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100年続くゲストハウスを作るために。

「100年続くゲストハウスを作る」
7年前に家業の跡継ぎをしていた際のTV出演時に思わず口から出た言葉。

振り返ること7年前からの遍歴。

親に黙って2度目の学校中退を経てから、クラブのバーテンやラウンジの黒服をはじめ、そのほかグレーな仕事をいくつか足突っ込んでは打ちひしがれながら、ヴァンパイアのごとく陽の光を避けて夜の街をフラつく生活。

それからサラ金数社で借金を抱えたのちに心身を壊し、リアルカイジな状況に追い込まれて、奈良の宗教施設で心身を整えて生まれ変わりはじめたあの頃。

保育士の卵とクラブのバーテンを掛け持ちしてた時代。

家族ぐるみで顔馴染みの経営者からかかってきた一本の電話で、祖父母が約50年に渡り神戸の海辺で経営してきた宿の存続の危機と、病で衰弱した祖母が年末を乗り切れるかどうかのヤマ場という状況を知る。

さらに、幼少期から家族崩壊になりかけるたびに駆け込み寺となっていた第二の母的存在の方が、末期ガンで余命一ヶ月という宣告を受ける。自身が見過ごしてきたカルマが集積したかのような状況に頭を抱えながらも、本気で生まれ変わろうと決意を固めた21歳の自分。

右も左も分からない、むしろ首も回らないような状況の中で、館内の隅から隅まで雑巾掛けとトイレ掃除をするのを日課に、宿泊業のノウハウを60歳差の祖父母から教わりつつ、キャッシュレス決済や予約管理システムをはじめ、IoTカメラの導入など陰で勝手に自動化を試みたり、地域の方々へ朝の挨拶ランで地道な宣伝を続けていた毎日。(当時出場したフルマラソンでは地域の高齢者の方々が総出で応援団を作ってくれるほどw)

原因不明の右膝腫瘍の摘出手術を乗り越えて、ドクターストップ明けに半年間の練習を経て完走した初のフルマラソン。

当時の自分の幼さも相まって、祖父母との争いが絶えない日々と、同族内での井の中の蛙な視野の狭まりを危惧して、社会の荒波に身のままで飛び出したあの頃。有難いことに数々の素敵なご縁のおかげで、様々な経験を積ませていただきながら今まで生き延びてこれた。

第二の母の元へは毎日欠かさず顔を出して、買い物に連れていってあげたり、ただただ側で手を握りながら話を聞いたり、回復する奇跡を祈りながら、微力ながらもできる限りのことを全力でさせていただいた毎日。

息を引き取る瞬間ギリギリまで看取らせて頂いたが、最後に「ありがとう」と直接伝えれなかったのが今も残る悔いでもあるけど、ぼくの特性を一番に理解した上で、最後の力を振り絞って伝えてくれた人生の激励となる遺言の数々は今を生きる上での救いの言葉となっている。それにいよいよ、あの日交わした「家業を存続していく」という約束を果たすときがやってきたという胸の高鳴りもある。

自身の人生の新たなスタートを前に、家業を離れた際に書き留めていたあの頃の言葉の数々を読み返しながら、当時の自分の幼さと葛藤の残像がよみがえる。

準備が100%ととのうことはいつだってないけれど、これまでの見切り発車な生き方に、少しばかり身についた「俯瞰視」と社会の荒波で培った「折れない心」をプラスして、再び家業の跡継ぎとして新たなスタートを今夏踏み出します。

7年前の家業の跡継ぎを始めた当時に抱き、家業を離れてからも心の奥底に秘め続けていた「100年続くゲストハウスをつくる」というTV出演時に豪語した一つの目標に向けて。

織田信成さんにインタビューされて思わず口走った言葉。7年前はニキビ面がひどいけど、当時の自分に未来からエールを送りたい。

奇しくも数日前に、鎖国解禁後の明治初期に淡路のど田舎から渡米し、農園経営で事業を成し、ぼくとほぼ変わらない29歳という年齢で生涯を閉じた先祖の命日があった。迫り来る死期を予期しながらも、次世代へのバトンを残すために、その地域の新聞に日本人で初めて「遺言書の執行」を行ったことが掲載され、それが公文書として現地の図書館にも未だ残っている。

50年以上前にバックパッカーで世界を旅をしながら、ドイツへ訪れた際にホステルという文化を知り、当時ホステルやゲストハウスの文化が日本にほぼ無い頃に起業した祖父母。

先祖や祖父母から受け継いだDNAの重みと伸び代に感謝しながら、時計の針を止めてしまった3年間の空白に再び色を添えていくために、今夏の宿泊業の再オープンに向けて動き出します!(予約サイトは7月中にオープン予定)

祖父母共に90歳近くでありながら衰えを知ることない老いない脳のキレ。時に仕事の面で意見を分つことがあろうとも、ふたりが生きててよかったと思えるような親孝行をしていきたい所存。

p.s.
昨日から全国各地の視察も兼ねて、多拠点生活プラットフォーム「ADDress」での住所不定な生活をはじめました。

家業の宿運営とは別に、ライブ配信に特化した映像制作や、それに紐付いたクリエイターやアーティストのマネジメント&プロデュースの仕事は個人の仕事として再開していますし、今後も継続していきます。

家業の宿は8月に再開予定なので、神戸にお越しの際はご宿泊あるいは冷やかしにお立ち寄りください!本格的なリニューアルも準備中ですが、家族内の稟議に時間がかかりそうなので、もうしばらく先となりそうです…。

『100年続く「医・食・住」が一体化した多世代が交流できる複合施設』を作るのがさらなる夢なこともあり、全国でそのようなお取り組みをされている宿や施設、地域などをご存知の方は教えていただけると嬉しいです!

神戸には8月ごろに一時戻る予定ですが、しばらく家なき暮らしなので、全国津々浦々でお会いできる方いらっしゃったらお声がけください!

振れ幅のある人生をたのしみながら、前世から受け継ぐ飛脚のような身軽な心持ちで、これからも人生を駆け抜けていきます!

神戸ゲストハウス
天野 雄一郎


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