わたしは、誰かの心に届ける力という観点で、吉田拓郎さんを超えるアーティストを知らない。この方の楽曲を聴いていると、上手いとか下手だとか、そんなのはどうでも良くなってしまう。一般的に“拓郎節”と呼ばれるメロディーや、字余りの歌詞など、特徴を挙げればキリがない。でも、それよりも大切なことが拓郎さんの曲にはあると思う。

　今年の十月に十七歳となるわたしが、拓郎さんの曲に初めて出会ったのは小学生の頃。確か、クレヨンしんちゃんの映画だったはず。「今日までそして明日から」が劇中でかかっていたけれど、誰が歌っているのかすらも当時の自分はわからなかった。だから、本格的に“吉田拓郎”というミュージシャンを意識し始めたのは高校二年生になってから。トリビュートアルバム「今日までそして明日からも、」が発売されるという一報を聞いたとき、拓郎さんが初めて気になった。それから、レンタルショップでCDを借りるなどして、拓郎さんの曲にたくさん触れた。オリジナルアルバムはもちろん、その魅力をもっと知るためにライブアルバムも借りた。そして、わたしは気付いた。今までも何度か言ったことがあるけれど、「良いものはどんなに時代が変わっても色褪せない」という言葉に凝縮されている。

　長年のファンの方に比べると、わたしなんかはまだ初心者の初心者でしかない。本当の魅力の一割も知らないのかもしれない。でも、自分だけの感性で気付くことは出来る。そして、それを伝えることも出来る。いつかはその時代を体感した人がいなくなってしまう時代が来るだろう。その時に名曲の灯火が消えてしまうようなことがあってはならないと思う。だから、ちゃんと伝えていきたい。語り継いでいきたい。もしも、それが魅力を知った者としての使命なら。

<<今回の一曲>>
アルバム「吉田拓郎 LIVE 2016」より「全部だきしめて」
作詞：康珍化 作曲：吉田拓郎 編曲：吉田拓郎

　あえて、ライブアルバムからセレクトしました。武部聡志さん、鳥山雄司さん、河村"カースケ"智康さんなど、日本を代表するミュージシャンたちがサポートとして参加しています。元々はKinki Kidsが司会の音楽番組「LOVE LOVE あいしてる」の主題歌として作られた楽曲として有名です。メロディーも拓郎さんらしくて、康珍化さんの書かれた歌詞も最高。パシフィコ横浜で去年の十月二十六日に演奏されたものが、音源として収録されています。ライブらしさが非常に出ている演奏で、個人的には大好きです。

(最後まで読んでいただき、ありがとうございました。Excelsior!! YUU_PSYCHEDELIC)