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記憶の中の12月

今年の10月は本当に恵まれて、ありがたいなぁとしみじみ噛みしめていました。
その分、お金もどっか飛んでっちゃったんですけど(・∀・;;

月の後半は、アナスタシアを観に行きました。
普段、私は公演期間に複数回観るということはあまりないのですが、アナスタシアは2回チケットをとりました。
アナスタシアは、映画がずっと大好きで、当時、体調を崩して学校を休みがちだった中、幼馴染のお母さんがダビングしたVHS(時代ですねぇ)をくれたんですよね。
歌がほんと大好きだし、ブロードウェイでミュージカルするよ!って知って、いつか日本でもやってほしい、そのときは絶対観たいと思ってました。
メイシーズ・デイ・パレードでの動画を繰り返し見たりして。
ついに日本で観られる!ってなった前回、チケットは確保できたものの、コロナで大阪公演は中止になりましたが、その前にかろうじて東京公演を奇跡的に観ることはできた。
その後、宝塚版も一度観る機会を得たり。
再演があればなぁと思ったけれど、そんなにすぐには難しいのかな…と思っていたので、今年、再演のお知らせにびっくり。
今回も申し込んだとしてもなかなか取れないよね、1回でも当たればいいなぁと思っていたら、すっと2回とも当選ですごく嬉しかったです。
数ヶ月前から午後のお休みを確保し、仕事もさばきまくって、なんとか無事、観ることがかないました。
開演までに会場に着くと、やはりホッとしますね。
着いてみると、学生さんの芸術鑑賞にかなりの席が割かれていて、びっくりしました。
なんてすてきな…!
学生さんたち、行く道で一緒になったときもすごく感じがよく、なんだか嬉しくなりました。
上演時間は、3時間いかないくらいでした。

キャストさんは、
①回目
アーニャ:木下晴香さん
ディミトリ:海宝直人さん
グレブ:田代万里生さん
ヴラド:石川禅さん
リリー:堀内敬子さん
リトルアナスタシア:内夢華さん

②回目
アーニャ:葵わかなさん
ディミトリ:内海啓貴さん
グレブ:海宝直人さん
ヴラド:大澄賢也さん
リリー:堀内敬子さん
リトルアナスタシア:戸張柚さん

です。
マリア皇太后さまは、麻実れいさん。
ちなみに、日本初演の前回、2020年に観たときは、

アーニャ:木下晴香さん
ディミトリ:相葉裕樹さん
グレブ:堂珍嘉邦さん
ヴラド:石川禅さん
リリー:朝海ひかるさん

だったかと。

*以下、ネタバレを避けたい方はそっと画面を閉じてください。


アーニャ役の葵わかなさんは、初演のときに中止になり、チケット払い戻したので、ようやく観れた!可愛い!と感慨深かったですし、初演で何とか観ることができた木下晴香さんも、あのときは本当にひやひやしながらきっとほとんど練習もできないままだったのではと思うので、気持ちよくのびのび歌ってらっしゃってすてきでした。
初演で観たキャストの方々、本当は今回も観たかったなぁ…あと、マルシアさんも。
特に相葉さんは、今年、ダ・ポンテで拝見して、初演アナスタシアで観たとき以上に厚みが増した印象があったので、ぜひ観たかったなぁ…。

ミュージカル版アナスタシア、映画版との大きな違いは、ラスプーチンがいない代わりにロシア政府ボリシェビキの将官グレブが新たに登場することでしょうか。
ラスプーチンとバルトークがいないのはさびしくもありますが、確かにできなくはないかもだけど、難しそうですもんね。
あと…地下の…虫たち…とか…うん、仕方ないよね(←そのせいで実写映画版キャッツがいまだに見れてない人)
ディミトリは、アーニャを利用しようとして恋におちるものの、身分差を痛感し思い悩むことになりますが、グレブもロマノフ家の生き残りかもしれないアーニャを追う側であると同時に、彼女に心惹かれるという、葛藤めいた男がまたもう1人誕生することに。
アナスタシアは、アーニャ含め登場人物それぞれが自分自身と葛藤するなぁと思いながら観てました。
焦燥感というか、感情の揺らぎが歌にのってすごく響く。
特にグレブは、私の中でしっくりくる解釈がまだ出来上がっておらず。
うっかりすると、彼の存在ってすごくチープなものになってしまいそうで、難しい役だなぁと。
そんなわけで、全グレブパターンを観たいのもあって今回の組み合わせで鑑賞しました。
初演で観た堂珍さんは、私の中のグレブの基本になっていまして、コクのあるとろっと甘セクシーさがあり、ムスクのような大人の色香があります(実は、安納芋のように濃密…ともちらっと思ったけど、この表現、めっちゃ失礼かしら…)
今回ディミトリと両方演じられた海宝さんは、とても繊細で、丁寧に感情の抑圧というか制御の行き届いた殻の中に本当はすごく明るくて優しくて泣き虫な小さな男の子がいるって感じ。
対して、田代さんは箔のある熱さがあるんですよね、体育会系熱血グレブ。
パワフル!新鮮…!
強引さと、声に力があるのでド迫力。
田代さんグレブは、なんかこう、グレブにも明るい未来を感じさせてくれるというか、自力でちゃんと自分のしあわせ掴みそうというか。
山本耕史さんや遠山裕介さんでも観たかったなぁ…生でStill、聞きたかった…

ミュージカル版も、どの曲も大好きなのですが、Stay, I Pray Youがすき。
ラスプーチンの歌うメロディが使われているというのを目にして、確かに!あれか!となりました、すごい。
出番短いですけど、イポリトフ伯爵、好きなんですよ…初演のときから。
あのときは、遠山さんだったはず。
今回の武藤寛さんもすてきでした、イポリトフ伯爵の包容力、よき。
アナスタシア、LEDパネルの背景が良い仕事するんですが、この場面の駅舎奥から差し込む烟った陽射しが好きです。
…細かすぎる?

映画版では、エンディングソングのAt the Beginningが大好きなんですが、最後に一瞬、メロディが流れました。
あと映画版は、Paris Holds the Keyが大好きで、ミュージカル版でも2幕始めに出てきます。
リリー(映画版はソフィー)じゃないのかぁとちょっと寂しくはありましたけど、その後にまたリリー独壇場の場面がありまして、キャバレー的なああいう場面好きとしましては、それじゃあ仕方ないなぁ〜と何目線やねんという気持ちで満足しております。
前回の朝海さんのリリーも美しくてかっこよかったし、今回の堀内さんのリリーもとっっってもキュートで好き。
あと、パリは鍵を握っているの何が好きって、映画版でのたまらなく楽しい合間に入る、アーニャが皇女とはっきり確信したあとのディミトリの甘切ないパートです。
禅さん…!私の中でディミトリはやはり禅さんです…!
いや、もちろん禅さんヴラドの可愛さにやられたので、ヴラドもすてきですが(ほんとに可愛すぎた)
あの、曲の中ほどとラストの短いパートだけですが、アニメの表情の動きのすばらしさもあいまって、恐ろしいほど毎回私はそのお声に射抜かれるんです。
ミュージカルだと、このあたりのディミトリの感情をたっぷり歌いあげるEverything to Winがバレエ鑑賞の後の場面で出てきます。
これもすごく良い曲。
…なのですけど、あのひときわ明るく盛り上がる中で、ひとりアーニャの笑顔を愛しみ、戸惑い、切なさを募らせながらも、身をひく覚悟を決めようとしてるディミトリが好きすぎて。
アーニャが胸に挿してくれたブートニア、最後まで持ってるんだよね、ディミトリ。
ブートニア、もともとプロポーズのお返事ですもんね。
ミュージカル版では、このあとのIn a Crowd of Thousandでディミトリははっきり皇女だと確信するので、パリは鍵を握っているではまだ「いやまさか」「でも、もしも」くらいの感じ。

ディミトリといえば、内海さんのMy Petersburg、若々しい思いがグッと乗っかっててとても響きました。
ヴラド(映画版ではウラジミール)は、ふっくらしたお布団のようなやんわり癒し可愛い石川禅さん、よりちゃっかり詐欺師感のある大人向けヴラドの大澄賢也さんって感じ。
バレエ鑑賞、ミュージカルでは白鳥の湖でしたね、映画ではシンデレラだった気がしますが。
ミュージカル版のストーリー上、やはり白鳥の湖だよなぁ。
Quartet at the Balletとピッタリ重なるの、すてき。
本編の流れとどっちがメインかわからなくなるくらい拮抗するバレエ自体、わくわくします。
A Rumor in St. Petersburgでもそうですが、アンサンブルの方々のすごさよ、感嘆しか出ない。
いろんなとこ見たいので、めっちゃ目が忙しい。
バレエ鑑賞のアーニャのドレス、宝塚版のネイビーのドレスも映画版ぽくて好きなんですよねぇ。

そして、私が今回、アナスタシアで一番こころが動かされたのは、マリア皇太后さま、麻実れいさんでした。
とてつもなく横姿が美しくて、姿勢って何にも優る一生モノだなと改めて深く気づかされました。
歳を重ねるのは、ふいに、本当に、底抜けに怖くなります。
私、このままどうなるんだろうってなる。
ただ、麻実さんの美しさを目の当たりにしたとき、ああ、それでも、ちゃんと顔をあげようって思わせてくださいました。
小さな一歩でいいから、踏み出そうって思えました。
さすがにあんな風になれるとは思えないけど、でも、爪先でもいいから近づけたら、まあ思ったより悪くないわねって笑ってられるかなと。

ちなみに、Close the Doorで、ひょっこり後ろに現れてちょこちょこしてるリトルアナスタシアが好きです、かわいい。
しょぼんとなるの、あああ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)ってなる。

まだまだたくさんあるんですが、書き始めると、ずるずるどんどん長々となってしまいますので、そろそろこの辺で…毎度ながらとっ散らかってしまった…(´ー`;

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