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読書日記 『The Catcher in the Rye』

J.D サリンジャー 作 村上春樹 訳


【一行説明】学校を追い出されたホールデンが人との関わり、居場所を探し、数少ない友人を訪ね歩き帰路に就くまでを一人称視点で綴られている。

【趣旨】主人公ホールデンは学業不振、態度が原因で高校を追い出された。そこから行き当たりばったりに友人を訪ね歩くのだが、何に対しても嫌忌的な態度、そして躁鬱気味で不安定な精神状態が故、いつもばつが悪くなり離れてしまう。

【引用文】どっかをあとにするときに、誰かに「グットラック」って背後から怒鳴られるくらい気が滅入ることはないんだ。そんなことされたら、とことんうらぶられた気分になっちゃうじゃないか。


【考察】主人公ホールデンは、感情の切り替わりが激しく、気分良く踊っていたかと思うと相手を罵るような態度をとったり、愛おしく思っていたものに対しても怒りを感じるまで憎しみ始めたりと感情が極めて不安定。話に統合性がなく極めて自己中心的な心情が見受けられる。特に相手の中で少しでも気に入らない部分が目立つとその嫌悪感は、すぐさま相手の印象を支配し拒絶する様に離れてしまう。特に自分が相手の”粗”として抱き毒突いていた行為を自分自身がやっていることも多かった。世の中全てのものに対して嫌忌的な態度をとる主人公に対しては、読んでいるこちらとしても少々気分を害するほどだった。この理由は恐らく、物語以前の出来事に起因しているように思える。冒頭の寮内でのシーンでホールデンは弟のアリーを白血病で亡くしたと語っていた。恐らくこの出来事がホールデンの躁鬱的症状を引き起こす原因になったのではと思う。

個人的にはこの小説がなぜ人々にそこまで愛されているのかは理解できなかった。きっと裏に隠された訳があるのかもしれないが少なくとも僕の読解力では感じることが出来なかった。

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