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犬と手術と食べない日々と

長くてつらかった日々が、やっと終わろうとしている。

この3週間、ずっと犬の心配をしていた。
7/18に書いた「心置きなく、犬自慢がしたい…」の時点で既に食欲不振3日目だったのだけれど、今日までそれが続いていたのだ。


犬の手術

食欲不振が10日も続き、背中を触っても肉より骨が気になるくらいに体重が落ちてきた辺りで「手術の時期を早めましょう」ということになり、7/30に1泊入院して手術をしてもらった。

そして翌日、病院で再会した犬は…さらに痩せ細って。肩を触ると骨の感触がするようになり、毛艶も随分と悪くなっていた。病院では頑なに食事を口にしなかったらしい。水もまともに飲んでいなかったのか、車に乗せて水を出すとすごい勢いで飲み尽くした。

それだけでも不憫なのだけれど、エリザベスカラーが物凄く嫌なようで。疲れ切って眠そうなのに、お座りしたまま動かずジッと固まっている。傷口を気にする様子はなかったので外してやると、すぐに布団に埋もれるようにしてほぼ1日中眠り続けた。

相変わらず、食欲の無い犬

手術で改善を期待していた食欲も、全く回復しない。手術直後からしっかりごはんを食べる子もいるようだけれども、すずはすっかり痩せてしまったにも関わらず食べたがらない。それでも3日間はささみと一部のおやつを少量、嫌々ながら手渡しすると口にしていたのだけれど…4日目にはそれらも全て拒否、何も口にしようとしなくなった。

ただでさえ心配なのに、空腹が続くと嘔吐が始まる。仕方が無くとろとろの半熟卵の黄身を少量ずつ無理矢理口の中に突っ込んで舐めさせるという荒技で、僅かでも栄養を摂らせる。体重がある時ならばここまで心配しないのだけれど、痩せ細っている時に食べずに吐くというのは楽観視できない。


病院と、犬の悲痛な叫び

翌日の8/4は念の為に病院へ連れて行くと、軽い脱水を起こしていると言われて点滴と注射。

ただ入院が非常にストレスだったらしく…病院に向かう道に入ると、時々身体が震え始める。以前は注射もそこまで嫌がらなかったのに、針を刺されそうになると悲鳴を上げて暴れて抵抗するようになっていて。大人しくさせる為に先生がエリザベスカラーを着けようとすると、「殺される!!」と言わんばかりの盛大な悲鳴を上げっぱなしで…思わず先生に「どこか挟んでたりしません…?」と聞いてしまったくらいに悲痛に叫び続けていた。(先生の回答は「これは痛いんじゃなくて、怖がってるんです」だった)


下痢と食欲不振と、回復の兆し

そして病院から帰ってきた晩、我が家に来てから初めて犬が下痢をした。薬を飲ませたいが…何も食べたがらない、ということは当然薬も飲みたがらない。それでも何とか飲ませようと頭を悩ませて。ビオフェルミンをすりつぶして粉にして口に突っ込んだり、辛うじてたまに口にするおやつにまぶして摂取させる。

食欲は相変わらず、ほとんど無い。これまでの好物やおやつでさえも口にしないので。犬の好むという食材をあれこれ買い込んで試してみたり、手作り食を試すも全て撃沈…。しかしなぜか。食べ残したささみが乾燥してカリカリになっているもの、普段はそんなに喜んで食べないおやつ…そういったものは時たま少量口にしてくれるので。「何も食べないよりはマシ」とその日の気分で変わる、口にできそうなものを探して日々をしのいでいた。

そんな日を繰り返し、退院から1週間経って…やっとおやつのビスケットとジャーキーなら口にしたがるようになってきた日は光明が見えた気がした。犬が自分から食べたがる、というのがひさしぶりなのでそれが嬉しくてしょうがない。食べ物を口にすると元気も出てくるのか、起きている時間が少し長くなって。ちょっとしたイタズラをしてみたり、玩具を持ってきて遊ぼうと誘うようにもなった。

再びの悪夢と、飼い主の選択

しかし…翌日に術後の傷口確認の為に病院に行った直後、また一気に体調を崩してしまった…。病院では傷の経過は問題ないとのお墨付きをもらい、下痢止めの注射をされ帰ってきてしばらくすると。犬が連続して嘔吐し、朝に食べた物を全て吐き出した。1時間程すると、今度は下痢が断続的に続き…それが血混じりの便で…トドメのように3回目の嘔吐まで…。

少し良くなってきていたか、と安心していただけにこれはかなりのショックだった。血の混じる下痢ですっかり赤く染まってしまったお尻を拭いてやりながら、泣きたくなった。

とはいえ泣いたって事態は解決しないし、犬が不安になるだけだ。我に返って病院に電話して症状を伝え、どのように対処すれば良いのか尋ねてみると「うーん、いけませんねぇ。吐き気止めの注射でも打ちましょうか…夕方にまた連れてきて下さい」と返ってくる。

が、思い返せば、この犬が下痢をしたのは2度とも病院から帰った後だ。そのことを思い出して伝え、「ストレスの可能性は…?」と尋ねるも「うーん、どうでしょうねぇ」と曖昧な返事。そういえばこの先生とは食欲不振の際にも、ストレスに関しては同じようなやり取りをしたのだった。つまり病院側では判断できない、ということだろう。

再び弱り切った様子で、小さく丸くなって眠る犬を眺めながらしばらく悩んだ。翌日は病院は休みだし、嘔吐が続いてまた脱水を起こす可能性があるなら注射をしてもらった方が安心だろう。でも…この不調の原因が病院や注射にあるなら。また病院まで行くことはストレスにしかならず、この弱った状態で大きな負担をかけることになるだろう。。。

どちらが正しいのか、どちらがこの子の為になるのか…

随分と悩んだ末に、この状態でさらなるストレスを与える方がこの子にとっては良くないだろうと判断した。もしも病院のストレスであれば、連れて行けば症状は悪化する。脱水は起こすと決まった訳じゃないし、もし休院日に起こしたとしても別の病院に駆け込めば何とかなる。むしろ今の病院に苦手意識があるなら病院は変えた方が良い。少し落ち着いて考えると、そういう結論に達したのだ。

結果として、どうやらそれは正解だったようで。失った体力の為か眠り続ける時間はまた少し長くなったものの、少しずつ食欲が戻り始めた。

そしてついに今日、退院後初めてドライフードを口にし始めた。1日に20g以上食べてくれるのも、半月ぶりのことで…犬がフードをかみ砕く音を聞きながら、心の底からホッとしたのだった。


こんなに長々と経過を綴った理由

長い長い3週間だった…。

最初に体調を崩し始めてからは、もう2ヶ月以上で。手術後の痩せ細ってしまったのに食事も摂ってくれない時は、不安で不安で仕方がなかった。ふわふわの毛でわかりにくいけれども、マルチーズはかなり細身の犬だ。毛の下の身体がどんどん肉が削げて骨張っていくのは、本当に辛かった。ずっと撫で続けていたいくらいの柔らかだった毛も、バサバサと艶のないものに変わってしまって…

毎日心配で、本当に元のような元気な子になれるのかと不安で。そんな時に似たような症状の、柴犬ちゃんのBlog記事を見つけた。

血液検査の異常も無く、原因がわからない発情期後の拒食。フードは食べず、ほんの少量のささみや好物で体重が減りつつもなんとか生きている。避妊手術をしたが、術後は元気も無く拒食する日が続いて病院で点滴をする羽目に…

そんな柴犬ちゃんの日々の記録を読み進めていくと、術後の抜糸から数日して2ヶ月半ぶりにフードを食べ始めたと書いてあって…この記事が、ずっと心の支えになっていた。

今はこんな状態だけれども、きっとすずもそうだ。手術から10日くらい経てば、この子も同じように回復してくれるはずだ。よく似ているから、きっとそうなる…。

そう信じることで、不安な気持ちがいくらか和らいで楽になったし。心を明るい方へと向け続けることが出来た。

おそらく大部分の人が興味を持たないであろう経過を、こうして長々と書いたのはそれが理由だ。もしいつか、同じように不安な気持ちになった飼い主さんがこの記事を見つけたら。僅かなりとも安心材料になれば良い、何かの参考になれば…そう思ったから。

だから、忘れる前にこうして記録として残しておく。

●1歳で、初めての発情期だとしても、子宮蓄膿症の初期症状が出てしまうことがある(調べて出てくるのは、もう少し年を取った犬がかかりやすい病気という説明が多い)●ホルモンバランスで食欲不振が引き起こされていると、吐き気止めの注射や薬では改善されなかった●生~半熟の黄身を舌になすりつけると、吐き出せないので拒食の犬でも強制的に栄養を摂取させられる●避妊手術後は、病院や先生がひどくストレスになってしまう可能性もある●避妊手術後もフードを口にしてくれるまで10日くらいかかる場合もある


今のすずはやっと、通常時の5割程度まで食欲が回復してきた。
完全復調まであともう少し、その日が待ち遠しい。

(気づいたら、椅子からテーブルに飛び乗っていたワルチーズ)



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広島で、大人から子供まで人物の出張撮影をしています。自然な情景を、その時間を…切り取って残したスナップ写真は、お客様だけでなく自分にとっても宝物。何かありましたら、ぜひどうぞ!

ユルリラム
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