森悠希 (Yuuki Mori)

物書きの霊魂です。散文も詩も、いろんなジャンルに挑戦したいです。進捗報告や日常の切り取…

森悠希 (Yuuki Mori)

物書きの霊魂です。散文も詩も、いろんなジャンルに挑戦したいです。進捗報告や日常の切り取りはツイッターにて。無くなったら、ここで。

マガジン

  • まとめ|プチエッセイ集

    希薄な思念をなんとか拾って増幅させようとした、小さな心がけの記し。エッセイになりきれない、プチエッセイたちです。

  • まとめ|短編小説集

    お題だったり、思いつきだったり。とにかく単発ものの短編を集めたもの。長編の種となるものも混ざっているかもしれない。

  • まとめ|詩集

    書いてみた詩のまとめ。写真はAaron Burden氏作。

  • 連載小説|明日はくるので、

    実家から旅立つ青年の平和な上京話。 のんびりゆったりとお楽しみください。

  • サークル作品

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月がいっとう輝く瞬間|掌編小説

 御伽話のような出会いをした親友の、あの言葉がずっと忘れられずにいる。 「この世界が美しいのは、妖精たちのおかげなんだって」  図鑑を持ち歩きながら、この世の理を理解しているつもりだった幼い僕には、あまりにも衝撃的な発言だった。知ることに貪欲だった僕が、新たに学びたいと思ったこと。  この世を数式だけで見るのではなく、夢や感性を持って楽しむ方法を。  非科学的な存在と現象を追い求めながらも、僕は科学の道を進んでいる。今でも親友とは連絡を取り合っていて、彼は僕とは近しくも別の

    • 月並みな感性を持つ自分が、それでも空想に逃げ続けている|プチエッセイ

       世の中には星の数ほどの作品があります。星の数という表現にふさわしく、それぞれの輝きを持っていますね。しかし、どうしてもその輝きは比べられます。一等星だと定義されて、人々の目がもっと留まるのです。  残念ながら、ワタシが書くものは一等星であるとは言えないでしょう。それでもいいのです。ワタシは、幾千もの星に紛れて、逃げ込むように空想の世界に入り浸ります。月並みな感性が生み出す空想でも、そこにはいつでも己を揺さぶる何かが現れるからです。他の作品と被るものがあるのは仕方のないこと

      • 霊魂なりの抱負・2023年→2024年

         だいぶ遅れて、あけましておめでとうございます。  人として生きることに難儀し続けている、物書きの霊魂こと森悠希です。  初めましての方は初めまして。  お久しぶりな方はお久しぶりです。  今回のこの記事では、主に二つのことを書き記したいと思います。  一つ目は、2023年に掲げた抱負の振り返り、その総まとめ。  二つ目は、2024年に掲げた新たな抱負、となります。  結局は自分のための記録なので、まったり気楽な感じでやっていきます。お付き合いいただけるのであれば幸いで

        • 不甲斐ない話ですが、年の最後の最後に風邪を引いてしまいました。 12月に予定していた更新は先送りとなりそうです……。 代わりと言ってはなんですが、今年のnoteまとめより、よく読まれた三作をご紹介。 2023年に始めたnote投稿、見守って下さりありがとうございました。

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        月がいっとう輝く瞬間|掌編小説

        • 月並みな感性を持つ自分が、それでも空想に逃げ続けている|プチエッセイ

        • 霊魂なりの抱負・2023年→2024年

        • 不甲斐ない話ですが、年の最後の最後に風邪を引いてしまいました。 12月に予定していた更新は先送りとなりそうです……。 代わりと言ってはなんですが、今年のnoteまとめより、よく読まれた三作をご紹介。 2023年に始めたnote投稿、見守って下さりありがとうございました。

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          はろうぃん・ないと|童話風小説

           今年も夜の街にハロウィンがやってきた。  ほら、綺麗な薄黄色の満月が歓迎しているよ。  オレンジと黒、紫に黄色の装飾があちこちに施され、月光に照らされている。  なんだか不気味でゾクゾクしないか?  わっ!! お化けの行列がこっちに向かってる!!  なぁんちゃって。仮装した子供達だよ!  皆、なかなか様になってるねぇ。おお、怖い怖い!  きっとお菓子を貰いにやってきたんだね。早速突入するみたい!  ちょっと古そうな木製の家で、如何にも魔女が出そうな雰囲気だ。  トント

          はろうぃん・ないと|童話風小説

          普段は元・青い鳥にて進捗報告をしていますが、こちらでも簡単にさせていただきます。 プロットを練っている短編が、五話構成の章、三つ分まで伸びました。 これから一話ずつ、練り込んでいきます。わくわくですね、ここまでちゃんと練って書いた長めのお話、初めてかもです。✨️

          普段は元・青い鳥にて進捗報告をしていますが、こちらでも簡単にさせていただきます。 プロットを練っている短編が、五話構成の章、三つ分まで伸びました。 これから一話ずつ、練り込んでいきます。わくわくですね、ここまでちゃんと練って書いた長めのお話、初めてかもです。✨️

          月めくり|掌編小説

          「ピピピ。月めくりの時期が近づいてきました。忘れないうちに捲ることをお勧めいたします。」  眼鏡の液晶に浮かぶ吹き出しと、骨伝導で聞こえる通知音。視線を吹き出しに固定して選択。上を向けば滑らかな動きと共に視界から消えた。そっか、もうそんな時期なんだ。早いもんだなと、ぼんやり思いながら机から離れた。  部屋の窓は白いブラインドで隠れている。横の紐をゆっくりと引っ張ると、ブラインドがすいすい上がっていった。隠れていた窓は、黒い夜空とポツリと浮かぶ桜色の月を匿っていた。月に向か

          月めくり|掌編小説

          芽生えの奇跡|掌編小説

           初めて互いを目にした時、二人はゆるりと肺を膨らませた。目を奪われた。そういった方が正しいのかもしれない。何に、と問われるのであれば、こう答えよう。  片やは宙に舞う小さな女子に。  もう片やは、ベッドに座る儚げな坊やに。  目を奪われたのだ。  女子は、硝子細工の精巧さを思わす羽根を背中に生やしていた。陽が当たるときらりと光り、繊細な模様が虹色に染まった。  坊やは、天使の恵みを閉じ込めたような髪をしていた。櫛を通したのは久しく見えるも、黄金の輝きは褪せることない。

          芽生えの奇跡|掌編小説

          涙は声の蒸留|詩

          どうして感情が昂ると涙が出るのだろう。 悲しい時は、始めから終わりが冷たくて。 苛立っている時は、ずっと沸騰してるようで。 どうして涙が出ると声が震えるのだろう。 凍えて震えるようにふらついたり、 ぐつぐつと煮えるマグマのように響いたり。 この身一つで抑え込むにはあまりも大きく。 ぐっと真顔にならないと溢れてしまう。 人には見せたくない、やっかいなもの。 嬉しい時の涙もあると聞いたことがある。 だけど、ワタシはそれを体験したことがない。 喜びの中で涙が浮かぶなんて、不思

          涙は声の蒸留|詩

          ひとりぼっちの風邪引き|プチエッセイ

           毎年、冬になれば必ず一度は風邪を引く性質を持った霊魂、森です。  2023年も例に漏れず、体調を崩して風邪を引きました。喉から始まり、鼻に移って終わるタイプです。不幸中の幸いか、発熱には至らず。寝込む必要もなかったので、仕事は続けております。食欲もよし。違和感を感じ始めてすぐに、のど飴や喉スプレーなどで対処したおかげでしょうか。  それでも、倦怠感は健在なので、仕事中はなかなかに辛い思いをしております。今は鼻に症状が出る段階ゆえ、余計にきついです。数分に一度はお手洗いに

          ひとりぼっちの風邪引き|プチエッセイ

          noteでの活動を始めてから、もう9ヶ月ほど経とうとしております。 そんな時の1000回スキ通知。皆様のおかげです。感謝感激、雨霰でございます。 果たして、どれほどの方々が定期的に読んでくださっているかはわかりませんが、引き続き細々とやっていけたらと思います。

          noteでの活動を始めてから、もう9ヶ月ほど経とうとしております。 そんな時の1000回スキ通知。皆様のおかげです。感謝感激、雨霰でございます。 果たして、どれほどの方々が定期的に読んでくださっているかはわかりませんが、引き続き細々とやっていけたらと思います。

          甘い黄金の朝食ビスケット|プチエッセイ

           人生で初めてのシェアハウス生活を送り始めた頃。自分の稼ぎと当時の行動範囲内で手に入れられる菓子の選択肢がまだ狭かった。住んでいる現地のブランドや定番菓子を把握しきれていなかったのだ。また、節約家になろうと気合いを入れていたので、菓子はたくさん買わないように決めていた。  だがしかし、人間は働けば、飯を食っても小腹が空く。退勤、夕食の時間まで持たない日が何度かあった。やはり、ある程度は菓子にお金を充てなければならないということになった。しかし、何を買えばいいのか。  そん

          甘い黄金の朝食ビスケット|プチエッセイ

          抜いた歯の行方|短編小説

          ※注意書き ほん怖などのような、スレッド形式のホラー小説に挑戦した際の過去作です。初めての挑戦でしたが、せっかく楽しく書き上げたものなので、noteでも投稿します。実際のスレッドの形式は省いてしまいましたが、それでも楽しんでいただければ幸いです。では。  ひとつ、俺が実際に体験した、歯にまつわる話をします。  初めての書き込みなので、多少おぼつかなくても、どうかお許しください。  大学卒業と就職を機に、俺は生まれた県の隣の県へと引っ越しました。  数ヶ月経って、やっと慣れ

          抜いた歯の行方|短編小説

          青い止まり木|140字小説まとめ

          過去に某青い鳥のSNSで、細々と投稿した、140字小説たちのまとめです。 途絶えない来客  うちの裏庭にはよく猫が集まる。白や茶色、黒に灰色、三毛猫だって集まってくる。みんな人懐っこくて、撫でて撫でてとせがんでくる。ふわふわとした毛並みに混ざった、膿んだ傷や血の跡。沢山撫でると、痕は消えていく。目を細めて一鳴きすると、猫は光となって、空へと散った。また、新しい子が来た。 思い残し  大好きな人に向けて手紙を書いた。理想の紙質に、理想の装飾が施された、綺麗なお手紙セットを使

          青い止まり木|140字小説まとめ

          朝露の啓示|掌編小説

           満たされない渇きに呪われていた、肌寒い夜。星の瞬きが、飛び回る小虫のようで妙に癪だった。どこまでも続く闇の支配にうんざりして、従順な者たちの声にまた腹が立つ。潤いへの答えを求める自分にとって、眠りという無意味な時間へと誘うのだから。  霞んでいく視界と意識。子守唄となる夜の息。  飢え渇きの爪痕を残して、身体は停止へと向かう。五感は働くが脳が刺激を処理しきれず。  不快な心地よさの中、ずぶりと無に吸い込まれ、沈んだ。  淡い光の中へと吐き出されて、瞼をきつく閉じたまま。闇

          朝露の啓示|掌編小説