君島ゆう

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お代わりコーヒーと、大人になってしまったのかもしれないバナナの日

彼のことを、永遠にわかってあげられないのかもしれない。 あるいは、彼のしてくれるアレコレを、永遠に愉快に思えないのかもしれない、と思う。 それは、事実わたしを落胆させ、虚無感に似た雰囲気を身体中に漂わせる。 一般的にとか、平均的に、とかいうことではなく、ごく単純に、わたしにとって彼はクセモノだ。今まで出逢った、どんな人物より不可解。 出逢ってこのかた、お互いに理解し合えたときにだけ立てる、二人だけの場所に一度も立てたことがない。それは、世界中で立っている本人同士だけが

    • 裸の人間

      『やがて哀しき外国語』(村上春樹著)のエッセイを読み終わった。 著者の春樹さんがアメリカ・プリンストン大学で教えていた頃に書いているエッセイで、外国暮らしや旅と言われるものに身に覚えがある人は、図らずもウンウンと頷くお話も多いと思う。 個人的に、村上春樹さんの文章は、エッセイの方が好きだ。もともと、エッセイ好きということもあるけれど、彼のものもいくつも読んでいて、「〜ラジヲ」も大好きだ。どれもリズミカルな文章で、こちらとしても音楽を聞くように読んでしまう。読み進めにくい、

      • 入れ替わりのひまわり

        ある日、ひまわりの花言葉を知った。 花言葉は「愛慕」。 言葉どおり、愛し、慕うという意味で、 当時、まだ若かったわたしは、 愛を知らず、恋をしていて、 愛して慕うとは、なんとやわらかな愛の表現だろうと感動した。 幼い頃から、ひまわりという花は、知っていたし、 見かけると立ち止まって、親しみを込めて眺めていた。 けれど、花言葉を知ってからは、 なんというか、 より尊い存在になった。 それ以来、 わたしもひまわりの様に、やわらかな愛情を注げる人になりたいと

        • うつくしい巾着には

          わたしは、家系的に空腹を我慢するのが苦手だ。 これが遺伝なのか、習慣からなのかは、わからないけれど、とにかく本当に苦手で、仕事のときも、空腹にならないように細心の注意を払っている。 もちろん、万が一減ってしまった場合でも問題ないように、一口大の羊羹や最中、チョコレートなどをかばんに忍ばせている。 空腹によってどんな症状が出るかというと、 気分が悪くなる。 よって、機嫌も悪くなる。 そんな人と仕事をさせるのは申し訳なさすぎるので、できるだけ空腹にならないように、

        お代わりコーヒーと、大人になってしまったのかもしれないバナナの日

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        • わたしの、たくさんの憧れ
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          お風呂

          湯船に水を(お湯を)ためるとき、 蛇口からでる水は透明なのに、湯船にたまってゆくそれは、青みがかったグリーンのような色になる。 週に何度かは湯船につかるようにしているので、折り入って調べる程ではないが、不思議に思っていた。 もしかしたら、小学校や中学校の、理科や科学の授業で習ったのかもしれないけど、全然覚えていない。 でも、なんとなく、水の色綺麗だなぁ。と、不思議に思ってた。 いつか、付き合っていた男の子と一緒に湯船つかっていた時、ふとしたことからその会話になり、正

          わたしの、たくさんの憧れ

          憧れているものが、いくつかある。 「憧れ」とは理想とする物事や人物に強く心を惹かれること と辞書にはあり、いわゆる「好き」と言う言葉に近いが、より自分の手に届かない、理想に対する気持ちを表現する言葉らしい。 例外なくわたしの場合も、自分が持っていないもの、あるいは持ち得ないと思われるもののお話し。 ひとつは、くりんくりんのカールヘア、柔らかい毛質で、さわるとフワッと感じるようなもの。 わたしは生まれたときから、ストレートの黒髪なので、全く違う。 ずっと昔から、カー

          わたしの、たくさんの憧れ

          ナイフ

          8/30は、火曜日だったと思う。 火曜日、カップラーメンで夕飯をすませて、シンクに溜まった洗い物を片付けていた。 その少し前、旧友と内容の濃いデンワをした。 お題は「友達ってなに。」 3ヶ月前に、私は、生まれて初めて人間に裏切られた。あるいは、あ、私裏切られたんだ・と認識し、途方にくれた。それも、旧い友達に。 そのあからさまな裏切りは、客観的に見て、私を攻撃するような内容だった。 デンワの相手は、共通の友人で、その裏切りをどこかから聞きつけて、 私のために憤り、