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涙は声の蒸留|詩

どうして感情が昂ると涙が出るのだろう。
悲しい時は、始めから終わりが冷たくて。
苛立っている時は、ずっと沸騰してるようで。

どうして涙が出ると声が震えるのだろう。
凍えて震えるようにふらついたり、
ぐつぐつと煮えるマグマのように響いたり。

この身一つで抑え込むにはあまりも大きく。
ぐっと真顔にならないと溢れてしまう。
人には見せたくない、やっかいなもの。

嬉しい時の涙もあると聞いたことがある。
だけど、ワタシはそれを体験したことがない。
喜びの中で涙が浮かぶなんて、不思議すぎる。

絵本の中ではよく見かける光景なのに。
現実ではあまり頻繁に起こらない。
異常ってことか?それとも貴重なのか?

ならばワタシは、平々凡々なのだな。
悲しい昂りと苛立ちの昂りで出る涙。
それはきっと並みである証明になる。

そしてワタシは今日も一人で涙を流す。
冷たくなった鼻の奥を必死にすすって。
熱くなっていく目を静かに覆って。

出すことを許されなかった心の声を。
透明な一粒一粒に蒸留させるんだ。

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