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初めての介護の世界に不安だった僕が、離島で高齢者を支える覚悟を決めた話

2011年1月末、休学していた専門学校へ、退学の意向を伝えた。蓄えだけでは足りずに、祖母にも援助してもらった学費の数百万円を人生の糧、彩りにと、ダンクシュート。

「人に求められて行うことは、本物だよ。」

同じく離島で暮らす婆ちゃんの言葉を反芻した。

「認知症介護実践者研修」に聴講生として参加

そして、次年度以降の動きに備えて「認知症介護実践者研修」に参加させてもらった。実務経験は足りていなかったけど、特別に聴講生として参加させて頂いた。なんと会場には、高校の柔道部の仲間や、隣のクラスだった知人、別の研修で知り合った方も一緒だった。普段、100人足らずの島で暮らす僕が、それ以上の人数で一つの部屋で学ぶ。繋がりにも驚いた。

そして、この研修に何度も応募して、やっと受講できたという声も聞いた。恵まれ過ぎた環境に感謝した。「認知症介護実践者研修」には実習も含まれ、長期間に及ぶ。まずは、4日間の座学。そして、10日間の自施設実習(宝島では実習ができないため、よかあんべで)と他施設実習。そして、さらに2日間の座学だ。

研修のオリエンテーションで僕自身の研修での目標を次のように定めた。

「今後、宝島で事業を展開していく上で、自分自身の成長が必要不可欠である。そのために、認知症についての知識を深め、他施設で、日々実践を積まれている方たちから、刺激を受け興味を持ち、現場に持ち帰り、活かす。リーダーとしての自覚と自信を持てるように、最大限の努力をする。」

またグループワークを行う中で、よかあんべのスタッフの一人が言っていたことを思い出した。「今まで、ここで仕事してきたから、今の感覚が当たり前。でも、研修では色んな考えの人がいる」

大きな組織で働いている方の現実。理想とは裏腹のケアをしてしまう現実とスタッフの本当の想い。みなさん、もがいてると思った。もがかないといけないとも思った。僕自身も、今おかせてもらっている環境で目指していることは、絶対に間違っていない。それを信じて、自分を高めていきたいと改めて感じた。講師の先生が「人に伝えるのは、自分が学ぶことよりはるかに難しい」と話してくださった。認知症の当事者の声を代弁していくことも、関わる者に課せられた課題なのだと思う。

苙口さんから学んだこと

研修の中では、よかあんべの苙口さんの講義もあった。その講義は、納得の連続だった。スッと自分の中に落ちた。苙口さん自身が、日々のケアで葛藤を繰り返し、利用者の方を想い悩み、スタッフを想い悩み、小さな変化に感情を動かされ、喜びにつなげてきた姿勢。改めて、感じた。

また、地域を意識してきた私と、他の施設から参加されている人とは違う感覚を感じたのも事実だ。「地域が協力的じゃない」「そんな地域ならいいね」それぞれの会社の理念、事業所の自分たちの理念に対して、あきらめているような雰囲気も感じた。それは、正直残念だったし、悔しかった。

不安だった自分

正直、当時の僕は自信を持てないでいた。変わっていく渦の中にいた気分でもあった。これから、リーダー的な立場に立っていくために、自分の情報を活用し、実践体験を通して、知識にしていきたいと言うのが本音だった。でもそこには、「自分の本質」という視点が欠けていた。自分が、介護の現場で追い込まれたとき、どういう思考のプロセスが働くのか。体験していないと分からない。他のスタッフがそうなったとき、同じ目線で話せない、悩めない。私が今、大切な一歩を踏み出すときに、必要なのは勇気ではないと思う。今、必要なのは覚悟だと思う夢や目標を成し遂げるために、不利なこと、困難なことを予想して、それを受けとめる心構えをすることだと思う。

社長からのメール

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