山田哲人打撃考察

今オフFAの動向が注目される中、残留を決めるとともにキャプテンにも就任した山田哲人選手。
その契約たるや7年総額40億といわれている。
しかし、2020年の山田選手は本来のそれとはほど遠い成績だった。
それに伴いチームも2年連続最下位となってしまった。
その山田選手の何がいけなかったのか素人ながら考察してみようと思う。

OBP(出塁率)とSLG(長打率)

昨今の野球ではセイバーメトリクスをプロのみならずアマチュアまでもが取り入れている。そのセイバーメトリクスの打撃指標で重視されているのがOPSである。OPSはOBP(出塁率)+SLG(長打率)で計算できる。

山田選手が実際にOBPとSLGが年度ごとにどのように遷移していったのか見ていこうと思う。

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トリプルスリーを記録した2015年、2016年、2018年が際立ってよいのに対し、2020年はレギュラー定着後では2017年と並び悪い数字となっていることがわかる。
ここからは直近でトリプルスリーを獲得した2018年と、成績が伸び悩んだ2020年を比較してみていきたいと思う。

打球方向と打球速度

OBPにもSLGにも影響力が高い打球方向と打球速度を見ていきたいと思う。
まずは、打球方向

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トリプルスリーを記録した2018年と比較して、2020年では左方向への打球が減り、その分右方向への打球が増えている。
山田選手は右打者なので、左方向が引っ張りということになる。
つまり、2020年は2018年に比べて、引っ張った打球が減り、流した打球が増えたということになる。

同様に打球速度を見てみたい

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打球速度を見る限りでは2018年と2020年では大きな差はみられない。
同じように打球角度をフライ、ライナー、ゴロに分けて見てみたい。

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打球角度もややフライが減りゴロが増えているが、それでも顕著に打球が上がらない等の問題ではなかったと考えることができる。
ちなみに、前回の不調ともいうべき2017年ではGBが39.0%となっており、明らかに打球が上がらないという事態が起きていた。

ここまで見た限り、バットにボールが当たれば、好調時と比べてやや引っ張りが少なくはなるものの、それ以外では大きな差はないということがわかった。
では、バットに当たらないという現象が起きていたのではということで、そのあたりを見ていきたい。

K%とBB%

2014年以降の三振率(K%)と四球率(BB%)を見てみる。

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この図を見る限り、不調だった2017年と2020年は他の年に比べてK%が高くなっていることがわかる。さらに2020年は特にBB%が低くなっている。
要するにボールの見極めができていないということがわかる。

Swing%、Contact%

投球に対してバットを振る率(Swing%)と振ったバットにボールが当たる率(Contact%)をそれぞれ出してみた。
ともにZoneに入った投球に対するZ-Swing%、Z-Contact%とゾーンから外れたO-Swing%、O-Contact%に分けて年度別で出してある。

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まずはSwing%だが、Z-Swing%は緩やかに右肩上がりになっており、バッティングが年々積極的になってきているのがわかる。
一方で、ゾーンから外れたO-Swing%が2020年だけ極端に高いことがわかる。つまり、ボール球に手を出すケースが増えていることを証明している。
このことが2020年のBB%が悪い原因となっている。

つづいて、Contact%だが

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Z-Swing%が右肩上がりだったのに対し、Z-Contact%は緩やかではあるものの右肩下がりになっているのがわかる。ゾーンに来た球を積極的に振るようになった分、確率も下がってきたということだろう。そのため、2020年のK%が悪くなっていると言えるだろう。
また、O-Contact%は2020年に上がっていることがわかる。
これらのことからバットコントロールは上がってきているものの、選球眼が弱まっているもしくは積極的に振りにいっているといえる。

では、全体的に空振りは増えたのか?ということで、全投球に対する空振りによるストライクとなった割合であるスイングストライク率SwStr%を出してみた。

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やはり、空振りによるストライク率が2020年に爆上がりしており、10.0%になっている。

これだけ空振りが増えたのは相手が対策を打ってきた可能性もあるので、今度は投球の球種別の成績を調べてみた。

Pitch Style

まずは、2018年と2020年の山田選手に投じられた球種別の割合を出してみた。

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FAST BALLがやや減って、その分2SEAMが増えている。
また、SLIDERも減って、CUTTERがやや増えている傾向にある。

また各球種ごとの山田選手の対応を球種別に100球あたりに対する得点増減で見てみると

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2018年まで得意としていた2SEAMだったが、そこまで得意な球種ではなくなってしまった。それと同時に相手投手が多用するようになったと考えられる。また、CURVEとCHANGEUPが対応できづらくなっており、特にCURVEは得点を損失するレベルと計算されている。

まとめ


2020年の山田選手は、好調時と比べて以下のような違いが見られた。

・引っ張りが少なくなり、流し打ちが増えた。
・ゾーンに関係なく積極的にバットを振るようになった。
・得意としていた2SEAMは得意といえるレベルではなくなり、結果相手投手も2SEAMを多用するようになった。

※参照
1.02 ESSENCE of BASBALL


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