真夏の夜に涼しさを ~病院の女の子~

幽霊関係においては、霊感ならぬ零感の自分だけれど…
大学時代、ある友達といた時に限って不思議な経験があったりする。


あれは、20になったばかりで。自分が酒に弱くはない事は知っていても、どれくらい強いのかはさっぱりわかっていなかった頃の話だ。

たしか友達の繋がりで、ライブの打ち上げに混ぜてもらっていた時の事。知らない人だらけの中で、いつしかお酒はくいくいと進み…店を出るまでに、カミカゼというショートカクテルを7~8杯飲んだ記憶がある。座って飲んでいる間は全く平気だったので、気軽に杯を重ねていたのだ。しかし外に出て歩き始めると…一気に酔いが回った。


世界がユラユラして、立てなくなって。
過呼吸を起こしたのか、息が苦しくなった。

友達が、救急車を呼んでくれた。今までに3度乗った事があるが、この時が1番最初の体験だった。救急車の中では、隊員さんから住所を尋ねられ。何度も答えているのに、重ねてしつこく問われたのを覚えている。ハッキリ喋っているつもりが、呂律が回っていなかったのかも知れない。

街中の病院に運ばれ、ベッドに寝かされた。かといって、大人しく眠れるはずもない。酷い吐き気にトイレとの往復だった。何度目かのトイレに向かう途中、ふと隣のベッドがきちんとメイキングされているのが視界に入り。「ああ、夜中に煩くして迷惑をかける心配は無い…」と考えた事を覚えている。

ここまで付き添ってくれた友達は、折り悪く翌朝の新幹線で帰省の予定で。「こんな状態で置いていくのもあれだし…朝まで残ってようか…」と心配してくれたけれど、申し訳ないので少し落ち着いた時点で帰ってもらった。吐き倒して力尽きた自分も、そのまま寝た。

結局病院には翌日の夕方まで滞在し、気持ちの悪さが消えるまで点滴と吐き気止めの注射をしてもらう事になったのだけれど。午後には父と母が呆れた顔で迎えに来てくれて。「隣のベッドに人がいなくて良かったね、夜中に迷惑かけんで」とそういう事を気にする性質の母が、昨夜の自分と同じような事を口にした。恥ずかしい事をした、との自覚はあったので決まりが悪かった。


さて、前置きが長くなったけれども。ここからが不思議な話だ。

しばらく…たしか夏休みだったので1~2ヶ月後くらいだろうか。学校で雑談をしていた時に、付き添ってくれていた友達とこの日の事が話題になった。その時に、友達がこう言ったのだ。「もう、あの時は隣の女の子に申し訳なかったわ。あんな小さい子にまで笑われて、恥ずかしいと思わんと!」

きょとん、とするしかない。
え?女の子?小さい子?え?なにそれ、誰???

友達に詳しく話を聞いてみると、隣のベッドに7歳くらいの女の子が腰掛けていて。笑いながら、こちらを見ていたらしい。ごく普通の服装で、何の違和感も覚えなかった友達は、うちがトイレに行っている間に「こんな夜中にごめんね」と謝ったそうだけれども…

その夜も、翌日も…子供なんて見てないんですけど…?たしかご老人しかいなかったし、ベッドも綺麗にメイキングされてたし…?というか、夜の0時を越えたような深夜に?子供たった1人で?おかしくない?その時間なのに、パジャマでもなく洋服だったそうだし…

自分は実際に目にした訳ではないので、怖くも何ともなくて。不思議な話だなぁ、くらいの気持ちだったのだけれど。過去に何度か幽霊がらみで怖い思いをした事があったという友達は、こちらの話を聞いて鳥肌が立つような心持ちになったらしい。何度も確認されたけれども、朦朧としてた夜中の意識はあやしいとしても。翌日のちゃんとした頭で、自分も母も見ている事で。後から母に、病室やその付近で子供を見かけたかと尋ねてみても「見ていない」と…。


果たして女の子はいたのか、いなかったのか。
ある夏に起こった、真実は謎のまま…というお話でした。

36度の熱帯夜を過ごすには、ちょっと涼しさ足りなかったかな?



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