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【読書感想文】宮部みゆき『R.P.G.』

こんばんは、ゆのまると申します。

久しぶりの宮部みゆきさん、読んだのは『R.P.G.』です。過去にドラマ化もされたこちら、また感想を記録していきたいと思います。

いつものごとく、ネタバレにはご注意ください。


あらすじ

父、母、姉、弟。ネット上で知り合った他人同士が「疑似家族」を営み、そのうちの「お父さん」が刺殺された。事件の3日前に絞殺された女性と、遺留品が共通している。合同捜査の過程で『模倣犯』の武上刑事と『クロスファイア』の石津刑事が再開し、二つの事件の謎に迫る。家族の絆とは、癒しなのか、呪縛なのか。


ざっくり感想

これまで、宮部さんの代表作は『火車』『ソロモンの偽証』『模倣犯』など、わりと読んできました(江戸モノを除く)。

そしてその多くが分冊になった長編であり、中でも『ブレイブ・ストーリー』は、主人公と同世代の頃に読んだこともあって私のバイブルの一つでした。全部で1200ページくらいあるんですけれど、夢中になって何度も読んだものです。

長編であっても決して飽きることなく、むしろ「もっと読んでいたい」、そう思わせてくれる作家さんとして、宮部さんの小説を手に取る時は何の不安もありません。

『R.P.G.』ももちろん以前から知っていて、購入しようと何度も手に取ったのですが、なんとなく巡り合わせがないままにここまで来てしまいました。


結論。いやー、面白かった!

とはいえ、最初の50ページくらいまでに事件の概要とこれまでの捜査の経緯が書かれているのですが、なんだかそこが全然入ってこず……。「宮部さんってこんな感じだったかしら……?」とほんの少し不安になってしまいました。

というのも、本作の刑事役である武上刑事が出てくる『模倣犯』を読んだのは学生時代のことだし、『クロスファイア』は未読。このあたりの人物の知識を前提として話が進むので、ついていくのが少し大変だったのです。ただそれ以降はさすがの筆力で、ラストまで一気読みしてしまいました。

今作が出版されたのは2001年ということで、ネットの知識や書かれている内容は少し古いかなと感じるところもあります。しかし、「現実で独りぼっちでも、ネット上には居場所がある」という感覚は今の方がずっと強いはず。それと普遍的なテーマである「家族」がどう絡んでいるのか、それはぜひ読んで確かめてみてほしいと思います。

小説のタイトルとしては少々目を引く『R.P.G.』、表紙にはドールハウスで遊ぶ少女がネガ調で描かれています。その意味がわかった時、私は重い気持ちでため息をついてしまいました。小説に「たられば」を持ち込んでも仕方ないのですが、もっと違う出会いがあれば……と願わずにいられませんでした。


冒頭でも少し触れましたが、この小説、2003年にNHKで映像化されています。

(ドラマの冒頭だけですが見ることができます)

被害者の娘役を演じたのが、ゴマキこと後藤真希さん。この娘というのが、思春期真っ盛りの年頃の少女なのですが、それだけでなく頭の回転が速く芯が強い性格。かなり難しい役どころのように見えますが、あのゴマキが一体どんな風に演じたのでしょうか……。

また、殺された父親というのがまぁ最低な奴なのですが、それを演じるは伊武雅刀さん。こちらもダンディーな人柄という印象が強いので、意外なキャスティングに感じました。風吹ジュンさんは納得ですけどね。

連ドラならまだしも、単発のドラマとなると難しいところですが、機会があればぜひ見てみたいものです。


さて、こうなると次に気になるのは『クロスファイア』です。今日ブックオフに寄ってみたら下巻しかなかったので、近いうちに入手したいと思います。

ではでは、今回はこのあたりで。

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