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自分の経験は数限りないケースのほんの一つである

医学的な知識をきちんとふまえたトレーニングの大事さを啓蒙している方がいらっしゃいます。

特に女性は男性と異なり、生理周期、ホルモンバランスなどを考慮して、トレーニングすることが効果に影響するそうです。

同じトレーニングをしていても、Aという人はうまく記録が伸びても、Bという人が伸びないのは、個人の才能だけではなく、生理周期やホルモンバランスの影響が往々にしてあるということだそうです。

指導者は、このことを知らないと、自身が成功したり、乗り切った経験を基準にしてしまう危険性があります。

これは、会社での新人指導、後輩指導などでも当てはまる話ではないでしょうか。

経験があり、成功している人は、時にその背景にある理論に気づかず、自分の確信のある方法をよかれと思ってアドバイスしてしまうように思います。

しかしながら、それは数限りないケースのほんの一つのケースにすぎないかもしれないわけで、汎用的な理論を学ばないことには自分とは違う、多様な個性のある選手に適した指導はできないわけです。

日本では伝統的に目上の人の言うことをまず聞くという文化が色濃くありますので、指導者の意見に疑問を持っても、従順についていく可能性も十分にあり得ます。そうなってしまってはお互いに不幸です。

効果が”ある”、”ない”と判断するには、何千、何万という同一条件下での検証を行い、統計的に有意な差が表れた場合とのことですが、それは同時に、効果があるということは全員に当てはまるというわけではなく、統計的に差が出たことを証明したにすぎないということでもあります。

目の前のこの人は、その統計の例外かもしれないのです。

私たちは、あくまで無限にあるケースの特殊な1つの人生を生きており、個人的に経験して得た常識が、残り何万の人にも当てはまるかどうかというのは相当怪しいということを頭の片隅に置いておく必要があるように思います。

人は自分の経験には実感がありますので、どうしても自分以外の他者も自分と同じように世界を見て、感じているのだと思ってしまい、自分の感覚からずれた判断をする人を見ると、理解できないと反対したり、果ては嫌悪したり、距離をとるということが起きるのではないでしょうか。

また来月もよろしくお願いいたします!

2016/8/31 VOL74                                                                                                sakaguchi yuto

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