出す割引チケットもあるのだが、やはり仕事や家の都合もあり、当日いきなり、は予定も立てられないので、100ドル以内の席に絞り、事前予約することにした。

郊外在住ゆえ、一度劇場に行くと、大体終演ギリギリか、最終幕の途中で駅に向かわないといけないのが難だが(最終列車は23時過ぎ。それも最寄りに駅には止まらないので駅からタクシー要)、それでもたまにMETに行き、華やかな舞台を見ると「来て良かったな。」と感じることができる。
(今回は帰りの道中、こんな出来事もあったのだが)


マスク事情

METでは今年の10/24からマスクは「Optional(任意)」となっており、私は今回初めてノーマスクで観劇した。ブロードウェイはこの7月からマスク義務がなくなったところ、METの着用義務はかなり長いこと続いていた。今回は金曜の夜の公演で、座席はほぼ埋まっているように見えたが、マスク着用率は全体の10%ほどか?着用者は年配の人やアジア系の観客に比較的多い印象だった。ちなみに、スタッフは全員着用していた。

休憩時のエリアなどはかなり「密」だが(写真参照)、ここアメリカでのCOVID対策はもう完全に「own risk(自己責任)」になっており、誰かがマスクをしてないから責める、という空気は全くない。「(あなたが)気になるなら、すれば良い」、それだけだ。

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