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罰ゲームと言われるほど管理職が大変になったのはなぜなのか?

日経ビジネスで”「罰ゲーム」と言われ始めた管理職”という連載が
始まっています。皆さまはお読みになられましたでしょうか?

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00583/100300001/

以前に比べると、管理職になりたがる人が減っているとのことですが、
その理由は?そして各社が課題に対してどんな取り組みをしているか
紹介されています。

私自身、日常、いわゆる大手企業の管理職の皆さんと接しますが、不満やストレスをお聞きすることも多く、大変な役割であることを実感します。

過去を振り返ってみると、昭和の時代は、女性が家庭の役割を一切引き受け、男性は深夜・休日も厭わずモーレツに働いて昇進し、給与を上げる。
そのことで豊かな生活が手に入るという時代がありました。

そのため、(男性に限っては)誰もが管理職になることを望み、
頑張ってきたという背景があります。

時代は変わり、今や、夫婦共働きが当たり前です。

育児に加え、介護も担いながら働く方もどんどん増えており、
物理的に仕事だけにすべてのリソースを割けない状況でもあります。

また、右肩上がりの成長ではなく成熟した会社も少なくない今、
ずいぶん役員や、管理職のポストが減ったという声も聞きます。たとえ現場で優秀な成果を残しても、管理職のポストに空きがないと、
昇進のチャンスはないという会社も増えています。

こうした条件が揃ってくると、当然、働くことの価値観も変わってきます。

若い人は「仕事に冷めている」、「以前のように仕事にコミットしてくれない」との嘆きの声を人事や経営者から本当に多く聞くのですが、その通りだなと思いつつも、それは、社会が変わった結果であるとも思います。

さらには、冒頭の罰ゲームといわれるゆえんは、管理職の皆様への要求が年々大きくなっていることが影響していると言われます。

「部下の声を聴け」、「コーチングしろ」、「ハラスメントに気をつけろ」、「イノベーションを起こせ」、「メンバーの離職を防げ」と次から次にお題がふってきます。

しばらく人事評価制度を変えてない企業であれば、上記のような役割は評価項目や役割に含まれていないかもしれません。きちんと役割として渡された覚えもないし、研修を受けたこともない。だけど、それはマネジャーの仕事だよねといういつのまにか要求は増えていく...

マネジメントに起きている課題に対して、マネジャーを研修してほしい、スキルアップさせたいというご要望をいただくことがありますが、こうした背景を考えると、職場で起きる課題をはたしてマネジャー個人の能力向上で対処しようとすることが筋がよいのかということも出てきます。

先日、とある会社の離職改善プロジェクトを行った際も、当初はマネジャーを支援することを想定し、マネジャーの課題分析からスタートしたのですが、結果としてとった打ち手はメンバーとマネジャーのコミュニケーションの改善と、役割分担の再構築だったということがありました。

最初から打ち手を個人の能力開発に絞らず、問題が起きている構造を見極め、効果的な打ち手を仕組みとしてつくっていく。そのようなアプローチが大事だなと改めて感じています。

来月もよろしくお願いいたします!

2023/10/30 VOL154                             sakaguchi yuto

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