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ポイズンピル以外の買収防衛策

こんにちは、株式会社ニュークラウドの矢崎です。

前回纏めさせていただいた「ポイズンピル」について調べてみたら、他にも防衛策が存在している事に気づき、大変興味深いので事例も含めて纏めてみました。


他の買収防衛策とその事例

・ホワイトナイト

敵対的買収者から買収されそうになる会社を防衛するために、その買収者に対抗して株を回収(買収)する会社を指します。敵対買収者よりさらに高い値段で買収を仕掛けてもらう方法や、特定の第三者に新株を付与する資金調達や、新株の予約権をホワイトナイトに与える事により敵対者の持株の保有率を下げる方法があります。

オリジン東秀がドンキホーテに買収されそうになった際にイオンが有効的TOBの実施の発表をして、このホワイトナイトの策を講じ買収防衛に成功しています。

・ゴールデンパラシュート

経営陣が買収後に退職もしくは権限の低下の際に、多額の退職金が発生する契約を結ぶ方法。敵対的買収者は買収後の経営陣を退任させる際、企業によりますが約三倍の年収の退職金を支払わなければならない為、実質買収する為のコストが嵩んでしまいます。買収の際の交渉材料としてもこの契約が活用できます。

日本ではまだ実例がないのですが、アメリカにてRJR ナビスコが投資会社KKRによって買収された件で実例があります。このゴールデンパラシュートを設定していたことにより、当時RJR NabiscoのCEOであったロス・ジョンソン氏は退職金約6000万ドルを手にしました。買収はされてしまいましたが、RJRナビスコの本社が置かれていたで個人投資会社のRJMグループ(RJM Group, Inc.)を設立し、いくつかの企業の取締役を務めていたそうです。

・パックマンディフェンス

敵対的企業が買収を仕掛けてきた際に反撃する防衛策。その敵対的企業に対して逆に買収を仕掛ける行為の事を指します。シンプルにやられたらそっくりそのまま同じ手法でやり返す方法です。日米で大流行した「パックマン」というゲームの概要からこのネーミングになったという説もあります。

「トタルフィナ社」と「エルフ・アキテーヌ社」というフランスの石油会社との間で実行されたと言われています。エルフ・アキテーヌ側が防衛策としてパックマンディフェンスを実行。最終的には両社の統合で話が決着し、和解される形となりました。結局のところ、実際には実行されず威嚇のし合いによって事が収まるケースがほとんどです。

・ピープルピル

買収が成立する際に優秀な役員達を全て退職する方法。これにより「買収の価値、魅力がない」とされ買収意欲を削ぐ効果を用いる事ができます。
基本的にはこの手法は海外で行われることが多く、日本では事例がほとんどありません。

・マネジメントバイアウト(MBO)

敵対的買収を仕掛けられた際に、経営陣が株主から自社株式を買収し非上場化、そして株式の取引をそもそも行えないようにして、買収企業に株式が流れないようにする方法です。中小企業の事業承継や譲渡で行われる事が多いです。

すかいらーく(ガスト バーミヤン)を運営している企業が業績悪化に苦しんでいた時代にMBOによる上場廃止を決行しました。これは買収を仕掛けられそうになる前に危機管理を徹底し、一度非上場化し大幅な経営改革を行いました。後に再上場を果たしています。


終わりに

今回この記事を投稿するに至った原因は、前回も同様ですが、イーロン・マスク氏がtwitterを買収したその背景を調べたみたくなったのがキッカケでした。

twitter→イーロン・マスク→買収→その背景→twitter社がポイズンピル導入→ポイズンピルの概要→ホワイトナイト〜と、twitterからここまで派生するとは思いませんでした。調べてみて改めて思ったのは、知識の蓄え・情報の収集はこのサイクルの繰り返しなのかなと、改めて思いました。

ご購読ありがとうございました。
株式会社ニュークラウド 矢崎


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