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「出会い」の物語

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いつもの帰り道とダッサいジャージ

今日はテスト最終日。学校が午前で終わる。
駅からいつもの道を辿っていく。
信号待ち。後ろに黒いスーツが来る。
青信号。ちょっと警戒しながら歩く。
追い抜かされた。安心。優しい雰囲気だったな。

自分の服を見る。ダッサいジャージ。
我ながら、ひどい格好。
スカートの下に長いジャージのズボン。ダサい。

ボーっと歩く。
今日も変わらない景色。
テストも終わった。何しようかな。

いつものコンビニ。

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いっせーのーで

放課後。
通学班で家に帰ります。
私は班長。もう高学年なので。

みんな家に帰っていきます。私の家はみんなより遠いので、みんなを見送ることになります。
副班長も同じくらい。だから、いつも最後は2人で歩きます。

副班長の家の前に着きました。自然と足が止まります。なんとなく2人で喋ります。

「ねぇ、長い休みの時どこかに遊びに行かない?」
「いいよ、どこ行く?」

こうやって、いつも遊びに誘ってくれ

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雨雲からのぞく太陽

雨。
屋根のない駅のホームで、電車を待つ。
雨は嫌いじゃない。でも、濡れるのは嫌。これが嫌いってことなら、嫌いなのかもしれない。
今日は朝から降っている。一日降り続けるのかな。

なんとなく、傘を回してみる。
傘から水滴が、円を描くようにはしゃいだ。

雨の音を聴く。
濡れたコンクリートの匂い。
湿った空気を感じる。

やっぱ、屋根はいるだろ。
電車を待ちながら、なんでもないことが頭の中に浮かぶ。

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一日の終わりに

駅のホーム。
もうすっかり暗くなるのが早くなった。

一人。一人だ。
急に孤独を感じた。

今日一日を振り返る。
久しぶりに彼に会えた。相変わらず元気はなさそうだったけれど、でも、会えた。短い時間ではあったけれど、でも、話せた。
その後、後輩と遊んだ。歌って、騒いで、ほんとに楽しかった。

現実に戻って、やっぱり、一人。
なんでこんなに悲しいんだろう。
なんでこんなに落ち込んじゃうんだろう。
今日

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好きな人がいる世界は楽しい

いつもの駅。
電車を乗り換えるために反対側のホームへ向かう。

いつもの景色の中に、少し背の低い見慣れた背中を見つけた。
自然と笑顔になっていく。

どうやって声をかけようかな。
考えると同時に走り出す。
心が一気に明るくなったみたい。

「おはよっ!」

思ったより強めにぶつかっちゃったな。痛くなかったかな。

驚いた顔がこっちを向いた。
相手の顔が、呆れたような、でもちょっと嬉しそうな顔に変わ

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