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組織に意思決定する際の基準があるか

組織には、意思決定をする際の「基準」があることが大事だなと思います。

コンサルティングの仕事では、クライアントとの間に今期目標売上○円、利益○円というわかりやすい数字目標があります。

商品を販売する仕事ならば、どの商品が何個売れれば売上がいくらになるかということがわかり、一方で人件費、材料費などなど、経費をどれくらいにコントロールしていくと運営が成り立つか、ロジカルに先行きをシミュレーションしやすい業界だなと思います。

そのため、ただ事業を伸ばし、存続させることだけを考えれば、何はともあれ採算の合わない商品を廃止したり、人を解雇したりと打つ手は考えられるわけですが、そこには単純に数字だけでは測れない、その会社なりの思想や事情が出てくるものです。

冒頭の意思決定の「基準」はそうした際に私の頭によぎる思いです。

つまり、この会社はそもそも何をしたいと思っているのか?事業をする上で大切にしてきたものは何かということです。

ある会社では、「新規事業をたくさん興していきたい」、「そのことによって会社の規模を○倍にしていきたい」という方針が立っていましたが、私はその言葉を聞いても心に響くことがありませんでした。

この方針は、一見すると前述の「何をしたい」の答えのようですが、その言葉の背後から、「なぜそうしたいのか」という部分、つまり、今の世の中をどう見ていて、そのために会社はどのようなことを社会で実現すべきと思っているかということについては語られてはいなかったからです。

基準がないということは、もしかしたら信念がないことにもつながるように思います。

そのような会社はややもすると、単にビジネスとしてうまくいくかどうかを判断基準にします。

儲からなければあれこれと別の方法を探し、方針や取り組みを次々と変えたりするように思います。これは、どうすれば「目的を達せられるか」と考えて方針転換することとは違います。

あるいは、高い目標を掲げ、それを追いかけること自体を目標にしているような会社もあります。

目標を追いかけるプロセスは、達成感や充実感を得られますし、人の評価も得られるので、自信も出てくるように思います。

しかしながら、世の中から成功したとみなされるほど事業を大きくしても目標達成の快感や人の評価でもって自分を満足させ、自分や人を本当に信頼しているように見えないことがあります。

そうした成功すること自体が目的になっているように思える事業に、私は魅力を感じません。

逆に、本当にそれが心の底から湧いてきてやりたいという信念を感じるものは魅力的で好きだなと思います。

また来月もよろしくお願いいたします!

2015/11/30 VOL66                                                                                           sakaguchi yuto

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