1on1を実施するとき、そもそも優秀な人ってどんな人?を考えているか


最近、1on1ミーティングを導入する会社が増えていると感じますが、
皆様の会社ではいかがでしょうか。

会社に対して貢献したいという意欲を高め、離職を防いだり、
自律的な行動を促したり等、様々な効果が期待されています。

私もいくつか1on1ミーティング導入に関わっておりますが、
この施策が狙い通りに成果を挙げるのは、簡単ではないなと感じます。

まず、そもそもの前提としてマインドセットが難しいです。
1on1を成功させるには、考え方の転換が求められます。

1on1を上司が「これをやってください」と指示、命令するための場として
使うのではなく、”自分の力で課題を設定し、その課題を自分の力で解決できる”人材をつくるための場と決め、それを徹底できるかがポイントのように思います。

そのことを心から納得し、本当に実現しようとされるのか、あるいは、やっぱり心のどこかで上司である自分の指示通り動いてくれないと困るという気持ちをもっているのかは大きな違いとなります。

そのためには、会社にとってどんな人材が優秀なのかということを一度考えてみるとよいのかもしれません。そもそも優秀ってどういうこと?何をもって優秀と言うの?ということを皆で議論してみるというのも大事なプロセスではないでしょうか。

多くの会社では、これまでのやり方をうまくやるのではなく、改善点や効率の上がるやり方を発見したり、新たな仕事を創ったりできる人材こそ優秀な人材だということになるかもしれません。

だとすれば、上司の指示通りうまく仕事ができることではないということになります。

ある意味上司の言うことを聞かずに、ルールや前例を飛び越えたり、
誰にも頼まれたわけでもなく、自分が始めたいと思うことを発見して
始めてもらえることが優秀な人の行動ということになります。
(もちろん自分勝手な仕事をすることではありません)

実際のところ、この優秀な人材の定義をじっくり考えてみることなく
なんとなく1on1を始めてしまうと、部下の能力を活かしたいと頭では本当に
思いながらも、心では自分が心地よいと思うやり方をやってほしいと
つい無意識に関わってしまうというようなことが起きてしまいます。

必要になってくるスタンスは、本人が何がやりたいのかを問うこと、
そして情熱をもって取り組もうとする芽をほったらかしにするわけではなく、応援したり、プレッシャーをかけたり、必要なサポートを用意したりということです。

以前私はとある会社で、子会社に出向して新規事業の推進を行っていたことがあります。

その際、親会社の営業さんに新サービスの拡販を手伝ってもらうべく、
同行しながら、協力の依頼をしていた時期があったのですが、
同行していると、予期せず営業さんから自社の評価の仕組みに対する
不満の声が多く聞こえてきたということがありました。

営業していても、成果を測る仕組みが妥当ではなく、モチベーションが上がらない様子であることを感じた私は、まったくの業務外ではありましたが、新たな評価の仕組みを勝手に考えて、親会社に提案し、運よく採用してもらうことになったことがありました。

データの取得方法、エクセルでの集計フロー、運用の仕組み等、動きながら周囲の協力者を得て、実現までこぎつけたという一連の行為は、与えられた役割を超えて、自らこれが課題だと感じ、やりたいという衝動に動かされてのことだったように思います。

この私の例は、小さなイノベーションですが、現実的には、多くの会社でこのようなことが求められていることなのではないでしょうか。

繰り返しですが、基本的に、このような取り組みが生まれる時、その人は社内の上司やルールの方を向いて仕事をしていません。社会や事業、組織にとって、これは価値があるのでは!という自分が感じた衝動をエンジンに行動を始めます。

そうした人が指示されたことをやれと指摘されたり、孤立無援で誰もサポートをしないという状況だと、イノベーションの芽は摘まれてしまいます。

一人の課題意識から始まった影響の輪が広がっていく組織文化が求められます。

改めて、1on1を行う際に、自分たちの組織にある上司の役割、
そして優秀な社員像について考えてみるのはいかがでしょうか。

また来月もよろしくお願いします!

2021/11/30 VOL133                                                                                   sakaguchi yuto

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?