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【推し本⑤】グッド・バイ(後編)

 こんにちは。
 ご覧いただき、ありがとうございます!!
 さて、今回の記事の後編となります。
 後編といいましても、内容は独立しているので、後編から読まれても大丈夫です!!
 最後まで読んでいただけると、うれしいです☺️

1 グッド・バイとは

 本の紹介文から引用します。

 被災・疎開の極限状況から敗戦という未曽有の経験の中で、我が身を燃焼させつつ書きのこした後期作品16編。
 太宰最後の境地をかいま見させる未完の絶筆『グッド・バイ』をはじめ、時代の転換に触発された痛切なる告白『苦悩の年鑑』『十五年間』、戦前戦中と毫も変らない戦後の現実、どうにもならぬ日本人への絶望を吐露した2戯曲『冬の花火』『春の枯葉』ほか『饗応夫人』『眉山』など。

「グッド・バイ」紹介文

2 冬の花火、春の枯葉

 この2つは戯曲になります。

 戦後の日本の未来を憂いていたときに書かれた作品だそうです。
 解説には、敗戦によって、古き悪しき日本(おそらくエゴイズム、偽善、けち臭さ)の根源が滅亡すると思っていたが、結局変わらなかった日本を、太宰は悲しんでいたようです。

 それは、「春の枯葉」の次の記述にも見られます。

(雪が解けて昨年の秋に落ちた枯葉が現れたときに)長い冬の間、昼も夜も、雪の下積みになって我慢して、いったい何を待っているのだろう

「グッド・バイ」太宰治

 また、

 人間がだめになった。大理想も大思潮も、タカが知れている。若い者は、自己についての空想は、少しももっていない

「グッド・バイ」太宰治

という記述からは、理想的な社会(太宰が具体的にどのような社会を考えていたか、まだ私もよくわかりません)を追い求めていたが、エゴイズムが強くなっていき、人は人、自分は自分、自分の身の周りだけしっかりしていればいいという人が増えていることを嘆いているのがよく分かります。

 この作品を読むと、
 エゴイズムや偽善ってそもそもいつからあるのだろうか?
 それは、人間が生物として生存競争に勝つために必要で、ずーっと過去から身に付いてしまっているものだから、戦争なんかで根絶されないのか、など色々と考えました。

3 フォスフォレッセンス

 人が見る夢についてのお話です。
 この作品の中に次のような記述があります。

 記憶は、それは、現実であろうと、また眠りのうちであろうと、その鮮やかさに変わりが無いならば、私にとって、同じような現実ではなかろうか

「グッド・バイ」太宰治

 現実ではできないことでも、夢の中ではできる。(空を飛んだり、世界旅行したり)夢には無限の可能性がある。

 そもそも今いるのが夢の中なのか、現実なのか。その境界はどうやって見分けるのか。そんなことを考えさせられました。

4 渡り鳥

 この作品は、文学について自分の知っているうわべのことを吹聴する青年が主人公で、これは太宰治のサロン主義に対する痛快な風刺が見られました。

 上辺だけの知識を多くもち吹聴する人って周りにいませんか?
 そういう人に限って、自分の知識をひけらかしたいのでしょうね。
 私自身がそうならないよう、また専門知識を理論的に習得していきたいなと改めて思いました。

5 おわりに

 今回太宰治の作品を初めて読みました。
 正直難しそうだと敬遠しておりました。
 しかし、読んでみると、この作品を描いた時の太宰治と年齢が近いせいか、かなり共感するところや勉強になるところが数多くありました。他にも名著がたくさんあるので読んでみたいと思います。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!

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