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Learning to Fly by Tom Petty and the Heartbreakers
先日別のエントリでも書いたけど、わたしはエアレースのファンだ。しかし4年ぶりに開催されたのはレース会場でパイロットが飛ぶものではなく、最先端の技術を使ってAR(拡張現実)でおこなわれたエアレースだった。その仮想の会場は東京の渋谷で、わたしも当日渋谷まで行った。 そのあらたなエアレースと現実との違いに戸惑ったのは事実だ。きっとわたしだけではないと思う。 たまたま無料会場の渋谷パルコに向かう道すがら、iPod touchのランダム再生でかかったのがこのトム・ペティのLearning to Flyだった。 I’m learning to fly but I ain’t got wings 「飛ぶことを学んでも翼がない(拙訳)」 なんてタイムリーなのだろう。なかなか再開されないエアレースにレースパイロットたちが業を煮やして立ち上げたのがARを駆使したものだったから、どこか共通するものを感じる。I ain't got wingsが仮想現実にリンクしている。 Coming down is the hardest thing 「着陸するのは、なによりも辛い(拙訳)」 そうそう、飛び立った以上、つまりあらたなことに挑戦した以上は、諦めるのは辛いことだ。ARのエアレースもきっとそんな気持ちじゃないかな、なんて思う。 The good old days may not return 「古き良き日々はもう戻らない(拙訳)」 ああ、かつてのレッドブル主催のエアレースが復活するのは、もしかしたら一縷の望みすらないということなのかもしれない。始めた挑戦は続けるのみ。いいじゃないか、これまでだいたいは挑戦があったからこそ新発見や新発明につながったのだ。 そんなことを考えたので、今月はそのトム・ペティのライブ動画を紹介。それはカリフォルニア州マウンテン・ビューでの1994年のライブとのこと。
Martha by Tom Waits
1973年3月6日にトム・ウェイツがアルバムCLOSING TIMEでデビューしてから、今月で50年。ファンとしてやっぱりこのデビューアルバムの曲について触れておかなければという使命感から、今月の「21日の音楽」を更新することにした。 名曲揃いのこのアルバムからわたしが選んだのはMartha。 40年前の恋人マーサに電話をかけるという設定で、昔の思い出をポツリポツリと語る男トム・フロスト。時代を感じさせる電話交換手経由の通話。通話を繋いでもらう間に、涙を堪えられるだろうか、彼女は覚えていてくれるだろうか・・との不安を漏らす。通話が繋がったら「長距離電話だけど料金は気にするな」とか現実的なのか非現実的なのかわからない話ではじまり、「自分たちは若かった、馬鹿だった」「明日はなく、悲しみは袋詰めにして雨の日のためにとっておいた」という「薔薇色の散文詩の日々」が語られる。単調に続くピアノの旋律が耳に残る。 この曲を書いたトム・ウェイツは当時若干23歳。わたしが初めてこの曲を聴いたのも二十歳そこそこのときだった。この老成した若者は何者?! 遅れてきたビート詩人と呼ばれたデビュー当時のトム・ウェイツ。わたしもトムが影響を受けていたブコウスキーやケルアックの文学を読み、ハードバップ、ビバップのジャズを聴いた。タバコはダメだったけどウィスキーも呑んだ。 トム・ウェイツは、わたしにとって手塚治虫に次いで影響を与えた人物だ。 この6月には50周年を記念してCLOSING TIMEのリマスター盤が出る。聴きたおしたアルバムだけど、だからこそ新しい発見がありそうな気がしてとても楽しみにしている。