あまくて、はかない
「あの恋」と聞いて真っ先に思い浮かべるのはあの顔だ。
ずんぐりむっくり。顔は全然タイプじゃなかった。体重は私の3倍。笑えない。
だけど、本当に恋していた。あの時は。
たくさん泣かされた。嫌な思いもした。
人様に言える恋ではなかった。教師だったから。
だけど、まっすぐに恋していたんだ。
***
高校生の時、初めて年上の彼氏という存在が出来た。
なんだか甘酸っぱくて苦くて切なくて。砂糖をほんのちょっぴり混ぜたコーヒーみたいな恋。
結局私から振って別れたのだけど、傷心していた冬の寒い日。
「ちこ、どしたん?めずらしいね。元気なくない?」
帰り道を歩いていると、外で部活の顧問をしている先生。
その先生のルックスはお世辞にもイケメンとは言えなかったけれども、フレンドリーでとにかく話が面白い。人気のある先生だった。
「…せ"ん"せ"え"~~~」
「え!?お!?え!?大丈夫かよおい!?!?」
いつも真面目で優等生な私が突然泣き出すなんて、きっと先生も想像してなかったんだろう。珍しく慌てていた。
「…そっか〜恋愛って難しいよなあ」
「…はい……」
普段あんなにおどけている先生が親身になって話を聞いてくれるもんだから、ついつい失恋話を赤裸々に話してしまった。
「…なら、俺がちこの寂しさ、埋め合わせしよっか?」
「………え?」
と、差し出されたミルクティー。そのミルクティーはとっても砂糖がたっぷり入ったあまいあまい味がした。
「「あ、初雪。」」
まるで雪のように、真っ白で儚いピュアな恋。
「あの恋」を、きっと忘れない。
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