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その人のもつ役割がその人の性格をつくってしまうという話

心理学に「役割性格」という言葉があります。

人間はある役割を得ると、その役割どおりに演じようとするというもので、
それを裏付ける事例として「囚人」と「看守」の実験がよく知られています。


この実験では、被験者を集めて仮想の刑務所をつくり、
そのうち一部の人に看守役を、残りの人に囚人役をやってもらうのですが、
この実験を1週間くらい続けていると、一般に思われているイメージに合わせて、囚人は囚人らしく、看守は看守らしくなってくるそうです。

囚人は無気力で逆らわなくなるし、看守は偉そうにふるまい、
残酷で傲慢になってくるそうです。その役割を演じているうちに、
性格さえも徐々にその役割に近づいていくということです。                        (参照:自分を変える鍵はどこにあるか 川上真史著)

会社組織でも、役割性格の影響を受けていると感じることがよくあります。

厳しく怒る店長が異動でいなくなったと思っていたら、次に昇格した別の人も、気づいたらなんだか同じように厳しく怒るようになっていた。などということはないでしょうか。

もし、人が変わっても、同じような状況が繰り返されているのなら、それは、個人の問題ではなく、役割がそうさせている可能性があります。そんな時に、

「あの人はあんなひどいことを言った。なんて性格が悪いんだろう」

とつい、私たちは人が発した言葉を”その人のせい”にしてしまいます。

しかし、役割がそうさせているという観点に立って、


・何がそのことを言わせているのか。

・その人はどんな役割をとっているのか。

・その役割はなぜこの組織で必要とされているのか


上記のような問いをもって、背景にある力学を見に行くことはお勧めです。

かくいう私もよく人の発言を気にしてしまい、その人を良く思ったり、
悪く思ったりすることが日常茶飯事です。

ただ、人の発言は役割性格がそうさせていると考えてみると、言葉を必要以上に重く受け止めたり、それほど信用できるものではないと割り切れたり、更には本質的に組織にある問題に気づくチャンスを見つけることもできます。

”本当のあるがままのその人”を理解することは難しく、簡単に評価判断せず、言葉だけでなく、行動、態度をみて関わっていきたいものです。

また来月もよろしくお願いいたします!

2020/8/30 VOL118                                                                                  sakaguchi yuto 

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