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哲学と心理学とスピリチュアル


臨床心理学の権威でもある河合隼雄さんの著書「中年危機」。

「中年とは壮年期とも言われ、社会でも最も意気盛んな世代」いわゆる「働き盛り」の世代。

そんな世代には相反する「相当な危機」をはらんでいるのだ、と河合先生は指摘します。

これまでの心理学の研究は、乳幼児期→児童期→青年期というカテゴリーまでしか進んでいないのだそう。

なので、大学の心理学の講義はここまでで終了します。

学術的には「大人になると安定して変化がなくなる」と考えられてきたことが理由だそうです。

その中でも、かの有名なユングは、「中年」を大切に取り上げたのだとか。彼のクライアントに中年以後の人が多かったのだそうです。彼のクライアントたちは「適応が良すぎることが問題」でした。

彼らは財産、地位、家族に恵まれているのに、「自分には何かが足りない」

と思っていたり、「不可解な不安」がいつもつきまとっているようでした。

自我に目覚め、地位を獲得し、結婚、子供に恵まれていくのが人生の前半だとすると、「老い」や「死」への恐怖、「自分は何処から来て、どこへ行くのか」という根源的な「問い」にぶつかるのが後半に当たります。

まるで、太陽が上昇から下降に向かうように、人生の「折り返し」で

深く考えるのです。

本書では、夏目漱石などの小説が引用されています。

そして「修善寺の大患」(漱石が、修善寺での療養中に体調が悪化し、大量吐血の後に危篤に陥ります。 この出来事は、その後の漱石作品に影響を与えた大事件「修善寺の大患」として知られています。)にも触れられ、この出来事は、いわゆる「創造の病」だった、と説明されています。

スピリチュアル的にも「起こる出来事は、すべて必然で、魂の成長のため」なので、この出来事は、漱石の魂にとって必要な出来事だったのでしょう。

更に、このような「創造の病」は漱石のように、何かを残す人だけでなく、どんな人にも起こりうる、と河合先生は続けます。

自分の人生そのものが「作品」なのだ、と。

「かけがえのないひとつの人生を、われわれは『つくり出す』のであり、そのような意味で、どのような人間であれ『創造活動』にかかわっていると考えられる。」

そういう意味で、人はみな「クリエイター」なのですよね。

「文豪」たちの作品を例に挙げているのは、クライアントへの守秘義務の配慮もあっての策ではあるらしいのですが、ここに河合先生自身の「葛藤」がみて取れるのも面白いなあと思いました。

私自身も50代、人生の「折り返し」に入り、とても共感する内容でした。

そして、哲学も、心理学も、スピリチュアルな「解釈」を入れることで、どんどん「真実」に近づく感覚があります。

この世の中は全部、繋がっていることを確信する1冊となりました。

気になる方は、是非、読んでみてね♪

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