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学びのシェアNo.6~テストをするのは誰のため?~

Moi!

今週末はハロウィーンということで、turkuの町では、そこら中にお化けなりゾンビなりが出現しております。笑

ご覧の通り、お皿の上にもいらっしゃいました笑


学校でも、ハロウィーンの夜には、文化祭みたいな感じでハロウィーンフェスティバルが開催されました。こちらは子どもも先生も全員参加ではありません。行きたい子と、お店を出店するクラスの先生方と、子どもたちの親御さんたちがメインで作り上げています。

自分も少しだけ顔を出してきたのですが、なによりなにより本気の仮装で廊下をうろうろしてる子どもたちがかわいい。笑


ただ、ハロウィーンについては、このようにお祭り騒ぎで楽しむ人たちもいる一方、本来の”お盆”的な意味合いを重んじて、静かに過ごす方々もいらっしゃいます。

自分はこっちにきて初めてハロウィーンの由来を知りました。笑


ということで、ここからが本題です!!




”テスト”の実践①

自分の学校のとあるクラスで、おもしろい実践を見させていただきました。

それはYmparistöoppi(ユンパリストオッピ)という教科での実践です。この教科は直訳するとEnvironmental studyで、日本でいう理科にあたります。

今回は調べ学習がメインの授業で、子どもたちはグループに分かれ、それぞれ動物や植物などについて調べてKeynote(パワポのようなプレゼンソフト)で発表していきます。


面白いのはそのあとです。

すべてのグループの発表が終わった後、クイズ大会が始まったのです。


先生も子供たちも "Kahoot!" というアプリを使ってクイズに取り組んでいきます。

先生はパソコンを操作し、スクリーンにKahootの参加コードを表示します。

子どもたちはタブレットからkahootのアプリを開き、先生が表示したコードを入力していきます。

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(Kahootもハロウィーン仕様🎃)


全員の参加準備が完了すると、いよいよクイズ大会の始まりです。

スクリーン上に四択クイズが表示され、子どもたちは手元のタブレットで素早く解答していきます。

クイズの内容は、どれも子供たちがグループで発表した内容に基づいたものなので、いわば他のグループの発表内容をどれだけ理解していたのかをテストしていると言えます。


そして、正しく解答できればポイントゲットです。

クイズ大会は、まるでテレビでみるバラエティ番組のようなスピード感でさくさくとすすんでいきます。問題の合間で得点率Top3の子どもが表示されるたび、教室からは「あーーー、、、」とか「いえーーーい!!」とか一喜一憂する声が聞こえてきます。子供たちはノリノリで楽しそうです。


そして驚くことに、このKahootで出題されているクイズは、発表した子供たちが自分たちで問題を作ったのです。



え、「そんなに任せて大丈夫?」と思い、先生に聞いてみたところ、

「大丈夫、また別の日にもテストするから。まあ、それもちょっと普通の”テスト”ではないんだけどね笑」

とのこと。




”テスト”の実践②

ということで、改めてその”テスト”をする日にこのクラスを参観させてもらいました。


教室に入ると、先生はテストの問題用紙を配布しようとしているところでした。

いたって普通の光景。でも、ちょっと変わっていたのは子どもたちの方でした。


子どもたちはみんな2人1組で座っています。

そして、2人で1つの問題を解き始めたのです。


問題用紙と一緒に配られたメモ用紙に何かを書いては、ひそひそと相談しています。

そして

「なるほどね!」(と、言っているのかはわかりませんが笑)

といった表情を浮かべ、解答を問題用紙に書き込んでいきます。


テストの最中ではありますが、やっぱりクラスメイトとしゃべりながらなので、時折笑い声が聞こえたり、ニコニコとした笑顔が垣間見えたりします。




"テスト"はだれのために実施するのか

自分としては、テストを実施する目的は「子どもたちがどれくらい学び、理解しているかを測り、先生が今後の指導を改善していくため」だと思っています。

しかし、今回のkahoot!や2人1組のテストでは、どう考えても子どもの理解度を十分には測れません。


なぜこういった方法をとったのか、先生に聞いてみました。


すると、先生はこのように答えてくださいました

「テストは、もちろん子供たちの理解度を測るためでもあるんだけど、それ以上に、テストに取り組んでいる時間そのものを学びの時間にしたかったからかな。」


自分はそれを聞いてハッとしました。


前述した、自分の思うテストを実施する目的「子どもたちがどれくらい学び、理解しているかを測り、先生が今後の指導を改善していくため」において、たしかにテストをすることに使った時間は、先生の指導改善や子どもの課題発見を通して、"最終的には" 子どもたちに還元されます。

けれど、テストに挑戦しているまさにその瞬間は、子どもたちの気持ちにはスポットが当てられておらず、重点は"大人が情報を得ること"に置かれているのです。

つまり、大人のために時間を使っているのです。


それに対して、先生がおっしゃった「テストに取り組んでいる時間そのものを学びの時間にする」という目的においては、子どもたちがテストに取り組んでいるその時間すらも、子どもたちの学びにスポットをあてているのです。


例えばKahoot!では、子どもたちはただ黙々とテストを受けるのではなく、周りのクラスメイトとともに感情を共有しながら復習しています。

クイズの問題は先生ではなく、自分のクラスメイトが作っているので、学力を競うようなテストではなく、友達とクイズを出し合うような感覚でできる。だからこそ楽しく取り組めるし、その楽しさが、結果的に子どもたちを自ら学びに向かわせているのです。

その上、問題を子どもたちが自身で作るということは、自分たちのグループが調べた内容を発表した上で、どこが大事で、どこが他の人たちにわかってもらいたい要点なのか、ということを無意識のうちに考えます。

これも大事な学びのプロセスになり得るのです。


(実は、以前、香港の学校を訪れた際も、このkahoot!のようにゲーム感覚で競い合いながら問題に挑戦する実践を見たのですが、楽しそうではあるものの、子どもたちの競争心を過度にあおっているように見えてしまいました。しかし今回の実践はテストの内容が子供たちの調べ学習に直結しているという点でKahootがより親和していたように思えます。)



同様に、2人1組でのテストでも、そのテストの時間は子どもたちの学びのためにあります。

子どもたちがクラスメイトと相談しながら1つの問題に取り組むため、自分のわかることは相手に教えてあげるし、分からなければ相方が教えてくれるかもしれない。

そんな教え合い・学び合いが生まれることは容易に想像できます。

もしも1人で問題を解くのなら、それはそれまで学んだことの復習や活用にはなったとしても、新しいことを学ぶことにはつながらない。

けれど、クラスメイトとともに問題に取り組むことで、1人ではわからなかったことや考えつかなかったことも学ぶことができます。



このように、テストの時間そのものすら、子どものための学びの時間にしようと取り組んでいるのです。




沸き上がる疑問の数々

このような、テストの時間そのものを子どもたちの学びの時間にしようという考え方に自分はとても共感しています。

しかし、そこには疑問に思う点もたくさんあります。


Kahootのおかげで子どもが積極的になったとしても、子どもたちが作る問題の質によっては、学びにならないのではないか?

そもそも、いくら子どもたちが自分たちで作った問題とはいえ、大っぴらに競わせるのはどうなのか?

テストの時間の学び合いは、"学び合い"ではなく、ただの"役割分担"になってしまうのではないか?

ペアを組む子の個々の能力や相性によって、テストの時間の質がかなり左右されてしまうのではないか?

2人で解いたテストの評価はどうするのか?

やっぱり、結局は子どもの理解度を測れていないのなら、たとえどんなに子供が学んでいたとしても、本末転倒ではないか? もはやテストとして実施する必要はないのではないか?


自分でもびっくりするくらい疑問だらけです笑




けれど、ひとつ、自分が一番気になっていた、"理解度はちゃんと確認できるの?"という点に関しては、先生に聞いてみるとすぐに答えが返ってきました。


「何も、テストだけで把握してるわけじゃないからね。普段から一人一人の学んでる様子をよく観察してるから、大丈夫。」


たしかに、この学校では、子どもたちが自分で問題に取り組みつつ、先生が順番に子供たちを見て回る時間というのが、授業の内の大部分を占めています。それが ”ふだんからよく観察している” ということなのでしょう。

これは言われてみれば当たり前。

そもそも先生はテストでしか子どもの理解度を測れないなんてことははないんです。というか、もしそうであるなら、手遅れすぎる。

普段から子どもたちをよく観察すれば、それは数値化できるわけではないけれど、子どもたちが何を理解して、何につまずいているかには気づけるはず。そしてその能力こそ、ある種、先生の力量の1つでもあるのでしょう。



そして、勘違いしないでほしいのは、この学校のテストが、全部が全部、今回紹介したようなものではないということ。

いわゆる "普通のテスト" もあります。

まだまだ先生たちも試行錯誤を重ねている最中なのです。



いずれにせよ、

テストを解いている時間そのものは、子どもたちにとってどんな時間なのか。

それを一度振り返ってみると、"テスト"というものの見方が変わるかもしれません。




ということで、今回はここまでです!

毎度、拙文ではありますが、読んでいただきありがとうございます。

感想でも、疑問でも、何かコメントを頂けると自分の思考整理や学びの深化にもつながりますし、単純にうれしいです!

加えて、"" ♡ ""のところをぽちっとしてもらえると、それだけでもしっぽをふって喜びますので、ぜひ!笑


ではでは、今後もよろしくお願いします!

Moi moi!








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