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アルフィーが古希を迎えたということ。 | 20世紀生まれの青春百景 #23

 わたしにとって、THE ALFEEは青春そのものだと思う。2014年の夏に彼らの音楽と出逢って以来、彼らの音楽活動とともに青春時代を歩んできた。人間的にも、音楽としても、言葉としても、彼らの作品やライブが常に生活の中心にあった。

 デビュー当時からのファンや「メリーアン」以降の新しいファンの皆さんにとってはほんの一瞬かもしれないけれども、10年という歳月を桜井賢という最高の歌い手、坂崎幸之助という粋人、高見沢俊彦という傑出した創作家に惹きつけられながら生きられたことに、言葉には現しきれないほどの大きな意味がある。彼らの音楽がなければ、彼らと出逢っていなければ、音楽の道を選ばなかっただろうし、ここまで好きな創作家や音楽家を好きだと叫び続ける人生にはならなかった。わたしはTHE ALFEEとともに歩んできた青春時代を心から誇りに感じている。それとともに、彼らとの出逢いをつくってくれた『ウルトラマンギンガS』という作品にも感謝したい。

 よく、周囲の人に「君はなぜ還暦を超えたミュージシャンを推してるの?」と訊かれる。あなたの気持ちはよくわかる。同世代にも数えきれないほど素敵なバンドはあるし、世界とも互角以上に戦っていける文化もある。この素晴らしい日に縁起でもない話で申し訳ないが、時に物語の結び目を意識することもないとはいえない。これは、悲しいニュースが増えている中で、ある意味避けられないことだ。

 ただ、誰がどう言おうと、わたしは「THE ALFEEだから、あの三人だからこそ、推しているのだ」と心の底から叫ぶ。手放しに大好きなものばかりではなく、時には色々と思うこともあるし、「もっとこういうことをやってほしいな」と感じる時もある。お叱りを受けるような文章を発したこともあった。だが、彼らを好きな気持ちは変わらないし、一生かけて敬愛を発信し続けるだろう。

 人は音楽を文脈や研究対象として語るようになった瞬間、存在が歴史になったことを実感する。幸いなことに、THE ALFEEはナマモノのバンドだ。解散も、活動休止も、一度も経験しないまま、50年以上の歳月を刻み続けている。三人が歩み続ける限り、まだ見たこともないような形に変貌する可能性だってあるし、ファンにも見えないくらいの小さなものかもしれないけれども、日々変貌を続けている。そうやって、ナマモノとしての歩みを止めない限り、仮に止まったとしてもファンやフォロワーが次世代に彼らの意志を繋ぎ続けている限り、その姿は自由自在に変化させられる。そういった意味では、これからのイメージをつくるのは、いちファンであるわたしたちの役目ともいえるのだ。

 次の10年はどんなものになるのか、予想がつかない。ムーンライダーズやセンチメンタル・シティ・ロマンスという先輩もいるが、ある種、彼らとはまた違った立ち位置のTHE ALFEEがどこに向かって舟を漕ぐのか。人間として避けられない年輪の刻みとどう向き合っていくのか。

 きっと、10年後も今と同じように歌っていることを信じて。

 古希を迎えた彼らとともに、わたしはその背中を追い続ける。偉大なるミュージシャンの、明日なき暴走はまだまだ終わりそうもない。

 坂崎さん、高見沢さん、誕生日おめでとうございます!!

 2024.4.17
 坂岡 優

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