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【今でしょ!note#29】 現場責任者は、トップのチャレンジを本気で実行する責任がある

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

組織のトップが何か新しい取り組みにチャレンジする時、階層型組織では、そのチャレンジがトップダウンで現場に落ちていくことも少なくないと思います。

しかし、経営層のトップに当たる人と、現場レベルの責任者の意向が異なることやトップの意向について現場責任者が腹落ちしていないことが理由で、トップの意向が中途半端に実行されそうになる場面があります。

もちろん、組織の中に多様な意見を持つ人がいて、上が言ったことについて、下が何の反論も唱えず、ただ実行しようとするのは、全く健全な状態ではありません。船全体が間違った方向に向かいつつあるのを、船員が気付いていながら誰も正さない状態と同じです。

しかし、これは割と長期的な取り組み、あるいは慢性的な組織文化に関して議論されるべきことで、新しい取り組みを短期的にチャレンジしようとしている局面で持ち出される論点ではないと考えます。

現場責任者は、なぜトップのチャレンジについて全力で応援者になり、その実行について本気で取り組まないといけないのか、私の意見を述べていきます。

現場担当者の目線

まず、分かりやすいところからということで、現場担当者の目線を紹介します。

私自身も経験したこともありますし、何らかの組織に所属されている方は、同じような経験をされたことがあるかもしれません。

組織としての新たなチャレンジ局面で、それを引き受ける担当者が最も辛いのは、トップと現場責任者の意向が異なるケースです。
例えば、トップが決断した新たなチャレンジを実行するために組成されたチームの構成員は、そのチャレンジを進める上での課題をクリアするための支援について、毎回トップに伺いながら遂行していくわけでなく、現場のより近い自分のマネージャーに頼りながら進めることも出てくるでしょう。

そんな時、現場の直属のマネージャーが、実はそのトップのチャレンジの方向性について賛同していなかったり、自分の既存の仕事で精一杯で、メンバーを支援する時間がほぼ取れなかったりすると、メンバーが必要な支援を得られなくなるだけでなく、ひどいケースでは「そんなことよりも、こっちの仕事をやって」と言ってくることもあります。

現場担当者としては、新たなチャレンジを実行するためにプロジェクトに招集されているのに、トップの意向と現場責任者の意向が異なることで迷いが生じてしまいますし、必要な支援を得られないので、チャレンジそのものの成功確率が下がります。

そのため、せっかくの新しいチャレンジで、担当者も真剣に取り組もうとワクワクしているにも関わらず、その気持ちが簡単に折られてしまうことになります。
やる気のある優秀な現場メンバーの気持ちが折られてしまうことが一番の損失です。自分の直接的なレポートラインと、その上の間接的なレポートラインの意向の違いについて、何故かその担当者が板挟みになってしまうのです。

そんな被害者を生まないためにも、現場責任者はそのチャレンジに対して疑問を抱いているのであれば、直接トップと向き合って議論して、軌道修正を図らないといけません。
あるいは、どうしても賛同できない場合においても、それが実行されることが組織として決定されたのであれば、一度全力で取り組んでみるのです。

そうしないと、自分のチームの優秀なメンバーは簡単に離れていってしまいます。オッサン同士の意見の相違に優秀な若い人を巻き込んで、決して潰してしまわないで欲しい。

経営トップの目線

次に、新しいチャレンジの実行判断を下す経営トップの目線に立ってみましょう。

外部環境変化のスピードが速い現代においては、「事前に綿密な計画をして、時間をかけて計画通りに実行されようとするプラン」の成功確率は低く、「仮説と実行検証のサイクルを高速で回して、マーケットの反応を見ながらスピーディに軌道修正していくプラン」の成功確率の方が高いことは、皆さんも想像しやすいでしょう。

これは、トップの決断においても同じで、そのチャレンジが本当に上手くいくかなんて、やってみないと分からないはずです。だからこそ、そのチャレンジに全力で取り組んで、上手くいかないところは軌道修正しながら、新たなチャレンジを成功させたいと考えています。

しかし、チャレンジをしてそれが上手く行かない時に、現場責任者がそのチャレンジにコミットしてくれず、中途半端に実行されてしまうと、チャレンジの真の失敗理由が掴めなくなってしまいます。

そのチャレンジ自体にエラーがあって上手く行かないのか、それとも現場がその実行を中途半端に行なったから上手く行かないのか、原因の切り分けが出来ないのです。

結果、何が起こるかというと、本当はそのチャレンジ自体は筋の良いものであるにも関わらず、途中で止めてしまって他社に負けてしまうか、もう一度新たなプロジェクトチームを組んで、同じチャレンジに再投資をしないといけなくなります。

トップのチャレンジ成功の鍵を握る現場責任者

これまで述べてきた現場責任者・経営トップそれぞれの視点から見たエラーを考慮すると、やはりチャレンジの成功の鍵を握るのはその実行主体となる現場責任者です。

現場責任者は、自分の振る舞いが組織およびメンバーに与える影響度の大きさを考えて、仮に納得が行かないチャレンジなのであれば、トップと腹を割って話す機会を設ける責任があります。
あるいは100%賛同できるプランでなくても、やると決まったのであれば、一旦全力で取り組んでみないといけない。
現場で前向きに取り組んでいるメンバーに、トップとの方向性の違いによる調整の皺寄せが行くことは絶対に避けなければなりません。

トップの立場では、そのチャレンジを前向きに捉えてくれる現場責任者を冷静に選択して、中途半端に実行しそうな人に任せるのは避けるべきです。

適任者がいないのであれば、むしろそのプランは実行しない方が良い。
それくらい、新たなチャレンジに取り組む時の人選は重要です。

現場のメンバーは、現場責任者の支援を得られないことでチャレンジの実行に支障が生じているのであれば、直接トップにその事実を伝えた方がいいです。

それができない風通しの悪い組織であれば、最も大事な自分の気持ちが折られる前に早々に撤退してしまいましょう。
(もちろん、現場責任者に一度は直接相談した方がいいです。でも、それで状況が変わらないのであれば、早々に見切りを付けていかないと、そういう風通しの悪い組織が改善の方向に向かうことはありません。自分の貴重な人生の時間を注ぎ込むに値する環境は、他にも幾らでもあります)


それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
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