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砂澤ビッキ「TENTACLE」展が超クール!イギリス人も一目で虜に😍【全文無料】

イングランド人のお友達から「ユリ、これ一緒に行かない?一目でめっちゃ気になって…」というメッセージが届いたのは2週間ほど前。何気なくこのリンクを開いて、目が釘付けに…。「えええ、何これ超クールだね!行こう行こう」と。そのくらい、力のある彫刻作品だったのです。

そして今日は展覧会のプレビューだったので(要予約)、さっそく鑑賞しに行って来ました。ビッキさんワールドが想像以上に素晴らしく、わたしも友人も興奮が止まらず、そして大きな幸福感に包まれることになりました✨

今日もけっこうな暑さだったので、浴衣でお出かけ~♪帯の上部に巻いているのはイギリスのアンティークレースなのですが、写真を見た日本人の着物友達に「猫の顔にも見えますね!」と言われ。そう言われると猫にしか見えなくなるマジックです😆

こちら、たまたますごく空いていた一瞬を捉えて撮影したのですが、こんな感じの空間が2室というわりと小規模な展示です。しかし、そこに広がっている砂澤ビッキさんの世界は超パワフル…!!

さて、では作品を見てみましょう。おおお、なんかすごい細かい彫刻で神秘的…!!ファンタジー世界に魔法アイテムとして出てきそうです。

しかもこれ、箱なんですよね。ステキすぎて…。何を入れようかな?(笑)

BIKKYという作者の名前が彫られています。砂澤ビッキの本名は砂澤恒雄(すなざわ・ひさお)。子ども時代に非常に活発でぴょんぴょん飛び跳ねていたことから、アイヌ語で蛙を意味する「ビッキ」というあだ名がつけられ、アーティストとしてその名前を使うことになりました。

彼の作品を見て、イングランド人のお友達が「ちょっとスチームパンクっぽくない?」と。わたしも同じような印象を受けていたんですよね~。

スチームパンクは一言では説明がむずかしいのですが、良かったら上記リンクをご覧ください。

しかもね…。彼の彫刻作品は関節などの細部がちゃんと動くんです!ビッキさん本人は、「自由に触って動かしてほしい」と願っていたそうなんですが、さすがに壊れやすいものではあるので今回はそれはナシで(笑)。

ただ、そのような作り手のオープンな姿勢が、作品からじわじわ伝わってくるんですよね…。

砂澤ビッキさんは1931年生まれ、1989年に57歳という若さでこの世を去りました。見るからにあたたかくておおらか。他人や自身の子どもにすら「ビッキ」というあだなで呼ばせていたそう。

なお、今回の特別展のためにビッキさんの奥様(写真右)がはるばる北海道からお越しくださいました。ちなみに左の方は北海道立近代美術館で学芸部長を務めていらっしゃる五十嵐聡美さん。真ん中の方は会場となる大和日英基金のジェイソン・ジェイムズ局長。

奥様も五十嵐さんも「こんなに大勢の方にお越しいただいて、本人がこの場にいたら、大喜びしてお一人お一人にハグしていたと思います」とおっしゃっていたのが印象的でした💓

でも、彼の作品を見ていると…。

ビッキーさんがもうこの世にいなくても、見る人をあたたかいハグで包み込んでくれるような…。不思議な安心感と幸福感に満たされるのでした。

そして、やっぱりすごいのがこの作品(かなり大きい)。

「この丸い柄は、アイヌ文化と関係があるのでしょうか?」と五十嵐聡美さんにお伺いしたところ、面白いお話が聞けました。

「これはアイヌ文様ではないんです。彼はヨーロッパの『賢者の石』に興味があって。ハリーポッターにも登場しますよね?それで、現存する書籍の中で『賢者の石は円と直線、十字で構成されている』という記述があるんです。そこからヒントを得てこういう柄を生み出したと思われます。」

えええ、そうだったのね~。他にも、ビッキさんは1983年にカナダに滞在して先住民族から直接アートを学んだり、ヨーロッパの鎧兜の金属細工に興味を示したりと、アイヌ文化にこだわらずにさまざまな工芸品からインスピレーションを受けていたとのこと。

奥様はこんなお話を聞かせてくださいました。「ビッキはこう言っていました。『自分がアイヌということを前面に押し出した創作活動は行いたくない。自由に作品を作って、もしもそれをアイヌらしいと感じてもらえるなら、それこそが本物なのだと思う』と。」

こちらはマスク(仮面)です。

たしかに彼の作品は多彩で自由で…。のびのびとした発想と、力強さ、そして自然への愛がひしひしと伝わってきます。実際にあひるを飼うなど、動物をこよなく愛されていたそうで作品にもそれが表れていますよね。

他にもめちゃめちゃ興味深いお話がたくさん聞けたのですが、涙をのんで割愛しますね。ともかく、誰にも師事せず独学で創造を続けたビッキさんの世界は、ユニークでとてつもなくパワフル。日本でも彼の作品にあらためて注目が集まっているとのことなので、もしご機会があればぜひ実物を見ていただきたい、イチオシのアーティストさんでした😉

帰り際に奥様にあらためて御礼を申し上げたところ、「ロンドンで浴衣ってステキね!」と言ってくださり、とても嬉しかったです。ビッキさんもこの場にいたら微笑んでくださったでしょうか。うーん、そうだといいな♪

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