名称未設定のアートワーク_3

甦れ感性死ね理性。おとなの図工クラブ

あたまではなく、直感で

絵のお題は「ぱあああ」だった。制限時間は5分。

なんだそれ。会場にも「うふふ」「キャキャ」という笑いがあがった。

テーブルに並んでいるのはクレヨンに、絵の具。筆はない。使いやすい細いペンなんかはない。「うまい絵」は描けない。

徹底的に、「あたまではなく、直感で」

表現する時間になるように、工夫されていると感じた。

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この日参加したのは、おとなの図工クラブのワークショップ。
テーマは「理想の未来に近づく」。

絵を描くことを通して、自分の価値観と出会おう。そういう心意気のある迷える人集まれ。そういうテーマだ。

絵を描くときの注意事項があった。

それはこの絵を描く場は、「競争ではない」ということ。「他の人よりうまく描く必要はない」ということ。いつもの善良なあなたのように、正しく「謙虚」であることや「遠慮」は無用であること。

へたでいいんです、ということを言ってくれていた。


絵『ぱあああ』は、華やかなものが多かった。私も黄色やピンク、きれいな感じの水色を使って指で描いた。鮮やかな絵具をパレットに絞り、指で混ぜた。混ざりきらずにグラデーションができた。それもきれいだったのでそのまま使った。

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指で描く。
「紙に描くように、直感的に描ける」さまざまなアプリやツールがある世界で、燦然と輝く「指で描く」。

うまくかけない、コピペできない。直感と感情と体温がそのまま伝わる技法である。

慣れない指塗りだったが、我が「ぱあああ」には、綺麗な色だけでなく心臓をイメージして赤黒いところも描いてみた。

そのあとは、「ぐぬぬ…」も。
 


絵を説明してバレまくるあなたとわたし

絵を描いた後は、グループ内でシェアした。
「こんなイメージで描きました」「私はいまこうなので…」
初対面の人相手に!絵を!説明するなんて!最初は恐る恐る発表した。
 
しかし、自分の絵を説明するというのは、ただ自己紹介するのよりもキャラがバレる。最近どういうテンションで暮らしてきたかもバレる。強く「今を変えたい」と思ってることは知られ、のんきでハッピーなこともばれる。
 

尖っていく直感と老後

後半になるともう完全にバレてるので、照れが消えてきて、絵もどんどん尖っていった。
 
「発想爆発していましたね見てました」と後で言ってもらったけど、描きながら涙が出そうだった。
そのときのお題は「人生最後にみる景色」。
 
白い紙に人間の絵がプリントされた紙を渡されて、自分が死ぬときのことをイメージした。

むーーん


浮かんできたのは、オムライスのイメージ。

オムライスみたいな、ふわふわの卵をチキンライスに乗せて食べるみたいなことをしてたい。オムライス作ろうかな、って思いつける健全な心と、ちゃんとキッチンに向かえる体であるといいな。

多分私はしぶとく80代までは生きてるだろうけど、年上の夫は死んでると思う。犬も母も死んでるだろう。うん、今大事な人はだいたい死んでいるかも。

きっと1人で暮らしてるだろう。もういなくなった家族を思い出すときに、夫に「よかったね」と言ってもらえるような生活をしていたい……ウッウッとマジで泣きそうになりながら描いた。オムライス食べて、ピアノをたくさん弾くのが老後の夢だ。ついでに真っ赤な毛糸でマフラーなんか編んでやる。小さな庭で、野菜も育てている。

棚には今まで行った素晴らしい旅行の思い出の絵や写真が飾られているし、大好きなフリージアの花なんか活けている。文章や絵も描いて、アウトプットもしていたい……ばあさんでも……

というすごく具体的で楽しい死ぬときの絵、ができた。

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こ、これが尖っている絵かどうかはともかく、ものすごく高い集中力で描けたのだった。


価値観の発見

 
他にもたくさんの絵を描いたのだけど、できあがってみると、繰り返しでてくるテーマを発見した。私の場合は、

「型にはめられたくない」
「決まった道を歩けない」

そんな感じだ。

この人は自由に生きたほうが良いんだろうなとわれながら思った。 


気難しいあなたと、絵を描けたなら

同じお題でも、ぜんぜん違うものが仕上がる。絵の具とクレヨンと紙と人がいればこんなに面白い時間になるなんて!
 
このワークショップを会社でのコミュニケーション研修として開催することも多いそうなのだけど、これを職場の上司とできたらどんなに面白いことになるか!それが気難しくて普段話しにくい人であればあるほど、偉い人であればあるほど、えっこんな絵描く人なんだねとキャラがバレまして最高の時間になる気しかしません。はい、最高。
 
人とフラットになれるツールとして、図工はすごく良いね。

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ありのままは楽しい、を体感する

 
想いのままに手を動かす体験は、そのまま「ありのままでいることは楽しい」を体感できる時間だった。

イメージする。

色を決める。

色を混ぜる。

描く。

切る。やぶる。貼る。

直感で良い、やりたいようにやって良い。

この時間自体がすごく強い「ありのままでいていい」メッセージだし、絵を描くのも工作もすごく楽しいし……とっても元気になった。

そしてなんだかさっぱりして、清々しい気持ち。しばらくこのテンションで生きることができたら、気持ち良いなあ。

普段、親として、妻として、娘として、社会人として、「あるべき」「するべき」ことをこなすので1日が終わってしまうような人は、うけるととても楽しいと思われる。蘇れ感性死ね理性!という感じだ。

 

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