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外部の営業やコンサルタントでもなく、完全に社内の人間でもないかかわり方


最近、お客様とどういう立ち位置でかかわるのがよいのか考えています。

リクルートにいたときは、当事者ではなく外部の人間として「求人広告をやりましょう」と提案していたわけですが、実際に面接をしてこの人にしようと最終的に決めるのも、その後採用した人を社内でマネジメントするのもお客様がコミットしていくことになります。

つまり、最終的な責任はお客様が負うわけです。

その意味では、自分だけやる気であっても当然片手落ちなわけで、
お客様自身がこの取り組みを進めることに納得感と情熱をもって
いることが必要になります。

このことから振り返ってみると、まだ受注が決まっていない、商談をしている段階から、この仕事が本当の意味でうまくいくかどうか決まってきていたように思います。

うまくいくケースは、打ち合わせの時の雰囲気から違います。
私とお客様とがお互い尊重し合っていて、信頼関係があったように思います。

具体的には、打ち合わせをしながら、

・人を採用するということにかける情熱、ビジョンに本気さが感じられる
・どうやったらうまくいくか、提案を待っているだけでなく、意見を出し合ってベストなソリューションをともに検討、創り上げていこうとする、

という状態が実現できていました。

このようなプロセスが実現できているとき、私は内心「この採用はうまくいく」という確信が高まっていったように思います。

一般的に、採用には相場感があって、市場での希少性や予算、待遇などの
条件からある程度採用成功するかどうかが予測できるところがあります。

ただ、仕事に取り組むプロセス、もっと言うと、仕事を通じてお客様と自分との関係性をどう創れていたかということも非常に重要だったと営業経験を通じて学んだように思います。

エドガーシャインの「人を助けるとはどういうことか」という本は、
この営業のプロセスづくり、お客様との関係性を考える上で非常に参考になります。

この本では、本当の意味で人の役に立ちたかったら
プロセスコンサルタントになりなさいと言っています。

プロセスコンサルタントは、医者や専門家のようにアドバイスをする役割ではありません。「相手の中に答えがある」というスタンスで、よい問いかけをして、相手が答えを見つけるのを支援することであると言っています。

相手の問題は、他でもない相手固有の問題です。
ビジネス環境、性格、価値観等々、様々な要素があいまって、
他のケースを当てはめることはできないはずという前提に立たないと、安易に自分のケースを当てはめて、勝手に解釈してアドバイスしてしまうことで、相手の本当の問題解決を阻害すると述べています。(本人は心から親切心で言っているとしても)

更には、外からのアドバイスが的外れであるというだけでなく、アドバイスは相手を支援されるという弱い立場に置き、受け身にしたり、相手の力を奪うことにつながると述べています。

著者は、単に相手を尊重しましょうということではなく、
「本質的な解決とは何か?」を突き詰めて考えたということではないでしょうか。

私のケースで言うと、営業とは押し売りをすることではないことは当然としても、相手にメリットを納得してもらい、満足してもらうことが大事だと言われたりします。実際にそのように考えて仕事をしている人が多いように思います。

しかし、シャインの考え方に則って考えれば、それも本当に相手にとっての成果をつくったかという観点で不十分と考えられます。

営業マンである自分と対話する中で、お客様自身の採用について考えに対して内省を深め、何を本当に実現したいのか、何を課題に感じているのか、
お客様自身が自分で自分を理解していくというプロセスをつくることが
本当の”支援”ということになります。

そこでは、営業マンは、自分が問題解決するんだという考えを手放さねばなりません。一方、お客様に対しても、営業マンが解決してくれるんだという考えを手放してもらうよう働きかけていくことが必要になります。

そういう関係性をつくるということが理想だなと考えるならば、
完全に外部の営業マンとして商品、サービスを売って終わりというかかわりだと難しいところがあります。もう少しお客様の会社の中に入ってともに仕事を進めていくような新しい仕事の提供の仕方ができないだろうかと思います。

一方で会社の内部の人間として雇用されると役割が与えられ、自分の意思に素直に、中立に立ち回ることに難しさがついて回ります。

完全な外部でも内部でもない中間のかかわり方ができればよいのではないかと思うことがあります。

既存のスキームでいえば、業務委託や契約社員ということに
なるのかもしれません。

サービスを提供する側、される側というより、ともによい
サービス、プロダクトを創り上げていくという関係性に立てるよい
仕事のあり方を模索してみたいと考えています。

また来月もよろしくお願いします!

2021/9/26 VOL131                                                                                         sakaguchi yuto

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