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組織がこれまで繰り返し、積み重ねてきた思考のくせ、行動のくせは急に変えることは容易ではない

さて、前回は、「働きがい」と「働きやすさ」の関係について守島先生の理論を紹介させていただきました。

今回は、「組織感情」というテーマで書いてみたいと思います。

私はこれまで2回転職をいたしました。現在の会社で3社目となります。

31歳で3社目なので、一般的には少し多いかもしれません。

一つの会社に居続けた場合、転職を重ねた場合と、どちらが自分にとってよかったのかはわかりませんが、転職をしたからこそ感じられたと思えることがあります。

それは、同じ組織内では、「同じ考え方を繰り返す圧力がかかる」ということです。

言葉を変えると、無意識的に人はその組織に適合するような思考になるということです。

私はそこに、「組織が持つ感情」というものが存在し、働いているように思います。

たとえば、何か新しいことをやろうと動いても、上司から否定されたり、許可を受けるのにすごく面倒な手続きが必要になったりするとチャレンジする意欲が萎えてしまいます。

その会社にいる限り、言われたことを目立たないようにこなすパターンが学習されてしまいます。

一方で、同僚や先輩が自分では想像もしていなかったような新しい取り組みを日常的に起こしていて、そしてその姿がとてもイキイキして楽しそうであったら、自分までこれまで考えていなかったようなアイデアが出せることがあります。

どちらもその人というパーソナリティーや能力は変わらないのにです。

早稲田ビジネススクールの遠藤先生から次のようなことをお聞きしたことがあります。

カイゼンに代表されるトヨタの取り組みが素晴らしいことは誰もが納得している。

そしてそのノウハウもある程度形式知化されていて書籍やセミナーで手に入れることができる。

でも、どこも実際にトヨタになれたところはない。

ここに、個人の意欲、能力という問題では容易に超えられない組織の力の差というか、現場力の差というべきものが単的に表現されているように思います。

つまり、最近は戦略、マーケティングからロジカルシンキングの仕方までノウハウはいつでも手に入れることができるようになった。

しかし、それを正しく実行できるかどうか、やりきれるかどうかが結果の差を生むように思うのです。

しかし、それは「とにかくやりきれ」と気合いで号令をかけてもうまくいくことは少ないように思います。

組織がこれまで繰り返し、積み重ねてきた思考のくせ、行動のくせは急に変えることは容易ではないからです。

組織の感情を理解し、そのような思考や行動を生み出している制度やプロセスに介入して、根本的な改善を図っていかなければ変化は起きないのではないでしょうか。

とても難しいと思うのは、自分がその組織内にいるうちは、そうした価値観に染まっていること自体に無自覚であることです。

3社経験して、そう思います。

次回、どうすれば自分の思考の枠から抜け出せるか、考えたり学んだことを

お伝えしてまいります。

また来月もよろしくお願いします!

VOL13  2011/6/27                                                                                          sakaguchi yuto

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