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初めて彼氏ができた話①

22年間、彼氏がいなかった。

それと同時に処女も守り続けてきた。

(正確には、守備するまでもなく、攻撃する者が現れなかった…不戦勝である)


男性に興味がなかったわけではない。

あるときは同じ部活の同級生に恋焦がれ、またあるときはバイト先のイケメンに惹かれ、またあるときは街コンへ繰り出し…

いつも私が好きになった男性が振り向いてくれることはなかった。

告白することもなければ、告白されることもない。

恋愛から程遠い人生であった、あのときまでは。



そのときは突然やってきた。

無事に就活を終え、バイトに明け暮れていた大学4年生の春休み。

その日は最終出勤日。

同じバイト先の男性から食事に誘われた。

私としては特に意識している相手でもなく、顔もタイプではなく、全くその気はなかったのだが、”男の人から声をかけられる”ということだけで、うかれていた。

基本的に、"来るもの拒まず"のスタンスなので、"むしろ私なんかを誘ってくれてありがとう”くらいの心境であった。

バイト先で実際に話をしたのは2回くらいだったが、年も近いせいか親近感がわいた気がした。

あまり良い評判を聞かない(評判の悪い)大学に通っていることは気がかりだったが、大学名だけで人を判断するのは失礼に値すると思い、誘いに乗ってみることにした。


せっかく春なので花見でも、ということで、なぜか夜桜を見に行くことになった。

(なんでわざわざ夜に行くのだろう…)

夜桜なんか小洒落たものを見に行ったことがなかった私は、戸惑いを隠せなかった。


いざ当日!気になる人ではないが、男性と会うということで、自分なりにおしゃれをしていく。

幸か不幸か…田舎の人気(ひとけ)も少ない静かな公園で屋台すらなく、仕方なくコンビニでおにぎりを買った。
しかし、水辺に映った夜桜はとても美しく、はからずも”ザ・デート”のような雰囲気に。

(冒頭の写真は、まさにその現場の写真である。)


そんな素敵な雰囲気とは裏腹に、私たちは他愛もない話をした。

彼は大学生の途中でお笑い芸人を目指し、吉本の学校に1年間だけ通ったこと。途中で自分に向いてないことを感じ、お笑いの道を諦めたこと。留年したので私と学年は同じであるが、年がひとつ上であること。

微妙な大学に留年したこと、お笑いの道をすぐに諦めてしまったことも気になったが、それよりも一番気になったのは…食事の際の咀嚼音。

おにぎりわ食べるときに、くちゃくちゃと音を立てていたのだ。

-THE END-

私の直感はそう訴えていた。



一度気になりだすと、ずっと気になってしまい、後半は話も上の空であった。

付き合いたくない人リストに、"食事中の咀嚼音がうるさい人"とでも入れておこうか。


「楽しかったね」

そう言ってにっこり微笑む彼。

愛想笑いを浮かべる私。

暗がりなので気づかれまい。


2人で夜桜という最高のシュチュエーションだったが、残念ながら惚れることはなかった。



ところが、、、

断り下手な私は、次のお誘いも承諾してしまうのであった。

〜つづく〜


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